会長の”三行日記”

2013.12.25

失敗は成功の引き出し No.2504

 楽天球団がマ-君にポスティングシステムでの大リ-グ移籍を認めました。それでこそ日本一の楽天です。国民の大多数を味方につけ、夢を叶えようとしている若者の前途に水を差すような真似をすれば、球団への大きな批判になりかねないと判断した結果でしょう。

新聞にも書かれていたとおり、目先の損得より愛されるチ-ムへの道を優先した結論に拍手を送りたいと思います。さて元プロ野球投手の工藤公康さんと、元陸上400mハ-ドル選手の為末大さんの対談を目にしました。

失敗は必ず成功の引き出しになるということです。最近いろいろな解説書に「こんなやり方をすれば成功します」なんてことがよくありますが、為末さんはそんなことは嘘っぱちと切り捨てています。

そんなに人生は甘いものではなく、逆に簡単ではないプロセスがあるからこそ、求めていたものを掴んだときの喜びも大きいと言われています。そして工藤さんが言うのには、最近は失敗を恐れる人が多いが、失敗は必ず次の成功につながるための引き出しになると指摘しています。

だから今後は指導者として、失敗を恐れないという感覚を育ててあげたいとのことです。そして実際に記録を出す選手、長く続ける選手には前向きに物事をとらえ、すぐに行動に出る人が多いと指摘します。

ですから動くことが大事で、本気でやりたいと思った人は動くもので、失敗を恐れて動けないのは本気で考えているのではなく、どうしようと迷っていては何も生み出すことができないからです。

そして為末さんがロンドン五輪の年、フランスのシャルル・ド・ゴ-ル空港に貼ってあったポスタ-のことを語っていました。そこには片足が義足の女の子が足をハ-ドルに乗せている写真があり、次のような内容が書かれていたそうです。

事故で右足を失い、左足が残った。右足を見て生きるか、左足を見て生きるか。自分は「有る」ものを見て生きることを希望と呼ぶ、と。要は、前を向いて生きるということは、そこに有るものを見ていくということだと指摘しています。

いつまでも失ったものに悔いることなく、立ち止まらずできることの方を見て、それに対して最大限の努力を払うということです。すぐ行動に繫げるということは、私たち小さな企業を営む者にも課せられた大きなテ-マです。

少しずつ成果が出てきているものの、小さなもので満足せずさらに前進が求められています。今年も残すところあと僅かとなり、年を越すことなく今できることに専念しなければと思っています。やはり行動なくして明日に繋がりませんね。

2013.12.24

マ-君の去就 No.2503

 楽天の田中将大投手がポスティングで大リ-グ入りの希望を表明したのですが、楽天球団は一向にその態度を明らかにしていません。ご存知の通り、日米間で新たに取り決めとなったポスティングの新制度では、現在所属する球団への補償額は最高で20億円ということになりました。

新制度ができる前までは、一説には80億から100億円と言われていたその額だけに、期待していた球団には20億円という額は大きな不満が残るものと思われます。何しろ80~100億円と言えば、ここ数年の自球団選手のみならず、助っ人として獲得したい選手の報酬額に当てることができるからです。

でも不満が残っていようと既に「賽は投げられた」わけですから、新制度に従うしかありません。また田中投手のことを考えても、今シ-ズンこれだけの成績を挙げ、球団初優勝に大きな貢献を図ったからには球団としても少なからぬ処遇を考えなければなりません。

本人は至っていじらしく、球団の決定に従うだけですと述べていますが、そのモチベ-ションは既に日本からは遠のいているものと思われます。何しろ今シ-ズン24勝0敗、しかも球団初優勝、また日本シリ-ズでも宿敵・巨人を倒しての堂々たる日本一を獲得したのです。

ですからこれ以上の活躍はもう残せないもので、日本ではやることは全てやり切ったという思いなのでしょう。そこで無理に繫いでいても日本では今シ-ズン以上の活躍は望めないと思われますし、お互いの利益にはならないのではないでしょうか。

またお金のことなどもあって無理に球団に繫いでいては、楽天球団そのもののイメ-ジも悪くなるというものです。楽天は今シ-ズンの優勝で、被災された東北の方々にも大きな夢と希望を与えてくれました。それだけに新たなファンも増えるだろうし、大きなイメ-ジアップにも繋がったものと思われます。

それゆえに球団の良きイメ-ジを消すことなく、気持ちよく田中投手を送り出してやったらどうでしょうか。有能なアスリ-トであればこそ、その先の一段高いものを目指したいものです。ですからいつまでも延ばし延ばしすることなく、いち早くその去就を決めてやるべきです。とにかく来年は海の向こうから飛び込んでくる勇姿を観たいものです。

2013.12.20

山本昌邦氏講演より No.2502

 ついに猪瀬東京都知事が辞任しました。初めからこうなることが予想されていただけに、もっと早く潔く辞めるべきでした。政治家にはこうした金がつきものですが、あまりにもガ-ドが甘すぎました。誰か相応しいクリ-ンな人を探したいのですが見つけるのはやはり無理なのでしょうか。

さて先週の土曜日、三島駅前の日本大学で開かれたファルマバレ-セミナ-に参加してまいりました。第1部としての講演はサッカ-の元全日本監督の山本昌邦氏の講演だったのですが、少しその内容を紹介したいと思います。

お話の中で強調されていたのが、本当に良い選手とは90分を超えた時間帯で得点できる選手だと言われていました。一流選手ほど高い目標を持っていて、通常の時間帯の90分ではなく、前回のワ-ルドカップ決勝戦のスペイン-オランダ戦のように延長の118分に何ができるかということがポイントのようです。

注目される選手は皆、技術、戦術、体力面で特に優れていますが、やはり心の問題が大切だと指摘します。勝つことが大切ではなく、勝とうとすることが大切で、最後まであきらめない選手が一流と呼ばれる所以とのことです。

それは結果にも表われていて今シ-ズン、残りの15分で一番点を獲ったのが大迫、次が柿谷という今をときめく両選手です。また記憶にもまだ残っているでしょうが、なでしこがワ-ルドカップで宿敵・アメリカを倒し、世界一になった決勝戦の延長で、117分という土壇場で同点に追いついたのが沢選手のゴ-ルです。

これが沢選手がス-パ-スタ-と呼ばれる所以です。また2002年のワ-ルドカップで、選手枠23人の最終追加で選ばれたのが中山、秋田の両選手です。ゲ-ムには多くは出れなかったものの、この二人のお陰でチ-ムがまとまった、いわば23人が入っている樽の修復材の役割を果たした、精神的支柱の存在だったようです。

この中山選手、技術だけならこれといって特筆されるものを持ってはいませんが、強いハ-トという面では人の何十倍もの強靭なものを兼ね備えているそうです。ですからフランスでのワ-ルドカップの試合のように、脚を骨折したにもかかわらず、ずっと試合終了まで走り続けていたことは、今でも多くの人の語り草になっています。

そして演題は「心をつかむ人材育成術」ということでしたが、自身の監督としての経験からこんなことも言われていました。選手を集めて話す際、主語の使い方に気をつけるということです。

結果がうまくいったときはお前たち、君たちと呼びかけ、努力したことをほめることでよいのですが、一方そうでなく、うまくいかなかった場合は、我々とか俺たちという表現を使うと言われていました。その責任がさも選手だけのように誤解されないためです。

また相手と面した時に、自分は低い方の椅子に座り、相手の話を努めて聞いてやることが大切だと言われていました。それから自分の役割としては教えるのが仕事ではなく、気付かせることが必要だと述べていました。結果を変に問わず、やはり自信を持たせたいからでしょう。

最後に一番印象に残った言葉としては「苦しい状況になったときこそ、その人間の真髄が見える」と話されていたことです。冒頭に戻りますが、やっとここで辞職した猪瀬前知事を見ても、そのことは明らかだと言えますね。