会長の”三行日記”

2015年09月

2015.09.29

追加五輪種目決定 No.2769

 東京五輪で追加になる新しい種目が選ばれました。と言ってもこれから国際オリンピック委員会(IOC)に提案するわけで、正式に決まったのではありませんが、野球・ソフトボール、空手、ローラースポーツ、スポーツクライミング、サーフィンの5競技計18種目が選ばれました。

何よりも野球・ソフトボ-ルが選ばれたことに嬉しく思っています。また日本発祥のスポ-ツである空手も競技人口が多いだけに喜ばしいことです。それからローラースポーツ、スポーツクライミング、サーフィンは、若者に関心を呼ぶ競技であることから、対象に若者を強く意識し、アピ-ルする意味があるのではないでしょうか。

国民的スポーツで、大会の盛り上がりが期待できる野球・ソフトボールは、採用が決まれば2008年北京五輪以来の3大会ぶりの五輪競技復活となるわけです。どちらも活躍が期待される競技で、特に最近のソフトボ-ルでは日本チ-ムの強さが光っているだけに楽しみです。

選ばれた競技とは別に、今回落選したボウリングやスカッシュ、武術などの関係者の落胆は少なくないものと思われます。ボウリングなどは老若男女の幅広い年代に親しまれているだけに、東京五輪は追加種目になる良いチャンスでしたが、ちょっと残念に私も思っています。

でも選ばれたローラースポーツ、スポーツクライミング、サーフィンといった競技は私たちにあまり馴染みがないかもしれませんが、それぞれ世界で活躍している日本人選手がいるみたいです。

サ-フィンについては18歳のプロサーファー大原洋人選手が今年の8月、全米オープンを制したとのことです。またスポーツクライミングの野口啓代選手も世界トップの実力者で5年後の活躍が今から楽しみと言われています。

そしてロ-ラ-スポ-ツではスケートボードが選ばれたみたいですが、ここでもやはり18歳のプロスケートボーダーで、アジアでは数少ないトップ選手の一人として知られる瀬尻稜選手がいます。

ですからそれぞれのところで、メダルを狙える有力選手がいるから楽しみというものです。新聞にも記載されていましたが、これらの競技は新スポ-ツという分類でも、元々は波乗りや山登りが原点ですから、歴史はそんなに新しいものではありません。

それゆえ日本人の器用さを活かせて是非活躍してもらいたいものです。今後この提案内容をIOCの専門委員会で吟味し、来年8月にリオデジャネイロで開かれる総会で正式決定するとのことです。

晴れて正式種目となることを祈りたいものです。野球も大谷投手はじめ、5年後には今回のU-18世界選抜で活躍した有力選手も抜擢されるでしょうから、本当に楽しみですね。首を長くしてその日の到来を待ちたいものです。

2015.09.25

社員が幸せと言える会社その2 No.2768

 前回は残業もすることなく5分のムダを6つ集めて30分の自由時間を生むという、未来工業を紹介させて頂きましたが、そればかりでなくこの会社、社員旅行などについても半端ではないので引き続き紹介いたします。

とにかく、それはため息がもれるような豪華さで、耳を疑いたくなる常識外れだというのです。世界遺産52カ所をめぐる豪華13コースなど、記載されていたのは以下の通りです。

「社員旅行の行先がイタリア??しかも総額2億円は会社持ち!?」そんな話を聞けば、「今どき、そんな気前のいい会社がホントにあるの?」と思う人も多いのではないだろうか。

社員旅行自体が下火になる中、岐阜県にある未来工業は、そんな豪華旅行を5年置きに実施している。費用は「全額、会社負担」。宿泊先も「4つ星ホテル以上」が前提だ。

創業50周年に当たる今年の訪問先は、イタリア。イタリア国内の52の世界遺産を網羅する全13コースが用意され、社員は一人ひとり好きなコースを自由に選べる仕組みになっている。

今回はいちばん人気が「水の都」ベネチアのコース。「世界最大の仮装パーティ」で有名なカーニバルの開催日と、旅行期間が重なったからだ。しかし、これだけで、うらましがるのはまだ早い。

なんと、未来工業の社員旅行には「驚くべき豪華賞品」が付いてくるのだ。今回の社員旅行では、「社内写真コンテスト」が実施された。社員が現地で撮影した写真を応募。帰国後に社内で行われる審査会で選ばれると、「驚くべき常識外れ」の豪華賞品をもらうことができる。

第5位までの“豪華”すぎる賞品は、以下のとおりである。第1位?新会社を設立し、社長に就任できる権利 新規事業会社を立ち上げて、そこの社長に就任できる権利。

第2位?有給休暇を実質1年間取得できる権利 年間休日140日と有給休暇40日に、特別休暇180日を加えて約1年間の有給休暇を取れる権利。ただし、分割取得はできない。

第3位?有給休暇を50日取得できる権利 第4位?社長に豪華夕食をごちそうになる権利 第5位?1年間、週休3日制にできる権利 現状の週休2日制に、さらに1日を加えて連続で休める権利。

もちろん上記の賞品を獲得したとしても、「権利を実行する」かどうかは別問題。8月末時点で、実際に権利を行使したのは、第5位の「週休3日取得権」を得た社員だけらしい。しかし、無料の社員旅行で、しかも写真コンテストの賞品がこれだから恐れ入る。

いったい未来工業は、なぜ社員のためにそこまでやるのだろうか?豪華社員旅行を推進したのは創業者の故・山田昭男氏だ。山田氏は生前、それを「アメ・アメ・アメ」作戦のひとつだと話していた。

「『アメ』をやるから働け」では社員をバカにしていると考えている、先代社長のこの考えについては次回また紹介したいと思います。とにかく一般の会社とは大きな差別化を図っている未来工業です。とても信じられないような素晴らしい社員の幸せを考えている会社です。

来週月曜日の28日は神奈川県寒川町の体育館に工事で出張するため、カキコミは休ませて下さい。

2015.09.24

歴史的勝利 No.2767

 シルバ-ウィ-クと呼ばれた5連休が終わりました。今年は土日の連休と敬老の日及び秋分の日がうまく続いたため、こうした長い連休となったのです。しかも、いつからか判らないのですが、祝日が飛び石で重なると真ん中の日は国民の祝日となるそうです。

こんなわけで思いがけない5連休を過ごさせて頂いたのですが、その間、日本ラグビ-が凄いことをやってくれました。まさに歴史的勝利と呼ばれているくらいで、世界ランク第3位の南アフリカにワ-ルドカップ初戦で勝ったのです。

しかも終了間際で逆転トライをあげたのです。ラグビ-の詳しいことはよく分かりませんが、この大詰めの日本の攻撃はトライを狙って逆転を目指すのか、またペナルティ-キックで3点を上げ同点を目指すのか、二者択一の選択を迫られていたのです。

どうもコ-チの選択は反対だったようですが、日本フィフティ-ンは迷わずトライを選択し逆転の勝利を目指しました。そして結果は見事な逆転勝利に繋がっていったのです。まさにこの勝利はアッパレの一言で、日本中のみならず、世界中のラグビ-ファンの度肝を抜くことになったのです。

このトライを挙げたのがニュージーランド出身のカーン・ヘスケス選手です。そしてチ-ムをまとめている主将もリーチ マイケル選手もやはり同国出身で、どちらも元々は外国出身の選手です。ただリーチ マイケル選手は2年前に日本国籍を取得していて、11年以上日本で暮らしているため、日本語も上手に話します。

このように日本チ-ムと言っても、結構、外国人のような人が多かったことに気づかれたと思われますが、ラグビ-は外国人選手の扱いについて他のスポ-ツとどこが違うのか、少し疑問を持ちましたので調べてみました。

その結果、代表資格は次の3つの条件のいづれかを満たしていればよいことが解りました。1つ目はその国や地域で生まれたことです。そして2番目としては両親または祖父母の一人がその国で生まれていることです。

またもう一つとしては、36ケ月以上その国・地域に居住していることです。つまり日本国籍をとったマイケル選手のケ-スでなくても、日本に3年以上住んでいれば出場できるのです。これならいわゆる外人枠が緩くなるわけです。

今回のチ-ムでは10人の外国出身の選手の内、5人は日本国籍を取得しているそうです。こうした元々の日本人以外の選手が増える傾向にあるラグビ-について、一部批判もあるみたいですが、代表で素晴らしいゴ-ルキックを決めている五郎丸選手は次のように語っています。

彼らは母国の代表より日本を選び日本のために戦っている最高の仲間だ。国籍は違うが日本を背負っている。これがラグビーだ」。そして常々日本人の積極起用を訴えていたヤマハ発動機の清宮克幸監督も、南アフリカ戦を観てその考えが変わっているみたいです。

とにかくエディ・ジョーンズヘッドコーチはじめ、こうした人たちが日本ラグビ-を強くし、ここまで押し上げてくれたと言ってもよいのではないでしょうか。2回戦対スコットランド戦は残念ながら負けてしまいましたが、まだまだ日本チ-ムの躍進が期待できます。

できれば予選リ-グを何とか2位以内で勝ち抜き、それこそ歴史的な決勝ト-ナメント進出を果たしてもらいたいものです。

2015.09.18

社員が幸せと言える会社その1 No.2766

 先週、月曜日から金曜日まで、定時になるとそそくさと帰っていた社員が土曜日の朝礼中、明日仕事が終わらないから休出させて下さいと申し入れがありました。私は直ちにそれは少しおかしいのではないかと、即座に休出を認めませんでした。

それはあまりにも計画性に乏しかったからです。それならなぜその前に少しでも残業して、休出しなくてもよいように仕事を終わらせるようにしなかったかと疑問を覚えたからです。結局その日の土曜日に遅くまで掛かって仕事を終わらせましたが、私たち企業のレベルはその程度です。

そんな私たちとはとても比較にはなりませんが、「残業が日本一少ない」「休みが日本一多い」「売上目標や営業ノルマがいっさいない」そんな「日本一『社員』が幸せ」といえる会社を紹介していました。

岐阜県にある電気・設備資材メーカーの未来工業です。私もかつてこの会社を訪れたことがありますが、とてもユニ-クな会社です。昨年、創業者である山田昭男さんが亡くなられてしまいましたが、その精神は立派に引き継がられています。

同社はスイッチボックスなどの電気製品を製造していますが、その分野では国内トップシェアを誇っていて、2010年から始まった「日本一大切にしたい会社」大賞も受賞しています。この「なぜ会社はそこまで社員を大切にするのか?」という理由を探っていた記事を見つけました。

まず7時間15分の就業時間と残業禁止を採り上げていました。いわゆる毎日が「ノ-残業デ-」なのです。この会社では夕方4時45分になると帰り支度を始め、5時にはほぼ誰もいなくなるというのです。もちろん仕事の持ち帰りも禁止です。

かつてその様子をテレビ「カンブリア宮殿」で紹介されていましたが、ある中堅社員は「家族との夕食を毎日とれるのが幸せ」と話していて、他社から転職してきた独身社員は、「平日に自分の時間がいっぱいあるので、前職ではあきらめていた『平日“婚活”』をやってみます!」と宣言してみせたというのです。

それでもこの未来工業は残業禁止の導入後30年間、赤字決算はなく、経常利益率の平均も10%を上回っていて、残業禁止で1日7時間15分しか働かないのに、儲かる会社であり続けているのです。

しかし以前の未来工業は午前8時始業で午後5時終業、繁忙期には残業もある、ごく普通の会社だったそうです。そして「残業禁止になる前は、定時に帰るという発想もなかった」という社員もいたほどだというのです。

それが今のような楽園企業に生まれ変わったのには次の3つの理由があったからと言われています。1.スーパーの閉店時間に間に合わないから  「17時に仕事が終わっても、近所のスーパーの閉店時間に間に合いません」

本社が大垣市内から移転すると、同市内に住む多くの社員は、20分以上早く自宅を出なければならなくなり、退社時間も遅く、女性社員からは「スーパーの閉店時間に間に合わない」と不満が寄せられたのです。

このことから創業者の決断で30分始業を遅らせ、終業時間15分早めた7時間15分の勤務体制が生まれたのです。2.残業手当を払うのが、もったいないから  「残業手当は、もったいないから払いたくない」

生前の山田氏は、実に率直にそう話していたそうで、それは残業手当は、基本給の25%もの割増しになるためだからです。ただこのことも相手を煙に巻くのが上手な人だっただけに、発言も額面どおりには受け取れないかもしれないとのことです。

むしろ次の3番目が最大の理由だと思えると言います。  3.仕事だけで人生を棒に振ってほしくないから   「ウチの社員たちには、ほかの会社みたいに、一度きりの人生を仕事だけで棒に振るような人には、なってほしくなかったんや

このように話している未来工業には、まだまだとても真似できない発想や取り組みがいっぱいあります。とても1回では紹介しきれないことからまた次回に譲りたいと思います。とにかく、社員を大切にすることでやる気を引き出し、大きな成果を上げている会社です。羨ましい限りです。

2015.09.17

セリ-グの混戦 No.2765

 ペナントレ-スも終盤に差し掛かり、パリ-グはソフトバンクで決まっていますが、セリ-グの混戦から目を離せなくなっています。17日現在でわが愛するヤクルトが首位で、阪神が1ゲ-ム差、そして3位巨人とは2ゲ-ム差と、ほとんどあってないような差なのです。

またもう一つ注目すべきは広島の勢いです。いつのまにか勝率を5割に戻し、首位と3.5ゲ-ム差に迫っています。この先優勝はちょっと厳しいかもしれませんが、クライマックスシリ-ズ出場は十分可能性があるのではないでしょうか。

各チ-ムの残り試合がヤクルト14、阪神14、巨人13、広島16となっています。面白いのは各チ-ム必ず苦手にしているチ-ムがあるもので、残りの対戦相手からも優勝を左右しかねません。

まずヤクルトが10勝12敗で唯一負け越しているのが阪神です。その阪神は巨人と広島に大きく負け越していて、併せて7試合も残しています。そして巨人は広島に分が悪いのですが残り試合は1つしかありません。また広島はベイスタ-ズと中日との対戦が悪く、併せて残り7試合もあります。

こんなことから占うと、まず阪神と広島はかなり苦しいのではないでしょうか。そしてヤクルトも当面のライバルである阪神と3つ、巨人と5つ、また広島とも4つ残していて、併せて12試合もありますから楽な戦いではありません。

そうするとこうした傾向からは巨人が一番有利かもしれません。要はヤクルトと巨人の残り5試合がかなり命運を決めるのではないでしょうか。そんなわけで今夜からのヤクルト-巨人2連戦から目が離されません。

ただ残り対戦相手ではなく各チ-ムの戦力状況を比べると、私は贔屓から決して述べるわけではありませんが、ヤクルトが一番打撃が良く有利のように思えます。まずトリプルスリ-の山田選手はじめ、川端、畠山両選手も実によいところで打っています。

そしてチ-ム打率も一番よく、逆に6チ-ムで一番悪いのが何と巨人なのです。過去チ-ム打率が最低なチ-ムが優勝したことはセパ併せても4回しかないと言われます。昨年もこの巨人、チ-ム打率は6チ-ム中5位で優勝だったのですが、走者を置いての得点圏打率がトップだったそうです。

それが今年はその得点圏打率もよくありません。つまりチャンスでなかなか打てないのです。また投手陣を比べたら各チ-ム互角ではないでしょうか。ただ抑えの投手ではヤクルトのロマン、オンドルセク、バーネットの3投手勝ちパタ-ンの継投が一番安定しているように思えます。

そんなわけで希望的観測もあって素人がペナントの行方を占ってみましたが、どうなることでしょう。いずれにしても近年にない展開で、プロ野球を最後まで楽しませてもらえています。

願わくば1年目の真中監督率いる、大好きなヤクルトに勝ってもらいたいものです。そういえばパリ-グのソフトバンク監督も1年目の工藤さんでしたね。でも本当のことを言うと、ヤクルトが今年こんなに活躍するとは思ってもみなかったのが正直なところです。

2015.09.16

安保関連法案の重要局面 No.2764

 安全保障関連法案が重要局面を迎えています。60日ル-ルではなく参議院で可決しようとする与党と、これを様々な手段を使っても何とか食い止めようとする野党との間に、壮絶な攻防が繰り広げられています。

この採決を強行しようとしている法案について、お馴染みのコリア・レポートの編集長の辺真一さんが、アメリカと北朝鮮の間で有事が発生した場合、アメリカ側についた日本は無傷ではいられなくなる可能性があると警鐘を発しています。

以下はその論説の要約内容です。まず戦う理由がない日本と北朝鮮の関係について述べています。日本と北朝鮮はパレスチナとイスラエルのような不倶戴天の関係にはなく、日本が北朝鮮から狙われ、攻撃される謂われもない。

日本は北朝鮮を併合、統合する意思もなければ、国交はないものの主権国家として尊重している。日本は北朝鮮とは「撃ち方、止め」の状態にある米韓と違い、交戦国家でもない。従って、北朝鮮からミサイルで狙われる理由は何もない。

安倍政権は「ノドン」など北朝鮮が配備している数百発のミサイルが日本にとって脅威であるとしているが、地理を観れば一目瞭然だが、日本は北朝鮮との間には印パのような国境紛争も、あるいは日中や日ロ、日韓のような資源紛争も、領土問題も存在しない。

広い日本海を共有していて、排他的経済水域もかち合ってない。中露韓とは異なり軍事衝突の火種は何一つない。何と言っても、日朝間には2002年9月に小泉総理と金正日総書記の間で交わした「平壌宣言」という「歯止め」の担保がある。

小泉政権以後の歴代政権も、また今の安倍リターン政権もこの「平壌宣言」を踏襲している。自民党政権であっても、民主政権であっても、総理がタカ派あるいはハト派であっても「拉致と核とミサイル問題を包括的に解決し、過去を清算し、国交を正常化する」のが日本の対北朝鮮政策の基本方針となっている。

北朝鮮のミサイル問題を例に集団的自衛権の行使の必要性を説いている今の安倍政権も、2014年5月に金正恩政権を相手に交わした日朝合意で「北朝鮮側と共に日朝平壌宣言に則って、不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、国交正常化を実現する意思を改めて明らかにし、日朝間の信頼を醸成し関係改善を目指すため、誠実に臨む」と宣言している。

但し、脅威に感じるとしたら、唯一の例外は、北朝鮮と米国もしくは韓国が交戦状態となり、日本が米韓に協力した場合のみ現実となる。北朝鮮の外相は日本を米国の追随勢力と位置付け、仮に第二次朝鮮戦争が勃発すれば「日本も攻撃の対象になる」との見解を示していた。

それでも日本への攻撃には「米国が戦争を引き起こした場合」とか「自衛隊が戦争に介入すれば」との前提条件が付いていた。仮に米朝や南北間で戦争が勃発すれば、日本が巻き込まれ、火の粉をかぶるのは目に見えている。

日米安保条約の中(第6条)に日本の安全と、極東における国際平和と安全を維持するため米軍が日本の施設と区域を使用することが許されているからだ。米朝が戦えば、朝鮮半島で火が噴けば、自動的に在日米軍は参戦する。

沖縄から米海兵隊が朝鮮半島に上陸し、横須賀から米空母が出動し、そして三沢など在日米軍基地から戦闘爆撃機が発進されることになる。日米安保条約が適応され、日本は米軍の補給基地、兵站基地、あるいは後方基地になる。

仮に戦闘に直接加わらない後方支援であったとしても、北朝鮮は「準軍事行動」とみなし、ミサイルの脅威にさらされることになるだろう。湾岸戦争の際、米軍に協力したことでイラクからミサイルを撃ち込まれたサウジアラビアの二の舞になるのは確実だ。

肝心の米朝交戦だが、北朝鮮が世界最強の米国に先に手を出すことは常識では考えられない。犬の喧嘩に例えれば、スピッツがドーベルマンに喧嘩を仕掛けるようなものだ。北朝鮮がいかに米国を言葉で威嚇したとしてもそれは弱者の虚勢にしか聞こえない。しかし、その逆はあり得る。米国による北朝鮮への先制攻撃だ。

米国、あるいは日本が北朝鮮のミサイルを迎撃、あるいはミサイル基地を叩いた場合、どうなるか?朝鮮は2009年のテポドン発射の後に訪朝した米高官に対して「迎撃されれば、日米のイージス艦を撃沈する態勢にあった」と伝えていた。

実際に放映された映画には、金正恩氏が2009年4月5日のミサイル発射を、金正日総書記と共に平壌の管制総合指揮所で参観していたことが判明していて、そのナレーションで、なんと「仮に迎撃された場合、戦争する決意であった」との金第一書記(当時党中央軍事委員会副委員長)の言葉が流れていた。

安倍政権は、日本が米軍に協力しても戦争に巻きこまれることはない、むしろ抑止になると国民に説明しているが、こと朝鮮半島有事では米国の「番犬」となれば、100%戦争に巻きこまれることになるだろう。

このような論説を述べています。つまりこのような事態になれば、否が応でも日本は戦争に巻き込まれることになるのです。従って絶対認められない法案ですね。何がなんでも阻止したいものです。

2015.09.15

人事を尽くして天命をもぎとる No.2763

 「人事を尽くして天命を待つ」という言葉がありますが、そんなものでは甘く「人事を尽くして天命をもぎとるのだ」という記述がありました。スポーツジャーナリスト二宮清純氏から聞いた話とのことです。

この度、初代のスポ-ツ庁長官に任命された、あのソウルオリンピック金メダリストの鈴木大地さんの獲得秘話です。100メートル平泳ぎ決勝は鈴木選手が3レーン、ライバルのアメリカのバーコフ選手が4レーンを泳ぐ。ただし鈴木選手の決勝に至るまでの泳ぎでは、到底優勝候補であったバーコフには勝ち目がない。

そこで鈴木選手は作戦を考えた。彼はバサロ泳法の回数を23回から、予選でも練習でもやったことのない27回に、距離にして5メートル延長して勝負に挑んだ のだ。これにより、隣を泳ぐバーコフがあせった。2人は入り乱れるようにゴールへ、まさにタッチの差で鈴木選手が金メダルを獲得した。

じつは鈴木選手は、このときのために手の爪を3~4センチ伸ばしていたという。その長く伸びた爪の分早くゴール板にタッチし、まさにミリ単位の勝負に勝ったのである。執念の勝利といってよい。

二宮氏は最後にこう語ったそうです。 「人事を尽くして天命を待つ」ではなく「人事を尽くして天命をもぎとるのだ」と。勝ちには勝つだけの理由がある。負けに は言い訳だけが残る。一流の人とは、まさに勝つための執念をもち、勝つための努力ができる人をさすに違いない。

また有名な作詞家の北原白秋さんにもこんな逸話があるそうです。大正・昭和初期に活躍し、「この道」など童謡の作詞者としても知られる北原白秋は、57歳で没するまで、「詩道一筋」の生涯を送った。

次々と傑作を著わし、大衆に支持された白秋は、いわゆる「天才」のひとりといえるかもしれない。しかし現実には、そこには血のにじむ努力の積み重ねがあった。北原白秋の「努力」への信念に関して、「詩歌の修行」(岩波書店『白秋全集24』所収)に次のようなエピソードがある。

ある時、彼は、若い急進派の歌人から批判を受けた。「あなたの歌はやはり型にはまった31文字の歌で、新しい現代の歌といっても、以前の旧派の歌とはただ紙一重の相違ではないか」それに対し、白秋は答える。

「そうです、ほんの紙一重です。しかしこの紙一重のために、この30幾年という長い年月を私は苦労してきたのだ」――そして水泳の競技にしても、ほんの1秒の何分の1という違いを競って新記録をつくるために毎日、朝となく夕となく涙ぐましい練習を続けているとし、「詩歌の修行も同じである」と述べている。

さらに修行について白秋は「突拍子もない大々飛躍などということはめったにできるものではない。修行というものは、石なら石をひとつずつ積みあげていくようなもので、根気よく、こつこつと仕事の力と量とを積みあげていかねばならない。どれだけ天賦の才に恵まれていても、この平生の努力を怠れば、ついには何の業をも大成し得ないであろう」と。

この北原白秋さんと鈴木大地さんはどちらも紙一重のためにしのぎを削り、必死の努力を重ねているわけです。このことが天才と言われる人の真実の姿だと言われているのです。そしてさらに次のように指摘しています。

たしかに、現在のレベルに満足し、“これでよし”とする人に、成長はない。つねに初心にもどり、“もっと努力しよう”“もっといい作品を残そう”という心をもてる人が向上していけるのであろう。これは現実の生活のなかにおいても、ビジネスにおいても同じことに違いない。

妥協を許さず、絶えず前進あるのみということです。私などは現状にすぐ満足してしまうタイプですから、成長するわけがありません。こうした一流にはとてもなれませんが、牛歩の歩みでもよいから人間として少しずつ成長していきたいものです。

2015.09.14

小日向文世さん No.2762

 言葉では言い表せないほど何とも良い味を出していて、私も大好きな役者の一人に小日向文世さんがいます。比較的若く見えるのですがもう61歳になるのですね。この小日向さんについての記述がありましたので紹介させて頂きます。

テレビ、映画、CMなどで大活躍中で、その顔を見ない日はないというほど、現在ひっぱりだこの演技派男優ですが、意外なほど家庭人としての要素が強いみたいで、以下のように語っています。

 「僕は、仕事が終わってまっすぐ家に帰るのがいちばん嬉しい人だし、仕事がオフのときも家にいる。食べるものも、女房の手料理がいちばん好きだし、僕は家族がそばにいてくれれば、それだけでいい。父の影響を受けているのかな……。

父は仕事が終わると勤務先の市役所からまっすぐ帰宅して。テレビの前に座って、お茶を飲みながらテレビを見ていた。あとは、子供たちと触れ合うことが何よりの楽しみであり、喜びという人でしたから

そういう彼が結婚したのは1993年、39歳のときです。奥さんは当時いた劇団の後輩でしたが、結婚を機に子どもを産んでしっかりと育てたいと言って、劇団を離れ家庭に入ったそうです。役者に対するこだわりはあまりなかったみたいです。

そして2年後に長男が誕生しましたが、その1年後には所属していた劇団が解散となってしまったのです。従って仕事の場を映画やテレビといった映像の世界に求めたのですが、オファ-はほとんどなかったと言います。

舞台役者としてはそこそこだったのですが、映像の世界では無名だということを思い知らされたのです。また給料は歩合制だったため、仕事をしなければお金が入ってこないわけで、事務所の社長に前借りをお願いし、仕事が入れば返済するという生活が何年も続いたそうです。

そうした47歳のとき、一大転機が訪れたのです。木村拓哉さん主演の連続テレビドラマ・HEROに、末次事務官役で出演し、これを機に次々とオファーが舞い込むようになったというのです。仕事のなかったときも、そのうち何とかなるといつも思っていたそうです。

それでも妻子を抱え、仕事もなく家でゴロゴロしている自分には恥ずかしい思いで、精神的にかなり落ち込んだ時期もあったと言います。そんな自分を支えてくれたのが奥さんと二人の子どもたちだったわけで、今があるのは家族と家庭があったからだと言っています。

小日向さんの役柄からは想像がつかなかったのですが、やはり苦労人なのですね。自暴自棄になりそうになったとき、いつもその心を支えてくれたのが家族だったのです。つまり自分の足元が揺らいでいたのでは良い仕事ができないというわけです。

だから真っ先に暖かい家族のいる家に帰りたいわけです。売れっ子である一面だけを見ていてはなかなか計り知れないものですが、経てきた苦労と共に役者としての味わいも深くなるわけです。

希のシェフ役とHEROの末次さん役では全く役柄が異なっていますが、それぞれで本当にいい味を出しています。益々その渋い持ち味で私たちを楽しまさせてもらいたいものです。

2015.09.11

集中豪雨被害 No.2761

 朝一番で神奈川県愛川町まで行ってまいりました。お引合いを頂いている分の現場調査のためです。往路、東名高速で向かう途中、自衛隊のトラックを十数台見掛けました。きっと茨城や栃木で起こった災害の救助や復旧作業に出掛けるのでしょう。

心の底からご苦労様と思い、やはり無くてはならない存在だなと感じたほどです。もっともそれはこうした任務に心から敬意を表しているからです。災害復旧など本当に大変なお役目だと思われますが、ある意味、こうしたことに徹しているから人々に愛されているのではないでしょうか。

それが好き好んで他国が紛争しているからと言って、誰が戦争に出掛けて行くというのでしょうか。きっと多くの自衛隊の人たちにとっても思いは同じではないかと思われます。ある人がこんなことを言っていました。「こんなに国内で活躍している自衛隊をとても海外には出したくない」と。

戦争など行くことなく、今のままの国民から頼りにされ、当てにされる存在で十分ではないでしょうか。ついつい自衛隊の救援トラックだと思われる一行を眺めたものですから、前置きが長くなってしまいました。

それにしても鬼怒川の決壊や宮城県の渋井川などの決壊で、もたらした被害は私たちの想像をはるかに超えた大きなものです。改めて豪雨による被害の大きさを知らされています。映像などで眺めても濁流が流れ込んだ住宅地の変わりようには目を見張るばかりです。

ほとんどの家の1階部分が水に浸かり、土台をすくわれて傾いている家もあります。そればかりか、強い流れに襲われた地域は地表ごと、その上にあった家が濁流に呑まれ流されてしまいました。

また車が土の中に埋もれていたり、道路が寸断されていてその先の電柱も大きく傾いています。これでは元の生活に戻るのにはかなりの時間を要するのではないでしょうか。

濁流に呑まれたりして行方がわからない人たちも20数名いると言います。そして今なお民家に取り残され、救助を待っている人たちも少なくないそうです。

今回の異常気象は台風18号から変わった低気圧と、東海上にあった台風17号の影響で、湿った空気が関東から東北南部周辺へ流れ込み続け、大量の雨を含んだ積乱雲のようなものが同じ地域にかかり続けていたためと言います。

またその量は通常の1か月分の2倍に当たり、その雨が一時に降ったのですからたまったものでありません。改めて災害に遭われた方々にお見舞いを申し上げ、一日でも早い復旧を願っています。

それにしても我が地域はなぜこんなに災害から逃れているのでしょうか。別に望んでいるわけではありませんが、地震や豪雨などの災害に遭われた地域の人々が気の毒でなりません。代わってやれないだけに、何となく申し訳ないような気持ちになるものです。

2015.09.10

日本のいちばん長い日 No.2760

 昨夜、家内と一緒に「日本のいちばん長い日」の映画を観てきました。高校の同級生でもある原田眞人監督が撮った映画で、前売り券も買ってあったからです。

彼のお膝元でもある地元・沼津の封切はどういうわけか、お盆を過ぎた8月22日と、他のところとは遅いスタ-トだったためについつい観るのが遅くなってしまったのです。彼はこのことを凄く憤慨していましたが、やはり時期的には日本の終戦記念日当たりが最適だったのではないでしょうか。

そんなわけで少し時期外れのためか、映画館には私たちも入れて5人ぐらいの人しか居らず、ちょっぴり寂しい状態でした。この映画を観るのに少し学習しようと、お盆の頃、BSのテレビでやっていた岡本喜八監督の撮った「日本のいちばん長い日」初版を眺めました。

そんな関係で登場人物については予備知識があったため、面食らうようなことはありませんでしたが、岡本喜八版も観ていない人たちにとっては登場人物のテロップもなかったため、すこし解りにくいのではなかったかと思いました。

逆な言い方をすると、監督は岡本喜八版を観ていた人間をかなり意識していたように思えます。主役の阿南陸軍大臣を演じた役所広司さんはもちろんとして、結構、焦点を当てていたのは鈴木総理と昭和天皇だったように思えます。

ですからこの役を演じていた山崎努さんと本木雅弘さんの演技には巧みさと新鮮な感じを受けました。旧作は天皇の姿・形などはあまり映っていませんでしたが、はっきりとした意見や思いを伝える天皇の位置づけに違いを出したのかもしれません。

またあらすじを順序立てて解りやすく展開していく旧作に対して、比較的早めの場面転換などを採り入れていたことはかなり旧作を意識していたように思えます。まあ映画をあまり観ない私などには批評する資格などありませんが、どちらかと言えば旧作の方が素人の私には解りやすく良かったように思えます。

それでも一度作られた映画を撮り直しするということは、想像以上に難しいでしょうね。同じものにはできないし、焦点の当て方を変えなければいけません。でも血気にはやる若き青年将校の役にはイケメンの松坂桃李くんにはやはり無理なように思え、旧作の黒沢利雄さんが良かっただけに少し物足りませんでした。

新作の良い所と言ったら、人間天皇をつぶさに描いていたところではないでしょうか。自分のことはさておき、国民のことを一番に思い、永年かかって築き上げた日本という国を潰したくない気持ちを素直に描いていたように思えます。

またそうした戦争を終結することの難しさと併せ、人間天皇の終戦への役割は、今回の映画から監督が伝えたかったことのように思いました。