会長の”三行日記”
2012.06.22
いかにしてなでしこは世界を制覇したのか その2 No.2232
五輪前の最後の調整を兼ねスウェ-デン遠征した練習試合、なでしこはアメリカに1-4と敗れましたが、続くスウェ-デン戦に1-0で勝ち、1勝1敗の成績で遠征を終えました。
どちらの対戦相手もW杯後、日本を研究しており、今までどおりにはいかなかった試合でしたが、五輪本番まで後1ヶ月と迫ったこの時期、もう一回戦略を見直す意味でよい遠征ではなかったでしょうか。
このなでしこについてですが、先日の雑誌「致知」の対談の続きにもう少し触れてみたいと思います。W杯優勝時、案外知られていないのが日本チ-ムがフェアプレ-賞を獲得したことです。
かつて優勝チ-ムがこの賞を獲ったことは一度もなかったそうですが、日本チ-ムに頂くことができました。それは不服の残る判定にも、レフリ-に一言も文句を言わず、選手一人ひとりが潔く引き下がる姿が評価されたのです。
優勝の勝因を一言で表現すると、こうしたすぐ気持ちの切替ができる、メンバ-の団結力が一番だと言っています。それに大きく育ってきたのが、選手個々の自主性です。
佐々木監督が女子サッカ-に移ってきて、一番最初に感じたのが、男子に比べて指導者の判断を委ねる傾向が強かったことです。サッカ-では自分たちで工夫したり、相手や仲間の状況を咄嗟に判断しながら対応することが特に重要です。
従って野球のバントや投手交代など、監督がゲ-ムに関与する割合より、サッカ-は低く、選手たちが主体的にフィ-ルド内で判断することが大事となっているそうです。ですから極端に言うと、俺はメンバ-を決めるけど、細かいことはおまえたちでやれということです。
そしてもう一つ拘ってきたのが、試合のための調整をしたことがないということです。明日が決勝だと言っても普通に練習をやる、また2日続けて試合をしているのにまた2時間練習をやる、すると選手からなぜとの疑問の声が上がるのです。
これを受け、「おまえら、チャンピオンを目指しているんだろう。俺はそのための準備をしてるんだ」と選手に投げ掛けたと言うのです。決勝ト-ナメントでは試合を重ねる毎に疲れがたまります。そこで一発勝負となった時に、どれだけスタミナや集中力がしっかりあるかを重視しているからです。
こうした効果もあって、W杯で戦ったドイツやスウェ-デンにも動き負けすることはありませんでした。またアメリカとの試合においても、前半こそ苦戦を強いられたものの、最後まで足を止めることなく戦え、走れたということは日頃のこうした積み重ねが功を奏したのではないでしょうか。
やはり普段からの練習がものをいうわけです。野球のように監督の采配が表にあまり出ることはありませんが、サッカ-においてもこうした監督しだいで変わってくるわけですね。
まだまだ、なぜ世界を制覇できたのか、その対談には躍進の秘訣が込められています。続きは改めてまた触れさせていただきます。とにかく佐々木監督は謙遜していますが、勝つための戦略をしっかり考えている人です。