会長の”三行日記”
2016.02.08
北朝鮮の蛮行 No.2807
またまた各国の忠告を無視して北朝鮮が大陸間弾道ミサイルを発射しました。今まで擁護していた中国まで、ほとほと手を焼いたようで庇いきれなくなってきた様子です。まさにこの蛮行は世界の中で益々孤立化を極めていくものと思われます。
発射があったのが日曜日ですが、そのちょっと前の土曜日の午後、折しも沼津でこの北朝鮮による拉致問題を考えるシンポジウムが行われました。拉致被害者家族の横田さんご夫妻が沼津に来てくれたのです。
ちょっとそのお話を紹介させて下さい。現在この拉致被害者の家族では、夫婦揃っているのが横田さんと有本さんの2組だけになっているようです。そのくらい皆さん高齢になってきているわけですが、横田さんの奥さん早紀江さんも今月4日で80歳の誕生日を迎えたとのことです。
またご主人の滋さんに至っては85歳になるそうですが、正直、マイクの前でもなかなか言葉が出てこないほどの結構しんどいご様子だと見受けられました。お話によると娘・めぐみさんがある日突然いなくなってから、それが北朝鮮による拉致と判るまでには20年の年月が掛かったと言います。
警察犬による捜索でも、ある角から煙のようにすっかり消息が絶たれているのです。夫妻はその後、あちこちに問い合わせ捜しているのですが、拉致だと判るまでにそんなに長い年月を要したのは1つは日本政府の責任も少なくないということです。
それは1977年9月19日に久米豊さんという方が拉致被害にあったのですが、未遂に終っています。めぐみさんがいなくなったのがそれから2ヵ月後の11月15日ですから、可能性としては十分考えられたと指摘しています。
20年経ってそれが拉致による仕業だと判っても、早紀江さんは正直生きていてよかったという気持ちが強かったと言います。それが親心というものでしょう。そしてその61歳の時から20年近くの救出が活動が続いているわけですが、ニセ遺骨問題等、その後根本的な解決には何も繋がっていません。
そのとてもやりきれない想いが言葉の端々から伝わってくるものです。日本国民の命を守ることが国の使命で、拉致問題は最優先課題とまで安倍総理は述べています。しかし一向に解決への道は遠く、再調査を約束してからも1年以上も何も進んでいません。それだけに今の無策のままでいいのでしょうか。
こうした北朝鮮に対し、ある程度の制裁も必要だが核等の脅威もあることや、拉致問題解決への道が遠のく懸念を考えると、とても複雑な思いが家族にとって正直なところではないでしょうか。
ただ一つめぐみさんの子ども、キム・ウンギョンさんと一昨年、モンゴルで面会し、結婚して可愛い女の子をもうけていたことが唯一の嬉しい出来事だったと述べています。
とにかく一向に解決策が見出せない現状なのですが、横田ご夫妻を眺めているとこの先、そんなにも長い猶予があるとは思えません。それだけにせめて生きているうちに、一目だけでも会わせてやりたいと願うのが人情です。
「豊穣の中ですきま風が漂っているのが今の日本」という締めくくりの言葉がとても印象的です。日本人は事が起きたばかりのときは皆、大いに関心を持ち大騒ぎするものだが、しばらく経つとすっかり打ち忘れ無関心となりがちです。私たち日本人が戒めなければいけないところです。対岸の火事とはしないことです。