会長の”三行日記”

2016.06.08

育成の星 No.2848

 阪神・原口捕手が5月のセリ-グ月間MVPを獲得しました。打率・380(79打数30安打)、5本塁打、17打点という見事な成績です。この原口選手、実は育成枠の選手だったのですが、育成選手の野手からの受賞は史上初めてとも言われています。

この育成選手とは日本プロ野球において、支配下登録選手70人の枠に含まれない契約選手のことで、入団時に契約金は無く、代わりに支度金(通常300万円)が支払われ、二軍の試合のみ出場できる選手です。

また背番号は基本的には3ケタの100番台ですが、球団から改めて支配下登録されれば1軍の試合にも出場可能となります。ただしシ-ズン中の登録期限は7月末と言われています。この原口選手は入団はドラフト6位の入団ですが、度重なるケガに悩まされ2012年のシ-ズン後に育成枠となっていたのです。

育成枠上がりでは、投手として巨人の山口投手が先鞭を切っていて有名ですが、なかなか野手ではこのように目立った活躍をする選手は最近少ないようです。ここに至るまでファ-ムで6年間過ごし、今年になって金本監督に認められ、4月27日に支配下登録され1軍昇格したばかりなのです。

そして翌月の5月のめざましい活躍が認められて今回の受賞に繋がったのです。従ってシンデラボ-イとも言われる所以でしょう。5月の成績の中では1試合以外全ての試合でスタメンマスクを被り、攻守に活躍しプロ初の本塁打やサヨナラ打もありますから、文句ない受賞とも言えるのではないでしょうか。

本人が言われているように、今までの苦労があるから1打席1打席、大事に必死に食らいついていくという気持ちでやったのが結果に繋がったということなのでしょう。こうした苦労人が明るいスポットライトを浴びるのは何よりも嬉しいものです。

これも1つには新戦力を積極的に使っている金本新監督の手腕と言えるのではないでしょうか。金本監督は監督を引き受ける条件として、すぐには結果を出せなくても3年後に期待して欲しいと言って球団も受け入れたみたいです。

それだけにこうした新戦力が台頭する今後のタイガ-スは楽しみというものです。余分なことですが、昨シ-ズンのセリ-グ覇者でもある、大好きなヤクルトはいったいどうしたのでしょうか。交流戦に入ってもなかなか勝てず、とうとう昨日で6連敗です。

中継ぎ以降の投手陣が踏ん張れないのが1つの原因ですが、ただ1つセリ-グで置いて行かれているチ-ムだけに奮起してもらいたいものです。原口選手のようなガッツとハングリ-さを持った、活きの良い選手を見つけてもらいたいものです。

2016.06.07

見苦しい都知事 No.2847

 弁護士を交えた都知事の釈明会見がありました。はっきり言ってあまりにも見苦し過ぎます。第3者にしっかりと検証してもらうと言っていましたが、蓋を開けたらやっぱりと思わせられる、第3者には程遠い自分が頼んだ弁護人そのものでした。

まさに逃げる気満々の人選で、1時間以上の会見では一部に不適切があるものの法律上の責任はないということに終始していました。これでは都民がとても納得できるものではありません。

千葉のホテルに正月、家族で泊まったということも、元記者と一緒だったという申し開きをしていて、その記者とは事情があって直接ヒアリングができなかったから関係者から聞いたという答弁です。

これでは全く信憑性は感ずることができず、関係者は誰なのですかという問い掛けにも、関係者は関係者だと開き直る始末です。こんな第3者の調査依頼人がいるものでしょうか。

会見では不適切だと判断された飲食費や宿泊費についても、それと同額を慈善団体に寄付することや、湯河原の別荘の売却して「けじめをつける」と言っていたみたいですが、やってしまったことに穴埋めすればよいといったものではありません。

要は都知事としてや人間としての資質を問われているのです。「生まれ変わった気持ちで新たに都政に臨んでいきたい」と言って、知事の座に未練たっぷりで続投を表明したみたいですがあまりにも見苦しい醜態です。

昔は政治家は井戸塀と言われたという話を聞きました。自費で政治をやるから、選挙のたびに巨額のお金が必要となり、最後には井戸と塀しか残らなったという意味です。

絹のハンカチと言われ超大金持ちだったF外務大臣は、時のK総理大臣から請われて、財界人から政治家に転じたために、最後には井戸も塀も何も残らなかったと言われています。

つまりそれ位の覚悟がないと、良い政治はできないということでしょう。そういった骨のある人たちに比べたら、あまりにもセコ過ぎる今回の知事を取り巻く話です。恥の上塗りという言葉もあるとおり、いい加減、観念したらどうでしょうか。

2016.06.06

犬と私の10の約束 No.2846

 犬や猫を飼っている人が増えています。そんな家庭でペットを飼っていて彼らとの生活を綴ったエッセイや小説の本も少なくないようです。その中で「犬と私の10の約束」という本が注目を集めています。

犬とともに生活しながら母との死別、ギタリストをめざす少年との恋、「仕事人間」である父との確執を通じて成長していくというストーリーなのですが、その中で物語をまとめるキ-ワ-ドとなっている、10の約束というものが何とも味わい深いと言われています。

10の約束とは娘が子犬を飼いたいと言った時に、病床の母が犬に代わって語ったものです。以下のとおりです。

(1)私と気長につきあってください。 (2)私を信じてください。それだけで私は幸せです。

(3)私にも心があることを忘れないでください。 (4)言うことをきかないときは理由があります。

(5)私にたくさん話しかけてください。人のことばは話せないけど、わかっています。 (6)私をたたかないで。本気になったら私のほうが強いことを忘れないで。

(7)私が年を取っても仲良くしてください。 (8)私は十年くらいしか生きられません。だからできるだけ私と一緒にいてください。

(9)あなたには学校もあるし友だちもいます。でも私にはあなたしかいません。 (10)私が死ぬとき、お願いです、そばにいてください。どうか覚えていてください、私がずっとあなたを愛していたことを。 

この物語では「犬は人との出会いを選べない」という言葉の中に、そのまま「家族同士は出会いを選べない」と置き換えられると言っています。つまり家族とは運命的出会いでもあり、それを受け入れ互いにいたわり思いやりをもちながら、幸せを作り上げていく共同体だと指摘しています。

そして本当の家族や幸せについて物語の中から考えさせられます。それはそのまま仕事と家族ということにも繋がり、私たちが仕事を営んでいくために会社をつくり、そこに集って共に働くのは、狭くは社員みんなの幸せ、ひいては社員の家族全体の幸せを追求するためではないかと考えさせられます。

言い換えれば、社員のみなさんのご家族の幸せづくりに役立たない会社に、いかなる価値があるのか? 人の幸せを追求し、共に力を合わせていくのが、人間がつくる会社という場の役割だと教えています。

このようにたかがペットとの物語に思えるこの本から、家族それぞれの生き方、仕事などをペットの存在と関わりのなかで見事に織りなしていて学ぶことができます。困難にぶつかった時こそ、家族のことを思い起こし語り合いたいものです。一度必読の価値はありそうです。