会長の”三行日記”

2013.10.03

脱原発 No.2468

 今朝の天声人語にも載っていましたが、小泉元首相が先日のみんなの党・渡辺喜美代表との会食や、1日の名古屋での講演会で脱原発を訴えています。小泉さんは「首相が決めれば脱原発が進むのに残念だ」とも語っています。

元総理だけに全く無視できない貴重な発言ではないでしょうか。また「脱原発は政治がリ-ダ-シップを発揮しないと進まない。自分は数十年後には死んでいて、原発のない日本は見られないかも知れないが、それをするのが本物の政治家だ」とも述べています。

この発言の背景には今年8月、フィンランドを訪れたことが起因しているようです。高レベル放射能廃棄物を地下に埋めて、10万年かけて無毒化する核廃棄物最終処分場「オンカロ」を視察してきたからです。

この施設を見て小泉さんは「ここに埋めても放射能が無くなるまで10万年もかかる。施設がそれだけの長期間もつのか。そもそも数万年後に人類はどうなっているのか。今と同じ言葉や文字を使っている保証は何もない。彼らに危険物だということをどう伝えるのか。ほとんどSFの世界の話である」と考え込んだみたいです。

そのフィンランドには原発がたった4基しかないのに、我が国には50基もあります。従って今すぐ止めないと最終処理が難しくなるということは、小泉さんでなくても誰しも考えられる自明の理です。

また小泉さんは首相時代はきれいで安いエネルギ-だと信じていたそうですが、あの大震災で大きな疑問を抱き、直後の11年5月には原発の安全性を信じたのは過ちだったとも語っています。

そして今もなお苦渋を強いられている福島の人々のことを考えたら、とても人間的にも再稼動とは言えないのではないでしょうか。昨日も富士、富士宮、御殿場、小山などに自生するキノコから、基準値を大幅に超える放射能が検出されたとも伝えられていました。このように私たちの身近のところまで、もう危険が迫ってきているのです。

小泉さんは首相の座が解け第一線から退いたことにより、経済界からの圧力が無くなったからとはいえ、こうした原発推進論に対し反論までしたと言います。

言い換えればやっと政治家から離れて、囚われのない一人の個人としての正論を持てたとも言えるのではないでしょうか。安倍首相も将来のゼロはいいが今はダメだなどと言っていないで、今すぐ脱原発を勇気を持って打ち出したらどうでしょうか。後世に残る名総理として、子々孫々に語り告げられるのは間違いないと思うのですが...

2013.10.02

踏切での犠牲 No.2467

 昨日は横浜で痛ましい踏切事故が起こってしまいました。JR横浜線中山で線路内にうずくまっていたお年寄を助けようとした40歳の女性が、列車にはねられ亡くなってしまったのです。

助けられた男性は鎖骨が折れるなどの重傷を負いましたが、幸い命に別状はないそうです。伝えるところによると、男性が下り線の線路上に横たわったまま遮断機が降りたため、父が運転する車の助手席に乗っていた女性が、ひかれちゃうと言って車から降りて踏切内に入ったと言います。

運転していた父親は「ダメだよ、やめろ」と制止しましたが、それを振り切って車を降りたそうです。そして腹ばいになっていた男性をしゃがみ込んで動かそうとした矢先に電車にはねられてしまったとのことです。

何とも痛ましい話です。女性は見てみぬ振りができなかったのでしょう。でも残念ながら電車が来るまでに時間がなさ過ぎたのではないかと思われます。痛ましい事故を耳にして、もし自分がその立場だったどうするか、ちょっと考えさせられました。

踏み切りに横たわっている人には無視はできません。しかし一瞬の判断でとても難しいと思いますが、電車が踏切に到達するまでに果たして救うことができるか、咄嗟の判断を求められることになります。

でもむざむざ、人が轢かれるのを誰も見たいわけではありません。ですからかなり難しい状況判断を要するのではないでしょうか。亡くなられた女性はそんなことより何より、助けたい一心で無我夢中だったのではないかと思われます。

またお年寄を助けようとした娘が、自分の目の前で電車に轢かれるのを直視しなければならなかった父親も、とても辛かったのではないでしょうか。「困っている人を放っておけない子だった。男性には長生きしてほしい」と語り、目頭を拭ったそうですが、何ともその心中を慮る、せつない話ではないでしょうか。

以前にもホ-ムから転落した人を助けようと、新大久保駅で韓国人留学生と日本人カメラマンの二人が犠牲になった事故がありました。 残念ながらこのときは転落した人も併せて3人が亡くなってしまったわけですが、今回の唯一の救いは父親が話されたとおり、線路内にいたお年寄りを救ったことです。

自分の命を犠牲にしてまで、お年寄を助け出したこの尊い女性に言葉がありません。心からそのご冥福をお祈りします。

2013.10.01

庶民とかけ離れている政治 No.2466

 10月となり、すっかり秋らしくなりました。季節は過ごしやすい時期となりましたが、果たして私たち庶民の生活はいったい良くなるのでしょうか。この1日から酒、食用油、牛乳などが円安の影響を受け、原材料値上げで商品価格が上がると言います。

そして年金の支給額もここで1%減になるとのことです。また国税庁の調査では民間企業における1年間の平均給与も1万円減り、2年連続で減少しているとの数字が示されています。

こんな状況の中、政府は今日1日に来年4月からの消費税8%への引き上げを正式に発表すると言っています。併せて消費増税に備えた5兆円規模の歳出増の経済対策を行うとのことです。

その対策には設備投資減税を中心とした1兆円規模の減税措置も盛り込み、企業には賃上げを促すとのことですが、果たしてその効果は出るのでしょうか。自民党は総裁直属の対策本部を設け、賃上げ全国運動を展開する方針を掲げていますが、大企業ならともかくとして、中小零細企業まで効果が及ぶとも思えません。

というのはアベノミクス効果などと騒がれていますが、なかなかその好況感というものが末端まで伝わってこないからです。今朝のテレビでもある中小企業のことを採り上げていましたが、正社員の雇用というものが難しく、派遣社員に頼らざるを得ないのが実情だというのです。

先が読めないからです。インタビュ-に応じた社長は大手や大企業が景気がよいと言っても、自分たちのところまで伝わるのには半年や1年かかると言っていました。まさにこのような立場を代弁しての答えではないでしょうか。

またこれに伴い、被災地への復興の財源に充てる、復興特別法人税を1年前倒しで廃止するとの方針も発表しています。いくらこの経済成長を賃金上昇に充てたいということがあっても、被災地からすれば意識的にも自分たちの復興を後回しにされているとも捉えかねません。

そんなことなら、まず国会議員である自分たちの身を削るところから始めたらどうでしょうか。議員削減や報酬カットというところには少しも手をつけず、国民ばかりに財政再建を押し付けても説得力は何もないというものです。

年金の収入がこれから先減り、消費税は上がるというのでは、お年寄はお金を使いたくてもなかなか使えるものではありません。そんなことは誰が考えても当たり前の理屈です。こうした庶民の心理が政治家は解らないわけではないと思うのですが...