会長の”三行日記”

2016.07.29

甲子園球児の受け入れ事情 No.2875

 全国各地で夏の甲子園代表校がほぼ出揃ってきました。我が県の代表校・常葉菊川高の森下監督が7月いっぱいで退職し、他の高校に移るため、一旦は甲子園での指揮はふるわないと発表されたのですが、その日のうちに撤回し甲子園大会まで指揮をとることになりました。

きっと新しい受け入れ先の配慮があったものと思われますが、選手の動揺などを考慮したら、最善を尽くせる一番良いやり方ではないかと思われます。何年か前にあったような、常葉菊川高の甲子園での活躍を願っています。さてこの甲子園大会ですが、最近は選手が泊まるホテル事情がちょっと変わってきているようです。

伝えるところによると、これも近年の外国からの観光ブ-ムが影響し、軒並みその価格が上がっているからです。しかし甲子園の球児たちを受け入れる宿泊施設に関しては、だからと言って簡単に価格の引き上げは行うことができません。

何しろ勝ち残れば最大で滞在期間は20日ほどになるからです。高野連はこのため大会参加校に対し、登録選手18人と監督および部長の計20人分の旅費と滞在費(1日4000円)を補助することになっているそうです。でもそれ以外の費用はすべて持ち出しとなるわけです。

財政的に裕福な学校なら保護者や周囲の寄付金で費用は賄えるものでしょうが、県民所得があまり高くない自治体の公立校では保護者の負担だけではどうにもならず、地元住民の寄付に頼らざるを得ません。

沖縄などの県大会が早く始まるのは、気象条件のことばかりでなく、大会参加の費用を賄う寄付集めに時間を要することから、早く代表校を決定する必要があるためだと言われています

こうしたことにより、宿泊ホテルでは損覚悟の嬉しい破格のサ-ビスをしてくれているということが載っていました。第1には宿泊費は相場の半額だということです。これは予め高野連からホテルや旅館に対し、35名上限で1泊2食付き1万円、昼食代1000円以内に収めるよう依頼しているからです。

前述のように、この価格は訪日外国人観光客が増加している関係で、ホテル需要が増し通常相場の半額程度の低価格なのです。また間に旅行社が入ると手数料がかかるため、高野連が直接交渉しているというのです。

またサ-ビスの2番目としては何回戦で負けてもキャンセル料が掛からないということです。ご存知のように勝ち抜きのト-ナメント戦ゆえ、負ければすぐお帰りとなります。対するホテル側としては一定期間まとまった数の宿泊は確保できても、どこまで勝ち続けるかが不確定だからです。

高野連からはキャンセル料なしという取り決めがある以上、こうした不確定の宿泊はとても厳しい条件なのです。またもう1つの厳しい事情となっているのは、近隣のホテル、旅館の宿泊費の高騰です。1例では選抜大会の宿舎に指定されていた某ビジネスホテルなどは、通常1万7000円ほどの1泊朝食付きツインルームの料金が、8月13日には3万円まで跳ね上がっているのです。

つまりホテル側はこの時期に球児たちを宿泊させるということは、2万円の収入を犠牲にしているということにもなるわけです。従って年1回の国民的行事と言っても、こうした事情により適当な宿舎を見つけるのが年々困難になってきているのです。

もちろん球児たちを受け入れるということは、宿舎社員の意識向上にも繋がり、お金には替えられないメリットもあるわけですが、近年のホテル事情からすると、球児たちを受け入れたばかりに、経営が厳しくなってしまっては元も子もありません。

これも時代が変わり、経済環境が変わっていることによるものですが、ここまで苦労して勝ち進み代表校になってきた球児たちゆえ、そうした懐事情は何ら気にすることなく、グランドで思い切った感動を呼ぶプレ-を見せてもらいたいものです。それにしても華やかに見える裏側では、関係者のいろいろなご苦労があるものですね。