会長の”三行日記”

2015.07.01

安全神話 No.2730

 昨日のお昼頃、走っている新幹線の中で焼身自殺がありました。このため当事者以外にも女性の犠牲者が出てしまい、燃え上がる車内には煙を吸ったり衣服や持ち物を焼かれたりして、被害に巻き込まれた方が大勢いたようです。

また当然のようにダイヤは滅茶苦茶となってしまい、多くの方の足に影響が出てしまいました。このようなことは今まで全く予期していなかったことですが、世界で一番安全・安心を誇り「安全神話」まである、我が国の新幹線の盲点を突かれたような気がします。

それにしてもなぜ新幹線の中で焼身自殺をしなければいけないのか、全くその意味が解りません。気密性のよい車内の中でそのようなことをすれば、多くの方に迷惑が掛かることぐらい解りそうなものです。

事に及ぶ前、拾ったからと言って車両の最前列にいた乗客に千円札を数枚渡そうとしたり、逃げなさいという言葉を掛けたりしたと言いますから、人の迷惑を全く無視するほどの人間には思えないからです。

ですから自殺しなければいけない事情は本人しか解りませんが、どうしてもそうせざるを得ないのなら他人に迷惑の掛からない方法を考えてもらいたいものです。まずもって多くの人を巻き添えにするなんて言語道断で、テロまがいの行為とも言えるわけです。

とにかく今回の事件で新幹線の列車運行的安全に加え、乗客の身に及ぶ危険や安全といった問題が問われることになるでしょう。でもその大量の乗降客のことを考えたら、航空機のようにいちいち手荷物検査をするわけにはいきません。

それだけに今回を良い教訓として、何か別の方法で効率よく乗客の安全を確保する方法を見つけなければならないと思われます。また来年には伊勢志摩でサミットも開かれることになります。

先日、名古屋で開かれた役員研修会で三重県代表の中同協副会長が言われていました。伊勢志摩は開催に向けての立候補は一番後でしたが、決め手になったのは地の利を生かした安全というキ-ワ-ドだったそうです。

そして今、世界中で起こっているテロが我が国だけ起こらないとは言えません。そういった意味では無差別的に行われるのであれば密閉された空間でもある、新幹線のようなものは絶好の標的になるかもしれません。

それゆえ今回の事件で、更にややこしい新たな問題が発生してしまいましたが、「安全神話」を誇る我が国の新幹線だけに十分対策を練り、いつまでもその名に恥じない存在であってもらいたいものです。