会長の”三行日記”

2013.06.25

世界文化遺産 No.2417

 富士山が世界文化遺産に登録されました。地元の静岡県に住む私たちにとっても、大変喜ばしいことです。おまけに三保の松原もその資産に含まれることになりました。富士山から45kmも離れている位置にあることから、当初は問題視されていたのですが、土壇場で良いほうに覆ったわけです。

やはり富士山には松原が切っても切り離せない情景だということです。今はあまりお目に掛かれなくなってしまいましたが、小さなときによく通った銭湯の中に描かれていた富士山にも、必ずと言っていいほど、松原は添えられていたものです。

そうすると我が町にある千本松原も捨てたものではありません。海岸からこの千本松原越しに望む富士山もなかなか素敵な光景です。富士山そのものの形の良さから、むしろ清水方面から望むそれより綺麗だと言われるかもしれません。

特には三津浜や大瀬崎方面からのそれは、絶景とも言えるのではないでしょうか。世界文化遺産登録が決まった週末、三保の松原には多くの人が訪れたということです。普段はガラガラな駐車場が、この日は車の整理で忙しかったと聞きます。

何という現金な話ではないでしょうか。このへんが日本人独特なものを感ずるわけです。このように遺産登録されたことで、今年の富士登山は例年にも増して凄いことになるのではないでしょうか。

今年からその保護の目的で、入山料を1000円とるとも言われています。それでも料金が安いような気がしますが、多くの人々が訪れることから、ゴミのない貴重な自然遺産として、いつまでも守り続けていきたいものです。

一方では遺産登録されたことを記念として、いろいろなイベントが企画されています。清水では史上最高の105万円チケットなるものが売り出されるといい、Jリ-グの清水戦観戦に超ビップなおまけがついているとのことです。

また我が街・沼津でも夜の街の活性化を狙い、飲み歩きパスポ-トなるものが生まれました。市内の飲食店58店舗が名を連ね、パスポ-トを持参すれば800円でその店自慢の料理や飲み物を1品ずつ味わえると言います。

この立ち上げた実行委員会には、同友会でもいろいろと頑張っている、あした葉の望月大樹さんも加わっているようで、いろいろと新しい挑戦を試みています。やはり動かなければ何も変わらないということです。とにかく待ちに待った富士山の世界文化遺産登録で、地域の活性化が少しずつ生まれ始めようとしていて、良い傾向ではないでしょうか。

2013.06.24

奇跡のリンゴ No.2416

 週末、家内と久しぶりに映画に行ってきました。二人で映画を観ることなど、ほとんどなかったわけですが、平日はほとんどボランティア的事業のひだまり亭があることや、週末になっても老いる私の父親の面倒をみてもらっている関係で、彼女が家を離れる機会が少ないからです。

そんなわけで、彼女にも少し気晴らしをさせてやりたいと思い、気分転換を兼ねての映画鑑賞だったのです。観てきたのは「奇跡のリンゴ」という映画です。娘たちからも「お父さん、泣ける映画だよ」と薦められたこともあって、この映画を選びました。

結論から申し上げると、夫婦はじめ親や子どもたちまで含んだ家族愛に溢れた、良い映画でした。夫婦役を演じた主演の阿部サダヲさん、菅野美穂さんが、さすが役者だなあと思わせられる、とても素晴らしい演技を見せていたと思います。

この映画は青森県でりんご農家を営む、木村秋則さんの実話をもとに描かれたものです。元々、虫のつきやすいリンゴはその栽培に農薬が欠かせないと言われていました。しかし大量に散布する農薬が、しだいに愛する妻の体を蝕んでいることに気がついた木村さんは、何とか無農薬栽培ができないものかと取り組み始めます。

でも想像以上にその栽培は難しく、初めは力を貸してくれていた青年部の仲間にも次第にそっぽを向かれ、私財を投げ打ってこれに没頭することから、電気を止められたりして生活は困窮を極めていきます。

またそれでも、りんごの木に「何とか育ってくれよ」などと話しかけている秋則さんゆえ、周囲からも白い目で見られ、ほとんど相手にされなくなるのです。そんな彼を支えてくれたのは愛する妻と、婿入り先の親父、そして3人の可愛い娘たちです。

中でも小学生の長女が学校で書いた作文には、父親への信頼と愛情が溢れるもので泣かされてしまいました。こうして10年が過ぎたある日、無農薬のりんごが実ることとなるわけですが、執念と家族のそれぞれの愛がもたらしたものと言えるのではないでしょうか。

このように、言われていた不可能を可能にするためには、家族愛のような、目に見えない要素の占める割合が決して少なくないのではないでしょうか。娘たちが言っていた、やはり「泣かされてしまった」映画でしたが、一見に値するものと思います。それにしても、それぞれ料金が1000円という、夫婦割引の映画鑑賞システムはとても得をしたようで嬉しかったものです。

2013.06.21

無神経な発言 No.2415

 自民党の高市早苗政調会長が「原発事故によって死亡者が出ている状況ではない」と述べ、原発再稼働をめざす考えを示しました。地元の方々の苦しみを知ってか知らずか、ずいぶんと無神経な発言です。

東日本大震災発生後、東京電力福島第一原発に近い双葉病院では、入院患者が取り残されて避難が遅れ、病院によると事故のあった2011年3月中に患者40人が死亡したと言います。

また、福島県須賀川市の農家の男性が野菜の有機栽培に力を入れ、丹精込めたキャベツ7500株の収穫を待つばかりとなっていましたが、この震災の影響で、その13日後に首を吊って亡くなるという痛ましい出来事があったことも、多くの方に知られています。

そして避難所生活でストレスが溜まり、亡くなった方もいることも聞かされています。そんな状況の中、よくそんなことが言えたものか、あきれて二の句が告げません。先日の復興庁職員の暴言同様、聞かされた地元の方々の怒りは増すばかりではないでしょうか。

原発事故から2年過ぎた今、未だに地元に帰ることができない人たちの中には、避難先の一部でも地元住民との間に、いろいろとトラブルがあるようです。過日の新聞が伝えるところによると、事故後、多くの避難者を受け入れているいわき市でも、市民と避難者との間で軋轢(あつれき)が生じているようです。以下がその記述です。

もともといた住民が、市に苦情を送った件数は今年2月で約390件。苦情の具体的な内容は、「賠償金をもらっている避難者で、働いていない人もいる。一方、いわき市民は賠償も少額で、みんな働いている。

公園や道路、公共施設などは避難者も使っているのに、税金が公平に取られないのはおかしい。住民が増えたため、スーパーや病院が混雑している。避難者は医療費が無料になっているのも混雑の一因ではないか」というものです。

避難者にしたって、別に好きこのんでこの場所に来たわけではないでしょうし、賠償金なんかより早く事故前の生活に戻してくれよというのが本音でしょう。でも一方の地元民が持つ「いったい、いつまでこうした生活が続くのか」という不安も解らないわけではありません。

要は国がその復興計画で、いついつまでにこうするといった、はっきりとした明確なビジョンを示さないから無用な混乱が生じてしまうのです。ですから怒りの矛先は国に向けるべきです。

でもこうした住民の苦しみをさも知らないかのように、事故の記憶を風化させる発言の議員には何も期待ができないものです。その資格もないでしょうし、人間としての最低限持たなければいけない、相手のことを気遣った思いやりと優しさに欠けていて、大変残念な話です。