会長の”三行日記”

2014.08.13

中国期限切れ肉 No.2609

 既に大々的に報道され、日本のマクドナルドなどファ-ストフ-ド店が大きな被害を受けている期限切れ鶏肉の加工問題ですが、本家本元の中国の国内の方がもっと大きなショックを人々に与えていると伝えられていました。

それというのも、中国国内では誰よりも中国人が一番、自国の食の安全を不安視しているからです。それはかつての国産粉ミルクへの有害物質の混入をはじめとして、下水から抽出した食用油の流通といったことや、例のギョ-ザ中毒事件など中国製品に対して誰よりも不信感を強く抱いているからです。

そしてそんな中で唯一、食の安全を託せる存在が、今回の期限切れ鶏肉事件を起こした上海福喜食品などの外資系企業だったのです。外資系企業が加工し、海外に輸出される加工食品は例外的に「食の安全」が確保されているが、中国国内に出回る加工食品などいったいどんな混ぜ物が混入しているのか、わかったものではないという思いが根強かったのです。

従って世界屈指の食肉加工メーカーである米国OSI社がオペレーションをしている上海福喜食品は、数少ない「食の安全」を期待できる存在でもあったわけです。そしてその加工肉を使用していたのはマクドナルドやケンタッキー、ピザハットなど米国のファストフードであり、肉の加工も商品として販売しているのも米国系企業であるゆえ絶対的な安心感があったのです。

これが今回の事件で大きく裏切られたわけで、中国人が受けたダメ-ジは私たちの想像以上に衝撃なものだったと言われているのです。とにかくその実態はひどいものです。

使用期限が7か月も過ぎたステ-キ肉を見て「この肉、青く変色してますよ」という問い掛けに、従業員の一人は「腐っているのさ」と平然と受け流しています。青く見えるのは恐らくカビの仕業でしょう。そしてその肉は細かくカットされて包装され、袋に記した新たな使用期限は1年後となっています。

この作業は工場幹部からの改ざん指示を受けて実施されているのです。またコストを下げるため、販売基準を満たさない不合格品の使用も日常茶飯事だったと言われます。ハンバ-ガ-用の牛肉を生産する際は、責任者自らが不合格品の牛肉を攪拌機のラインに投入、チキンナゲットの生産工程でも同様にその使用が横行していたと言われています。

まさに「知らぬが仏」で、どうせ分かりっこないと言って、一般的に原料の5%は不合格品を使っていたのです。またマクドナルドからの検査も形骸化していて、検査前日に通告を受けるゆえ、その日だけは正規の生産をして欺いていたのです。

それでなくても中国は水もダメ、空気もダメ、また農産物や加工食品に関しても、必要以上の農薬や薬物によって成長促進され、見た目だけを良くしたものに表れているとおり、あらゆる面で劣悪な環境に置かれています。また一方では今回の事件は一部の人間による私利私欲が引き起こした、おぞましい事件だとも言われています。

いわゆるその背景にこの国独特の汚職が絡んでいると言っているのです。期限切れの肉を減損処理する一方で、加工に回してしまう。また新しい肉を仕入れたことにして期限切れ肉で代用する。あるいは新しい肉を購入し、その後、転売する。

こうして裏金を作って、5人の幹部がポケットに入れてしまったのではないか。幹部だけが金儲けをしていることに不満を感じた現場社員が上海テレビにリークしたというのが事件の全体像だろうと、このように言われているのです。

とにかくこれでは何を信じて暮らしていってよいのか、全く分からないものです。ここまで来ると、もう共産党1党独裁的政権の終焉のような気がします。哀れなのは何よりも人間の一番の楽しみである「食」の安全から放たれた中国国民です。言っては申し訳ないが、日本人に生まれてつくづく良かったと思っています。

明日14日より17日まで短い期間ですが、弊社は夏休みとなります。4日間、営業を休ませていただきますので、よろしくお願い申し上げます。