会長の”三行日記”

2016.02.09

春節と爆買い No.2808

 今日8日は中国のお正月に当たる春節の新年最初の日となります。春節とは中国の伝統ある祝い事であり、中国だけではなく、全世界の華人にとって最も大切な伝統的な祝日となり、多くの人は一週間の連休になります。

大晦日に当たる7日から13日の土曜日までの7連休となるわけですから、この間、休日を旅行に当てる人も少なくないことでしょう。こうして連休中、日本にやってくる人もいるわけですが、中国景気の停滞で言われている爆買いも少し鳴りを潜めているようです。

今年1月になって発表のあった、中国の15年国内総生産は経済成長の減速ぶりが鮮明となっています。そもそも日本を訪れる中国の富裕層は資産を土地で持つ人が多く、中国国内で株だけでなく不動産価格が下落するときは観光にも大きな影響をもたらすのではないかと言われています。

従って爆買いの対象になっていた化粧品などのモノ消費だけでなく、美容サロンの利用などの体験型コト消費を含め、ニーズの多様化を求められているわけです。また東京や京都といった定番の観光ルートだけでなく、日本各地の東北や四国など、他の地域にも足を延ばしてもらい、様々な文化体験といった消費を喚起したいというのが受け入れるこちらの狙いのようです。

このような流れにより、今までの爆買いから日本各地の“穴場”観光に着目しているような記事が伝えられていました。有名観光地を一巡したリピーターを中心に、何の変哲もない赤ちょうちん街や路地裏などに外国人が続々と姿を現しており、地方へも本格展開中とのことです。

長野県の場合は、地域の伝統の祭りや温泉に入る猿を見ようとする外国人でごった返す騒ぎになったりしていて、地元では、経済効果にとどまらず「外国人が普段の日本の姿に関心を持つようになった」と歓迎する声も出ているそうです。また周遊券などの格安チケットに群がる人も少なくないと言います。

いわゆるごく普通の日本社会を見たいという関心が、こうした穴場観光に繋がっているわけです。ですから東京などでも一般の観光ルートのほかに、書店街やターミナル駅近くの一杯飲み屋の赤ちょうちん街をのぞいて歩く外国人も増えているとのことです。

まあこれは中国人というよりは、他の外国人も含めた彼らによる日本観光の深まりと期待される動きのようですが、今までの爆買いを含めた日本観光の定番的流れが変わってきているということも言えるわけです。

逆に言えば今までの定番的観光などではこの先、多くを望むことができないとも言えるのではないでしょうか。ここでも差別化が求められているわけで、無策なありきたりの観光に頼ることはできないということです。

ですからもう1回、日本古来の伝統文化を見直し、景観を生かした骨太の観光戦略の策定が求められているということでしょう。つまり私たち製造業に限らず、ここでもありきたりのものではなく、一層、独自の経営戦略が不可欠ということなのです。