会長の”三行日記”
2015.09.14
小日向文世さん No.2762
言葉では言い表せないほど何とも良い味を出していて、私も大好きな役者の一人に小日向文世さんがいます。比較的若く見えるのですがもう61歳になるのですね。この小日向さんについての記述がありましたので紹介させて頂きます。
テレビ、映画、CMなどで大活躍中で、その顔を見ない日はないというほど、現在ひっぱりだこの演技派男優ですが、意外なほど家庭人としての要素が強いみたいで、以下のように語っています。
「僕は、仕事が終わってまっすぐ家に帰るのがいちばん嬉しい人だし、仕事がオフのときも家にいる。食べるものも、女房の手料理がいちばん好きだし、僕は家族がそばにいてくれれば、それだけでいい。父の影響を受けているのかな……。
父は仕事が終わると勤務先の市役所からまっすぐ帰宅して。テレビの前に座って、お茶を飲みながらテレビを見ていた。あとは、子供たちと触れ合うことが何よりの楽しみであり、喜びという人でしたから」
そういう彼が結婚したのは1993年、39歳のときです。奥さんは当時いた劇団の後輩でしたが、結婚を機に子どもを産んでしっかりと育てたいと言って、劇団を離れ家庭に入ったそうです。役者に対するこだわりはあまりなかったみたいです。
そして2年後に長男が誕生しましたが、その1年後には所属していた劇団が解散となってしまったのです。従って仕事の場を映画やテレビといった映像の世界に求めたのですが、オファ-はほとんどなかったと言います。
舞台役者としてはそこそこだったのですが、映像の世界では無名だということを思い知らされたのです。また給料は歩合制だったため、仕事をしなければお金が入ってこないわけで、事務所の社長に前借りをお願いし、仕事が入れば返済するという生活が何年も続いたそうです。
そうした47歳のとき、一大転機が訪れたのです。木村拓哉さん主演の連続テレビドラマ・HEROに、末次事務官役で出演し、これを機に次々とオファーが舞い込むようになったというのです。仕事のなかったときも、そのうち何とかなるといつも思っていたそうです。
それでも妻子を抱え、仕事もなく家でゴロゴロしている自分には恥ずかしい思いで、精神的にかなり落ち込んだ時期もあったと言います。そんな自分を支えてくれたのが奥さんと二人の子どもたちだったわけで、今があるのは家族と家庭があったからだと言っています。
小日向さんの役柄からは想像がつかなかったのですが、やはり苦労人なのですね。自暴自棄になりそうになったとき、いつもその心を支えてくれたのが家族だったのです。つまり自分の足元が揺らいでいたのでは良い仕事ができないというわけです。
だから真っ先に暖かい家族のいる家に帰りたいわけです。売れっ子である一面だけを見ていてはなかなか計り知れないものですが、経てきた苦労と共に役者としての味わいも深くなるわけです。
希のシェフ役とHEROの末次さん役では全く役柄が異なっていますが、それぞれで本当にいい味を出しています。益々その渋い持ち味で私たちを楽しまさせてもらいたいものです。
2015.09.11
集中豪雨被害 No.2761
朝一番で神奈川県愛川町まで行ってまいりました。お引合いを頂いている分の現場調査のためです。往路、東名高速で向かう途中、自衛隊のトラックを十数台見掛けました。きっと茨城や栃木で起こった災害の救助や復旧作業に出掛けるのでしょう。
心の底からご苦労様と思い、やはり無くてはならない存在だなと感じたほどです。もっともそれはこうした任務に心から敬意を表しているからです。災害復旧など本当に大変なお役目だと思われますが、ある意味、こうしたことに徹しているから人々に愛されているのではないでしょうか。
それが好き好んで他国が紛争しているからと言って、誰が戦争に出掛けて行くというのでしょうか。きっと多くの自衛隊の人たちにとっても思いは同じではないかと思われます。ある人がこんなことを言っていました。「こんなに国内で活躍している自衛隊をとても海外には出したくない」と。
戦争など行くことなく、今のままの国民から頼りにされ、当てにされる存在で十分ではないでしょうか。ついつい自衛隊の救援トラックだと思われる一行を眺めたものですから、前置きが長くなってしまいました。
それにしても鬼怒川の決壊や宮城県の渋井川などの決壊で、もたらした被害は私たちの想像をはるかに超えた大きなものです。改めて豪雨による被害の大きさを知らされています。映像などで眺めても濁流が流れ込んだ住宅地の変わりようには目を見張るばかりです。
ほとんどの家の1階部分が水に浸かり、土台をすくわれて傾いている家もあります。そればかりか、強い流れに襲われた地域は地表ごと、その上にあった家が濁流に呑まれ流されてしまいました。
また車が土の中に埋もれていたり、道路が寸断されていてその先の電柱も大きく傾いています。これでは元の生活に戻るのにはかなりの時間を要するのではないでしょうか。
濁流に呑まれたりして行方がわからない人たちも20数名いると言います。そして今なお民家に取り残され、救助を待っている人たちも少なくないそうです。
今回の異常気象は台風18号から変わった低気圧と、東海上にあった台風17号の影響で、湿った空気が関東から東北南部周辺へ流れ込み続け、大量の雨を含んだ積乱雲のようなものが同じ地域にかかり続けていたためと言います。
またその量は通常の1か月分の2倍に当たり、その雨が一時に降ったのですからたまったものでありません。改めて災害に遭われた方々にお見舞いを申し上げ、一日でも早い復旧を願っています。
それにしても我が地域はなぜこんなに災害から逃れているのでしょうか。別に望んでいるわけではありませんが、地震や豪雨などの災害に遭われた地域の人々が気の毒でなりません。代わってやれないだけに、何となく申し訳ないような気持ちになるものです。
2015.09.10
日本のいちばん長い日 No.2760
昨夜、家内と一緒に「日本のいちばん長い日」の映画を観てきました。高校の同級生でもある原田眞人監督が撮った映画で、前売り券も買ってあったからです。
彼のお膝元でもある地元・沼津の封切はどういうわけか、お盆を過ぎた8月22日と、他のところとは遅いスタ-トだったためについつい観るのが遅くなってしまったのです。彼はこのことを凄く憤慨していましたが、やはり時期的には日本の終戦記念日当たりが最適だったのではないでしょうか。
そんなわけで少し時期外れのためか、映画館には私たちも入れて5人ぐらいの人しか居らず、ちょっぴり寂しい状態でした。この映画を観るのに少し学習しようと、お盆の頃、BSのテレビでやっていた岡本喜八監督の撮った「日本のいちばん長い日」初版を眺めました。
そんな関係で登場人物については予備知識があったため、面食らうようなことはありませんでしたが、岡本喜八版も観ていない人たちにとっては登場人物のテロップもなかったため、すこし解りにくいのではなかったかと思いました。
逆な言い方をすると、監督は岡本喜八版を観ていた人間をかなり意識していたように思えます。主役の阿南陸軍大臣を演じた役所広司さんはもちろんとして、結構、焦点を当てていたのは鈴木総理と昭和天皇だったように思えます。
ですからこの役を演じていた山崎努さんと本木雅弘さんの演技には巧みさと新鮮な感じを受けました。旧作は天皇の姿・形などはあまり映っていませんでしたが、はっきりとした意見や思いを伝える天皇の位置づけに違いを出したのかもしれません。
またあらすじを順序立てて解りやすく展開していく旧作に対して、比較的早めの場面転換などを採り入れていたことはかなり旧作を意識していたように思えます。まあ映画をあまり観ない私などには批評する資格などありませんが、どちらかと言えば旧作の方が素人の私には解りやすく良かったように思えます。
それでも一度作られた映画を撮り直しするということは、想像以上に難しいでしょうね。同じものにはできないし、焦点の当て方を変えなければいけません。でも血気にはやる若き青年将校の役にはイケメンの松坂桃李くんにはやはり無理なように思え、旧作の黒沢利雄さんが良かっただけに少し物足りませんでした。
新作の良い所と言ったら、人間天皇をつぶさに描いていたところではないでしょうか。自分のことはさておき、国民のことを一番に思い、永年かかって築き上げた日本という国を潰したくない気持ちを素直に描いていたように思えます。
またそうした戦争を終結することの難しさと併せ、人間天皇の終戦への役割は、今回の映画から監督が伝えたかったことのように思いました。