会長の”三行日記”

2016.03.09

開幕前にサプライズ No.2821

 開幕前に何というサプライズでしょうか。球界の盟主たる巨人軍に、更にもう一人野球賭博の関係者が発覚してしまいました。昨年、3投手がこれに関わっていたとして、日本野球機構(NPB)から無期失格処分を受けた上に、所属していた巨人からも解雇されました。

これで膿を出し切ったとしていた巨人軍でしたが、ここにきて中継ぎなどで活躍している高木投手という、新たな野球賭博に関与していた人間が出てきてしまったのです。開幕までもう1ケ月もないというこの時期に、球団のみならず、これでプロ野球界そのものが一気に暗い話題に包まれてしまいました。

その巨人軍にしても、新しく生まれ変わろうと今年から高橋新監督に一新し、スタ-トを切ろうとしていた矢先の出来事で、かなりのショックを受けているものと思われます。まさに青天の霹靂とも言えるサプライズではないでしょうか。

2月のキャンプ中には、球団所属の全選手がNPBによる野球賭博の講習会を受けていました。そのときにも当該の投手は皆と同じように話を聞いていたというのですが、果たしてどんな心境だったのでしょうか。

そしてここにきて週刊文春が嗅ぎつけたことから事態が揺れ動くことになったのです。発覚は一部には「なんで自分たちだけが罰を受けなければならないのか」といった声によるものと伝えられていますが、やはり取り繕ってもどうしても不公平感が働くもので、一蓮托生の結果にならざるを得ません。

それにしてもこんなことで好きな野球から離れなければいけなくなってしまっては、本人にとっては断腸の思いで、ずいぶんと後悔するのではないでしょうか。また解雇されることになれば明日からの生活もままならないというものです。

そう言ったらなんですが、野球しか取り柄のない人から野球をとってしまえば、潰しがきかなくなってしまいます。それゆえに本当につまらないことをしたものです。でも覆水盆に返らず、あとの後悔先に立たずというものです。

これで今シ-ズンの巨人は鼻からその勢いに水を差されてしまいました。一部の週刊誌がまだまだこれで終わらないと、さらに関与した人間があるかのように書いてありますが、球界のためにもそんなことのないよう祈りたいものです。

2016.03.08

なでしこ五輪出場ならず No.2820

 上の写真は先週、土曜日に訪れた富士の岩本山公園の梅林です。紅白の梅がものの見事に咲き誇っていました。この日は本当に暖かな日で、いよいよ春の足音が聞こえてきました。このまま春になってくれればいいのですが、やはりそうはいかないでしょうね。

さて、ほんのわずかな可能性しか残っていませんでしたが、昨日中国が韓国に勝ったことから、なでしこジャパンのリオ五輪出場が途絶えてしまいました。私たちにとってはとても残念な結果ですが、五輪でのメダル獲得どころか、その出場さえ逃してしまったのです。

勝てば官軍で何を言っても許されるものですが、こうして期待にそえず敗れ去ってしまうとマスコミはいろいろなことを書きたてるものです。伝えられている1つに、中心選手と若手との間に大きな溝が生まれていたということです。

澤選手から主将を引き継いでいる宮間選手は、本当だかどうかは計り知れませんが、時には佐々木監督の要求すら突き返すほど気が強く、自分にも他人にもスキを与えない厳しいところがあると言います。

それゆえ若手の中には萎縮する選手も出てきて、ほとんど声も掛けられないということです。また10番を引き継いだ攻撃の中心、大儀見選手は中国戦に敗れた後、「ピッチに立つ以前の問題」と泣き、怒りの矛先を仲間に向けていたと伝えられています。

このように聞くと、今さらながら昨年12月に引退した澤選手の存在の大きさに気づかされます。澤選手は厳しい宮間選手と若手選手の間を埋められる無二の存在で、潤滑油的役割を果たしていたと言われています。

また昨夏のカナダ大会では、ピッチ上の技量では宇津木選手の方が上で、澤選手は控え選手の一人だったものの、プレ-以上に精神的支柱としての、ベンチでのこうした役割は小さなものではなかったのではないでしょうか。

今回この宇津木選手をケガで欠いていたのも、守りの要であるだけに痛かったものと思われます。こうしてみると中心選手の役割や、世代交代の難しさを否が応でも感じさせられるものです。

苦しいときは私の背中を見て」と言って、いつもチ-ムを引っ張り続けた澤選手の代わりはそんなに簡単にできないということでしょうか。佐々木監督が昨年末、澤選手の引退を告げられた時、「誤算。リオに連れていくつもりだった」と漏らしたのは、結構、本音の部分だったかもしれません。

とにかくこのような結果になってしまった以上、次期フランスでのW杯や東京五輪に向けて、いち早く立て直さなければなりません。言い換えれば五輪に出場できない分、早くその準備ができるとも言えるものです。

捲土重来、佐々木監督が抜けた次の監督のもと、生まれ変わったなでしこを是非見せてもらいたいものです。それにしてもいずれの世界においても、リ-ダ-の大切さをつくづく感じさせられるものです。

2016.03.07

キャディ-の役目 No.2819

 先週から今シ-ズンの女子プロゴルフが始まりました。沖縄で開かれたダイキンオ-キッドレディ-スがその開幕戦でしたが、今年も外国勢にやられてしまうのかと思わせられる、テレサル-選手の昨年に続く優勝でした。

また昨年賞金王のイボミ選手は最終日に追い上げ、6位まで順位を上げています。最終日までリ-ドしていてもなかなか勝てない日本選手に、少しいらだたしさまで感じてしまうほどです。やはり優勝するためには、最終日にいかに良いゴルフをするかにかかっているみたいです。

さてこのイ・ボミ選手についているキャディ-の清水さんについて、書かれていた記事を読ませてもらいました。ご存知の通り、清水重憲さんは彼女のキャディ-として昨年、男女最高額となる2億3千万円を超える賞金を獲得した陰の力として知られています。

そのイ・ボミ選手からも「清水さんじゃなかったらこんな成績は出せなかった。日本一のキャディ-」との絶賛の声も挙がっているくらいです。清水さんは元々近大付高で野球部の外野手だったそうです。そして父の勧めもあり、大学ではゴルフ部に入りました。

近大ゴルフ部は強豪として知られていることから初心者は彼だけだったのですが、野球で鍛えた体力で練習に励んだ結果、4年ではメンバ-に選ばれるまでに上達したとのことです。そして1級上の先輩の要請もあり、卒業と同時にプロキャディ-の道に進みました。

キャディ-の報酬は1大会10万~15万円、予選通過すれば選手の順位に応じ、賞金の3~10%を得るのが相場だと言われています。そして2年目に田中秀道プロの専属となり、優勝を味わいながらそのイロハを学んだとのことです。

またその後、賞金王となった谷口徹プロや上田桃子選手のバッグを担ぎながら腕を磨いていったそうです。こうした経験がイ・ボミ選手にも生かされていて、組み始めた頃アプロ-チに問題のあった彼女に、男子選手は目いっぱい短くグリップしていたよなどという助言で、見る見るうちに改善していったと言います。

そのくらい彼女は吸収力に優れていて、いいものは直ぐに採り入れ合わないものは捨てるという選手で、選手の成長を実感できる醍醐味が魅力だと話します。また選手にストレスを感じさせないのが信条で、試合の3日前に会場を下見することもしばしばあるそうです。

そしてゴルフはトラブルの連続。せめてスタ-トまでは何事も起こさせないと言って、準備万端を欠かしません。従って今ではイ・ボミ選手自身がコ-スマネジメントは私の感覚より信頼していると言うほどです。

こうした清水さんはキャディ-の力で出る差は大会4日間で1~2打差ぐらいと謙遜していますが、決してそれだけのものではないでしょう。ピンチに陥ったりしたとき、自分を取り戻さなければいけないようなケ-スを考えたら、この役割は大きいものではないでしょうか。

その役割は単なるアシスタントではなく、戦国の世の懐刀(ふところがたな)と呼ばれた参謀というか、重鎮に似たものがあるように思えます。この清水さんのいる限り、日本人としてはちょっと残念ですが、今年もやはりイ・ボミ選手は強いでしょうね。