会長の”三行日記”
2012.06.13
日本語の難しさ(敬語) No.2226
次のような敬語の例文を出されました。私も何気なく使っていそうな言葉なのですが、これが全て誤りだと言うのです。そうしてみると、私も偉そうなことはあまり言えないものです。
(1)講演会の資料は、会場の入口で係の者からいただいてください
(2)いえ、とんでもございません
(3)ちょっとお尋ねしたいのですが
(4)こちらにお見えいただけないでしょうか
(5)当店ではお求めやすい品を各種取りそろえて、お客様のご来店をお待ちしております
まず(1)なのですが、いただくとは目上の人から何かをもらうときに用いる謙譲語ですから、自分ではないお客さんに対して使う言葉ではありません。ですからお受け取り下さいが正しい表現とのことです。
(2)については、「とんでもない」という否定語は「とんでもなくない」ということになりますが、発音しにくいため、「とんでもないことでございます」という使い方が正しいそうです。
(3)の「ちょっとお尋ねしたいのですが」ですが、これでは自分に尊敬語を用いることになってしまい、『聞く』の謙譲語は『お伺いする』ということから、「少々お伺いしたいのですが」が最適だといえるそうです。
また(4)では、「こちらにお見えになられますか」は、まったくの誤りではないのですが、「こちらにお見えになりますか」で十分とのことです。『お見えになる』がすでに尊敬語なので、これに尊敬の助動詞『れる』を加えると、二重敬語になってしまうそうです。
最後の(5)については、どこが間違いか判りにくいものですが、『お求めやすい』ではなく、『お求めになりやすい』が標準的とのことです。『お求めやすい品』は、『お書きやすいペン』『お読みやすい本』という言い方が、明らかにおかしく感じられるように一般的でないそうです。
このように結構、気が付かないで使っている言葉に誤りが多いようです。美しい日本語を子々孫々のためにも、私たちはしっかりと引き継ぎ残してやる義務があることと思います。また知性や教養は何気ない、そんな日常の言葉から感ずるものです。