会長の”三行日記”

2017.06.05

トランプ大統領 No.2936

 度々採り上げるトランプさんですが、またまた地球温暖化対策を全世界で進めようとしている、パリ協定から離脱すると発表しました。前任者のオバマさんが地球の将来に危機感を持ち、主導して結んだパリ協定ですが、全く無視したかのようにいとも簡単に決めてしまったのです。

これで世界190か国以上が合意し、147か国・地域が締結しているパリ協定ですが、世界第2位の温室効果ガス排出国であるアメリカが抜けたことにより、大きな影響をもたらすのではないでしょうか。

トランプ大統領の言い分はこうです。「協定はアメリカの経済を弱らせ、労働者をくじき、主権を損ねる。アメリカを常に他国より不利の立場に置くものだ」としています。そして中国とインドを名指しして両国の対策が不十分だとして再交渉を呼び掛けています。

まさに先の保護主義的な貿易同様、自国の利益のみ考慮しただけの政策を推し進めようとしています。ただこのトランプさんにしてもアキレスになるのではないかと言われているのがロシアびいきの問題です。

先にFBIの前長官であるコミ-氏を解任したのはご存知の通りですが、これもロシア政府による昨年の米大統領選介入疑惑への捜査追及が大きく関与しています。トランプ氏のロシア好みについてニュ-ヨ-クタイムズ紙が次の5つの点を挙げています。

第1にはロシアとの緊張解消は米国にも利益となるということです。また第2の理由はロシアとのビジネスに関する結びつきです。トランプ氏の会社は巨額の負債を抱えていることで、米国内の銀行からの融資が難しいことです。

ですからロシアに頼っているに違いないとした見方です。そして第3にはロシアとの政治的共謀説です。これはプ-チン政権がクリントン氏側の電子メ-ルを暴くだけでなく、トランプ陣営と密接な連絡をとっていたのではという説で、FBIの捜査対象になっているわけです。

次に第4の説明としては、トランプ氏がロシアでの私的行動をロシア側に握られていて弱みを持つという噂です。女性問題が絡んでいるかもしれません。そして第5番目としてプ-チン氏とトランプ氏はイデオロギ-で共鳴しているといった点です。

プ-チン氏は自国を強権で統治しようとする政治家で、白人・キリスト教徒中心の国家主義者であり、イスラム教徒とグロ-バル・エリ-トを敵とみなしています。この点がまさにトランプ氏が共感を抱くところです。

でもどうでしょう。こうした資質の持ち主が民主国家であるアメリカ大統領として、相応しいと言えるでしょうか。この先、捜査が進んでロシアとの政治的共謀説が暴かれるようなことになれば、かつてのウォ-タ-ゲ-ト事件以上に発展することは間違いありません。

そうなれば大統領の弾劾にもつながることになり、極めて短命の大統領にもなりかねません。そうした意味で捜査の流れを注視したいものです。とにかく、何かとお騒がせする人物で困ったものです。

2017.06.02

宮里藍ちゃんの引退 No.2935

 女子ゴルフの宮里藍ちゃんが今季限りで引退することになりました。まさに日本女子プロゴルフ会の第1人者で、現在の女子プロ人気を高めた一番の功労者でもあります。またそれに相応しい成績で、米ツア-9勝、日本ツア-15勝という輝かしい足跡を残しています。

そしてまだ31歳と年も若く、引退するにはもったいないという声が多いのですが、会見では維持していくだけのモチベ-ションが難しくなったという理由を挙げていました。

確かに近年、若手の成長が著しく、技術的にも155cmの小柄な藍ちゃんでは飛距離という点では、なかなか難しいところもあるのでしょうが、自身が一番の身上としていた小技、特にパタ-の巧さがあるはずです。

でも聞くところによると、このパタ-もあるとき輸送の途中でシャフトに狂いが生じてから、なかなか以前のようにはいかず悩んでいたみたいです。このへんが我々素人とは違う、精度といった点で大きな差があるのでしょう。

それにしても、この宮里藍ちゃんという選手の、きちんとした受け答えや礼儀正しさはいつ見ても心地良いものです。こんな話があるそうです。彼女が19歳で米ツア-に参戦する前の年のことです。

アメリカ進出を目指して英語の勉強をしていたとのことですが、欧州ツア-のある時、海外メディアの質問に対し必死に英語で応えていました。その会見には通訳がついていたにも関わらず、「すいません。いけるところまで自分でやってみたいんです」と言って自分で応えていたのです。

英語そのものはまだ流暢ではなかったにしろ、言葉につまったときでも通訳に「どう言ったらいいですか」と聞きながら、堂々と英語で応えていたそうです。19歳でしかも大勢の海外記者に囲まれての取材では、なかなかこうはいかないものです。

こうした人間としての備えている非凡さも、父である優さんの教えらしいのです。「勉強一番、ゴルフ二番。技術的に上り詰めたプロの世界では、最終的には“人格勝負”になる。人間的な幅を持ったスポーツマンになること」がその教えです。

プロゴルファ-である前に一人の人間として恥ずかしくないことがその信条なのでしょう。実際に優さんはゴルフの技術的なことでは怒ることはしなかったけど、マナーや躾には厳しかったそうです。

その小学生時代、ジュニア大会に出場した宮里選手はプレイが終わってから、帽子を脱いでスタッフ、メンバー、会う人全てに「ありがとうございました」の挨拶をしていたと言います。そしてカートを使っても、最後は洗って返していたし、進んでゴルフ場の仕事もしていたそうです。

こうしたことから培われた彼女は単なるゴルフの技術的なことではなく、心や感性が磨かれた真の強さを育んでいったのでしょう。第一線から抜けてしまうのはとても寂しい限りですが、彼女ならまた違った活躍がきっと待っていることでしょう。できれば残された今季のメジャ-で、もう一花咲かせてくれれば言うことないですね。

2017.06.01

ちょっと良い話133 No.2934

 ラグビ-の監督が新聞にこんな、ちょっと良い話を投稿されていましたので紹介いたします。母の死という題です。高校1年生の時に母親を病気で亡くした。とにかく明るい人で、町内会では顔役の存在だった。

家にはいつでも人生相談に来る近所の住民がいたものだ。私は人見知りのため、何とも居心地が悪かったのを覚えている。しかしある朝、くも膜下出血を発症し、それが原因で間もなく天国に行ってしまった。

当時の私は思春期真っ盛りで、母の死という事実を受け入れられなかった。ところが、そんな気持ちも母親の通夜の日を境に、一気に吹き飛んだ。300人以上の参列者の数もそうだが、それ以上に驚いたのが多くの方々が母の死に直面して本気の涙を流してくれていたことだ。

母は何か特別な能力を持っていたわけではない。他者の思いに寄り添い、他者と共に笑い、泣いてきたからだろう。母の生きざまを強く感じた瞬間だった。

その後の父の変化もすごかった。仕事で連日の深夜帰宅が当たり前だった父。反抗期の感情の矛先を父に向けていた私は、高校3年間、必要以上の会話を交わさなかった。それなのに父は、毎朝4時ごろに起きて弁当をつくり続けてくれた。

料理などろくにしたことがなかった父の弁当は、お世辞にもうまいとは言えなかった。最後に「3年間ありがとうございました」という言葉が自然と出た。

気がつけば、私も今年で母と同じ年齢になった。自分は両親のように、人のために全力を尽くす人生を歩めているだろうかと、最近よく思う。

母の死からその偉大さを知らされたという話です。生前中は何気なく顔を突き合わせていても、なかなか深く突っ込んだところには気がつかないものです。とかく現代人は他人のことは後回しで自分中心で考えがちなものです。

それだけに自分に欠けがちな他者への思いやりの心に気がつかされたのでしょう。この心が日本人特有の古くから培ってきたものと思われますが、もう一度、他の国では見られないこの良き長所を見直したいものです。