会長の”三行日記”

2015.01.15

情けは人のためならず No.2673

 「情けは人のためならず」という言葉があります。比較的間違えてその意味を捉えやすいのですが、人への情けは相手ばかりでなく、自分の為にもなるということです。

ですから、情けは決して人のためにはならないということではありません。この言葉が科学的にも根拠があるという話が載っていました。健康づくり運動を進めている、諏訪中央病院名誉院長の鎌田実さんの話です。

鎌田さんはよく知られているとおり、40年来、地域住民とこの健康づくり運動を進めてきました。食事や運動に加えて、生きがいや地域の絆も健康長寿の秘訣と分かってきたことから、できるこことから実践しましょうと以下のように述べています。

散歩や体操など軽い運動を習慣にすれば、体力が維持でき、認知症のリスクも下がります。そして近年、健康寿命の長い地域に共通するのが高齢者の就業率の高さだと分かってきました。

「人の役に立っている」と実感し、生きがいを持ち続けている人が元気で長生きしているのです。「よくボランティアをする人は高血圧の発症率が40%低い」「コミュニティ-の絆が強い町の住民は心筋梗塞になりにくい」と海外でも報告されています。

僕らは心を持つ生き物だから、自分が存在している意味が見えている方が健康でいられる。長生きのためには生きがいと絆をどう持つかがとても大事。地域や臨床現場で健康づくりに長年取り組んできて、最後にたどりついた結論です。

野菜をたくさんとり、血管を健康にする成分を多く含む魚をよく摂取する、食事の改善が健康長寿の秘訣などと伝えられていましたが、そればかりではないのですね。健康寿命というのは、一生のうちで健康上の問題で日常生活が制限されない期間のことを指すそうです。

それは男性が71.19歳(平均寿命80.21歳)、女性74.21歳(平均寿命86.61歳)と言われています。つまりそれぞれが10年ぐらい何らかのことで健康を損なっているのです。ですからその差が小さければ小さいほど、その人の人生は充実しているとも言えるのです。

このようになりたいものです。昨夜出掛けたお通夜の席では、91歳の故人が「普通に生活していて朝起きたら亡くなっていた」というようになりたいと常々口にしていて、実際にもそれに近いような形で亡くなられたと伝えられていました。

これが理想的な生き方なのでしょう。健康は目的ではなく幸せに生きるための道具とも言われています。同じものを食べるにしても、家族や仲間と大勢で食べた方がよりおいしく幸せを感ずるわけです。やはりコミュニケ-ションが大切なのですね。