会長の”三行日記”

2016.03.07

キャディ-の役目 No.2819

 先週から今シ-ズンの女子プロゴルフが始まりました。沖縄で開かれたダイキンオ-キッドレディ-スがその開幕戦でしたが、今年も外国勢にやられてしまうのかと思わせられる、テレサル-選手の昨年に続く優勝でした。

また昨年賞金王のイボミ選手は最終日に追い上げ、6位まで順位を上げています。最終日までリ-ドしていてもなかなか勝てない日本選手に、少しいらだたしさまで感じてしまうほどです。やはり優勝するためには、最終日にいかに良いゴルフをするかにかかっているみたいです。

さてこのイ・ボミ選手についているキャディ-の清水さんについて、書かれていた記事を読ませてもらいました。ご存知の通り、清水重憲さんは彼女のキャディ-として昨年、男女最高額となる2億3千万円を超える賞金を獲得した陰の力として知られています。

そのイ・ボミ選手からも「清水さんじゃなかったらこんな成績は出せなかった。日本一のキャディ-」との絶賛の声も挙がっているくらいです。清水さんは元々近大付高で野球部の外野手だったそうです。そして父の勧めもあり、大学ではゴルフ部に入りました。

近大ゴルフ部は強豪として知られていることから初心者は彼だけだったのですが、野球で鍛えた体力で練習に励んだ結果、4年ではメンバ-に選ばれるまでに上達したとのことです。そして1級上の先輩の要請もあり、卒業と同時にプロキャディ-の道に進みました。

キャディ-の報酬は1大会10万~15万円、予選通過すれば選手の順位に応じ、賞金の3~10%を得るのが相場だと言われています。そして2年目に田中秀道プロの専属となり、優勝を味わいながらそのイロハを学んだとのことです。

またその後、賞金王となった谷口徹プロや上田桃子選手のバッグを担ぎながら腕を磨いていったそうです。こうした経験がイ・ボミ選手にも生かされていて、組み始めた頃アプロ-チに問題のあった彼女に、男子選手は目いっぱい短くグリップしていたよなどという助言で、見る見るうちに改善していったと言います。

そのくらい彼女は吸収力に優れていて、いいものは直ぐに採り入れ合わないものは捨てるという選手で、選手の成長を実感できる醍醐味が魅力だと話します。また選手にストレスを感じさせないのが信条で、試合の3日前に会場を下見することもしばしばあるそうです。

そしてゴルフはトラブルの連続。せめてスタ-トまでは何事も起こさせないと言って、準備万端を欠かしません。従って今ではイ・ボミ選手自身がコ-スマネジメントは私の感覚より信頼していると言うほどです。

こうした清水さんはキャディ-の力で出る差は大会4日間で1~2打差ぐらいと謙遜していますが、決してそれだけのものではないでしょう。ピンチに陥ったりしたとき、自分を取り戻さなければいけないようなケ-スを考えたら、この役割は大きいものではないでしょうか。

その役割は単なるアシスタントではなく、戦国の世の懐刀(ふところがたな)と呼ばれた参謀というか、重鎮に似たものがあるように思えます。この清水さんのいる限り、日本人としてはちょっと残念ですが、今年もやはりイ・ボミ選手は強いでしょうね。