会長の”三行日記”

2013.10.08

おもてなし企業その1 No.2471

 東京五輪誘致のプレゼンでも滝川クリステルさんが、「お・も・て・な・し」とアピ-ルしたことから、世界的にもこれから通用するのではないかと思われる言葉ですが、このおもてなしをそのまま企業として実践しているモデル企業が紹介されていました。

平成24年度おもてなし経営企業選として、経済産業省より選ばれた一覧より代表的なものを二、三採り上げてみたいと思います。最初に紹介したいのはまず何と言ってもこの企業です。

通称TESSEIと呼ばれるJR東日本テクノハ-トという会社です。日本の新幹線運行を支える心として、さわやか・あんしん・あったかというキ-ワ-ドがそのまま当てはまる、企業としての取り組みです。

TESSEIは主に東北・上越・長野・山形・秋田新幹線の東京駅・上野駅での折り返し清掃整備業務と、圏内新幹線車両基地における車両清掃整備業務を引き受ける会社です。

ご存知の通り、東京駅などに新幹線車両が入ってくると、折返し運転する前に車内清掃が入ります。おもてなしのポイントしてはまず、この7分間と言われる、わずかな時間の間に掃除を済ませ、次に利用する方々に気持ちよく乗っていただくということがあります。

始発の6:00から終電の22:45まで1本、1車両、1席残らず、一人平均としては20本、その作業を受け持っているのです。1チ-ム22人で組まれたその作業は、動きの速さと正確さで「芸術的」とも評され、「新幹線劇場」と呼ばれてもいるのです。

また2番目のポイントしては、清掃業だけに従事せず、利用者に気持ちを向けて積極的に接する姿勢が挙げられます。何といっても如実に示されているのが利用客への挨拶と気遣いです。TESSEIの特徴はこの圧倒的なスピ-ドと高品質の清掃に限らず、ホ-ムにおける彼女たちの仕草に表われています。

降車する利用客に対しては、ゴミ袋を広げながら「ありがとうございました」と挨拶し、そこまで持ってきた人には私たちの仕事を手伝ってくれたと、感謝の気持ちを伝えます。また列車が入ってくる3分前にはホ-ムに並び一礼をし、劇場を終えた後でも再度並んで一礼をします。

また迷っているお客に対しても声を掛けられれば必ず対応し、困っている人にもこちらから声を掛けるくらいです。まさか清掃員から声を掛けてもらえるとは思ってもみないことから、驚きの声まで届くというおもてなしぶりです。

そしてもう一つは自社や自分の仕事に誇りを持たせる第一歩として、ユニフォ-ムを変更していることです。一般的な水色のユニフォ-ムではなく、7年前から清掃業らしからぬ赤いユニフォ-ムに変えたのです。そうしたところ、声を掛けられることが激増したと言います。

すると、お客へのおもてなし意識が芽生え、道案内の勉強や身だしなみに気をつける風潮が生まれ、ほうきやバケツを持っていくのでなく、スタイリッシュにかばんを持っての移動となったようです。こうしてどんどん主体的になっていき、仕事への誇りが芽生えてきたのです。

それぞれが仕事への誇りを持てば、よりよい仕事をしようと改善策も生まれ、社内には好循環がもたらせるものです。笑顔が生まれ、やりがいが持てる職場作りというテ-マで、とても参考になる素晴らしいTESSEIの取り組みではないでしょうか。

2013.10.07

アメリカの異常さ No.2470

 アメリカの連邦政府の業務が停止したと言います。これにより、関連職員は無給扱いで自宅待機を求められているというのです。もっとも全ての職員ではなく、生活や治安を損ねる部署の航空管制官やFBIなどの職員は例外だといい、航空宇宙局の職員など全体の約20%が自宅待機となると言います。

これにより有名なアリゾナ州のグランドキャニオンなど、全国に401ある国立公園や博物館が閉鎖され、観光客にとっては大きな痛手となっています。何しろ折角、アメリカをこのために訪れているにもかかわらず、中に入ることができないからです。

わざわざ訪れた観光客にとっては、連邦政府の業務が停止したからと言って、そんなことはそちらの都合で自分たちには何も関係ないことで、いい迷惑というものです。まさに寝耳に水の話となっているのです。

この政府業務停止の原因は新年度が始まる10月1日までに新予算が成立しなかったからです。アメリカの上下院は現在、上院が与党の民主党、そして下院が野党の共和党が多数派を占める、ねじれ状態にあるため合意ができず、予算成立がならなかったのです。

我が国、日本では参議院で成立できなくても衆議院で可決されれば、最終的には成立するのですが、アメリカではそうはいきません。このため、オバマ大統領は急遽、予定していたフィリピンやマレ-シアへの訪問を中止しなければいけないほど、慌てぶりを見せています。

この大統領の両国訪問は近年、南シナ海への中国の海洋進出攻勢を警戒する目的で、アジア太平洋における米国の存在感を示す重要な機会と位置付けていたと言います。マレーシアへの訪問はおよそ半世紀ぶりといい、フィリピンとの間では中国の進出をにらんで米軍の関与拡大を示すつもりでいたとのことです。

従って内政のゴタゴタが外交戦略にまで影響を及ぼすことになり、アメリカに対する信頼感の低下につながる怖れもあるのです。このように大きな波紋を広げている政府業務の停止ですが、日本と違ってアメリカでは元々、連邦政府は必要悪などと考えられているところもあるというから驚きです。

いろいろと物議を醸し出している銃の所持にしても、政府がいくら言っても地方は銃を持つ自分たちの権利を主張し、一向に改善されません。また自分のことはあくまで自分でと考えるから、今回の共和党のように社会保障拡大の医療保険制度の改革にも抵抗を示します。

何とも、まとまりのないような国に思えるものですが、それが自由主義を貫くアメリカの実態なのでしょうか。とにかく高い金を払って折角訪れた観光客などを、落胆させるような真似だけは慎んでもらいたいものです。

2013.10.04

ちょっと良い話その111 No.2469

 キリギリスの幸せと題した、ちょっと良い話が投稿されていました。とかく歳をとってくると自分の居場所がなく、存在感を失うものです。そうした類の人が見つけた自分の居場所の話です。

自由に飛び回る働き蜂に憧れながら、私は働き蜂として生きてきた。高度成長期の日本にさほど貢献したわけではないが、その恩恵は享受した幸福な蟻人生だった。母の面倒をみるため、55歳で退職。3年後、母は逝った。

天涯孤独となった悲嘆の底で、ふと目にしたボランティアという言葉の定義の一節が、心に灯をともしてくれた。「できること、得意なことを長く持続させて行うこと」

天啓の如くひらめいたのは、ずうずうしいにもほどがあるが、老人ホ-ムでの歌のボランティアである。我流のピアノでも唱歌の伴奏ぐらいは...。悪声だが音痴じゃないし...と勝手な理論武装をし、音楽セラピストよろしく企画書を作成し、近くの老人ホ-ムを訪ねた。

音楽の力、恐るべし。無表情な方に笑顔が戻り、涙ぐむ人も。現場の介助者の方々も驚くほどだ。そして、「キリギリス」に変身した私自身もしっかり楽しんでいる。

私の心の支えは、不慣れな当初、失敗で落ち込んだ私を慰めてくれた入居者の言葉である。「あなたがピアノを弾いてくれるから、今日、私たちは歌えるのよ」

このように自分が誰かのお役に立っていると感ずることができれば、生きがいも生まれるし、繰り返しやって来る日も楽しくなるものです。同じように私たち会社も、どんなに小さなところでも人々のお役立ちができ、助かっていると感じてもらえば企業としての存在価値が生まれるものです。

やはりこれなしでは、企業として世の中に存在している意味はありません。そしてただ自己の利益だけを追求しているだけでは、やがては淘汰されてしまうものです。そんなことのないよう、企業としての経営理念をしっかり持ち続け、少しでもよいから「あの会社があったからよかった。本当に助かった」と言ってもらえるような、お客様の笑顔が描ける会社を目指さなければと思っています。