会長の”三行日記”
2016.05.25
沖縄の遺棄事件から No.2840
沖縄でまた悲しい事件が起こってしまいました。20歳の女性が夜の散歩中、アメリカ軍の軍属(元兵士)の男に襲われ遺棄されるという事件です。先月末に行方不明になり心配されていたのですが、3週間後に遺体という最悪の形で発見されたのです。
犯人は現地に住み日本人妻や子どもがいるという境遇にありながら、このような蛮行に及んだのです。初めからわいせつ目的で標的となる女性に近づき、殺害した後、準備したス-ツケ-スで運び去るという事前での用意周到な犯行とも考えられています。
まさに基地がある街ゆえに以前から起こっている事件そのものなのです。以前にも何件か伝えられている悲しい事件があります。その1つは1955年にこの事件と同じうるま市で起きた「由美子ちゃん事件」です。
街の中心部で起こった、6歳の少女が米兵に連れ去られた事件です。自宅から250メートルほどの場所ですが、家を出たのは、今回の20歳の被害女性と同じ、午後8時ごろだったそうです。
そして無残にも少女は翌朝、車で30分ほどの海岸のゴミ捨て場で遺体で発見され、暴行の跡があったということです。当時の現地新聞には「少女の左手に草二、三本が強く握りしめられていた」という悲しい記述が残っています。
またその他にも性暴力の被害にあい、人知れず米兵の子を産んだ知人がいたり、小学生の子どもが襲われ、町を去った家族の話も耳にします。このように苦しみが癒えてきたと思う頃にまた事件が起き、忘れたくても、忘れられないのが沖縄の日常だと言われています。
まさに基地があるゆえに繰り返されている悲劇なのです。警察庁や沖縄県によると、全国の警察が検挙した米軍関係者(軍人と軍属、その家族)による刑法犯事件は1990年代前半、300件近い年もあったそうです。
それが96年には90件まで減少しましたが、03年に194件と増加し、その後は100件前後で推移しているとのことです。そして国内の米軍専用施設の75%近くが集中する沖縄が、そのうちのおよそ半数を占めていると言われているのです。
このまま放置してよいのでしょうか。私の友人も声を大にして言っているように、沖縄は日本の植民地でもなく、ましてアメリカの植民地でもありません。終戦前後からずっと沖縄だけが苦しんでいる実態を政府はもっと真剣に考えなければなりません。
基地も沖縄だけに押し付け、さも他人事にようにずっと対処しているのでは、あまりにも同じ日本人として惨い仕打ちではないでしょうか。繰り返される今回の事件を契機に、日本全体として沖縄問題を見直すときだと思います。
明日26日と27日の2日間、九州・佐賀で開かれる、中小企業家同友会九州・沖縄ブロック役員研修会に参加するため、カキコミは休ませていただきます。