会長の”三行日記”

2016.08.30

一流との差 No.2884

 よく一流の人と言われていることがあります。では二流、三流に比べて一流との差はどこにあるのでしょうか。下記のようなコラムを見つけましたので紹介したいと思います。記述は一部省略してあります。

大正・昭和初期に活躍し、「この道」など童謡の作詞者としても知られる北原白秋は、57歳で没するまで、「詩道一筋」の生涯を送った。次々と傑作を著わし、大衆に支持された白秋は、いわゆる「天才」のひとりといえるかもしれない。

しかし現実には、そこには血のにじむ努力の積み重ねがあった。次のようなエピソードがある。ある時、彼は、若い急進派の歌人から批判を受けた。「あなたの歌はやはり型にはまった31文字の歌で、新しい現代の歌といっても、以前の旧派の歌とはただ紙一重の相違ではないか」

それに対し、白秋は答える。「そうです、ほんの紙一重です。しかしこの紙一重のために、この30幾年という長い年月を私は苦労してきたのだ」――そして水泳の競技にしても、ほんの1秒の何分の1という違いを競って新記録をつくるために毎日、朝となく夕となく涙ぐましい練習を続けているとし、「詩歌の修行も同じである」と述べている。

さらに修行について白秋は「突拍子もない大々飛躍などということはめったにできるものではない。修行というものは、石なら石をひとつずつ積みあげていくようなもので、根気よく、こつこつと仕事の力と量とを積みあげていかねばならない。

どれだけ天賦の才に恵まれていても、この平生の努力を怠れば、ついには何の業をも大成し得ないであろう」と。“紙一重”の前進のためにしのぎを削り、そのために必死の努力を重ねる――これが天才といわれる人の真実の姿なのである。

たしかに、現在のレベルに満足し、“これでよし”とする人に、成長はない。つねに初心にもどり、“もっと努力しよう”“もっといい作品を残そう”という心をもてる人が向上していけるのであろう。これは現実の生活のなかにおいても、ビジネスにおいても同じことに違いない。

北原白秋が例に出した水泳について聞いた話だが、1988年に開催されたソウルオリンピック100メートル背泳ぎ、鈴木大地選手の金メダル獲得秘話がある。100メートル決勝は鈴木選手が3レーン、ライバルのアメリカのバーコフ選手が4レーンを泳ぐ。ただし鈴木選手の決勝に至るまでの泳ぎでは、到底優勝候補であったバーコフには勝ち目がない。

そこで鈴木選手は作戦を考えた。彼はバサロ泳法の回数を23回から、予選でも練習でもやったことのない27回に、距離にして5メートル延長して勝負に挑んだ のだ。これにより、隣を泳ぐバーコフがあせった。2人は入り乱れるようにゴールへ、まさにタッチの差で鈴木選手が金メダルを獲得した。

じつは鈴木選手は、このときのために手の爪を3~4センチ伸ばしていたという。その長く伸びた爪の分早くゴール板にタッチし、まさにミリ単位の勝負に勝ったのである。執念の勝利といってよい。

まさに人事を尽くして天命を待つのではなく、人事を尽くして天命をもぎ取るという話です。従って一流の人とはまさに勝つための執念を持ち、万全の準備を整えて勝つための努力を怠らない人のことを指すと指摘しています。

ですから北原白秋や鈴木大地選手のように、紙一重のために必死の努力を重ねる人が一流の人と呼ばれるのでしょう。従って人事を尽くしたと自分は思っていても、それ以上に磨きを掛けなければ一流にはなれないわけですね。

2016.08.29

すい臓がん No.2883

 先月末に大相撲の元横綱千代の富士の九重親方が亡くなられました。61歳という若さだったのですが、すい臓がんに侵されてしまったのです。現役時代、小さな体ながらその技の美しさと圧倒的な強さに多くの人たちが魅了されたものです。

そのすい臓がんで亡くなる方が増えているそうです。ガンは以前とは違って、初期の段階なら死には至らなくなった今日ですが、このすい臓がんだけは技術が進歩した現代医学においても、なかなか治癒が難しい、厄介なガンと言われているのです。

意外と知られていないのが、今ガンで亡くなる人が減り続けているということです。亡くなる人自体の数は増えているのですが、高齢化という原因が多く、ガン全体の死亡率は年々減り続けていると言われています。

ところがこのすい臓がんだけは例外です。それは早期発見が難しく、悪化しやすいからです。すい臓は血糖値などを調整するホルモンを出す臓器で、胃や肝臓などと比べても見劣りしないほどの大きさですが、とても見にくい場所に位置します。

レントゲンなどのX線検査では調べることができず、胃や大腸と違って口と直接繋がっていないため、胃カメラでも調べることができません。またすい臓がんになっても初期はほとんど自覚症状がないのです。

このため早期発見が難しく、発見されたときは既に他の臓器に転移しているケ-スが多いのです。ではなぜ増えているのかということですが、詳しくは判りませんが糖尿病や慢性すい炎などを持つ患者がすい臓がんになるリスクが高いかもしれないと指摘されていることがあります。

運動不足や食生活の変化です。また暴飲暴食などの過食も原因の1つです。それではどうしたら予防できるのかということですが、腹痛や皮膚や目が黄色くなる黄疸、また腰から背中にかけての痛みの症状が出た時は、早めに医療機関で診てもらった方がよいそうです。

やはり体の異変に早めに気がつくことです。ネットではアメリカの15歳の少年がたった1滴の尿と血液が必要なだけの早期発見法を開発したとの記事がありますが、果たしてどうなのでしょうか。

自分の友人もちょうど42歳の頃、このすい臓がんで若くして亡くなりました。今でも毎年、6月の末頃、彼を偲ぶ会を友人が集まり開催していますが、早いものでもうあれから25年の歳月が流れようとしています。

こうした若くして亡くなる方には言葉もありませんが、60歳を過ぎると発生率が高くなると言われています。発見が難しい箇所だけに異変に気がついたら早期治療を心がけるべきです。私たちも60半ばを過ぎたと言っても、まだまだこんな病気には侵されたくなく、元気で長生きしたいものです。

2016.08.26

愚行 No.2882

 ある女優の息子で、最近売出し中のタレントがビジネスホテルで女性従業員を暴行するという事件が起こりました。まさに愚行そのもので、理由がとても我慢できなかったというものです。それを聞いてあまりにも浅はかだなと驚いてもいる次第です。

聞くと、もっか売出し中でNHKの大河ドラマ「真田丸」にもこの先、出演が決まっていて主人公・信繁の兄の息子役とのことです。その信繁兄弟の母は実際の母である女優が演じているわけですから、親子2代共演となるはずだったのです。

また週末、日本テレビで予定されている24時間テレビにもメインキャスタ-として抜擢されていたようです。このようにようやくタレントして芽を出しかけていた矢先だっただけに、何ともその浅はかな考えにもったいないというか、そんなに簡単に自分のポジションを捨てることに大きな疑問すら持つものです。

普通考えるのに、いくら我慢できないと言っても、そういったことをすればその先どうなるかは予測がつくはずです。下世話なことですが我慢できないのならいくらでも別の方法だってあるものです。

この息子の母親は女手一つで、女優として2人の子どもを育て上げてきたと言います。そしてようやく一人前のタレントして芽を出し始め、さあこれからといった矢先だけに、さぞショックが大きいのではないでしょうか。

そんな親の心子知らずと言っても、あまりにもお粗末な話です。要は一言で片づければ、世間知らずで甘ちゃんだったということですが、22歳にもなる成年男子の取るべき行動とは思えません。

今回のことで女優の母親まで、何本か出ているCMが中止されようとしています。また既に収録した番組もこの影響で撮り直しされようとしています。自分一人が起こした行動でも、その影響は決して自分だけのものではないと解っているのでしょうか。

このように最近の若い人の中には、折角今まで積み上げてきたものを簡単にリセットする人が増えてきたように感じます。あまりにももったいない話です。自分の取る行動が周囲にいかに影響を与えるのか、十分理解して事を起こして欲しいものです。