会長の”三行日記”

2014.04.21

韓国客船転覆事故 No.2559

 韓国で起こった旅客船転覆事故ですが、依然として多くの行方不明者の救出がはかどっていません。事故から多くの時間が過ぎているだけに、その安否については残念ながら不安視されているものです。

この事故ですが、韓国政府を含めた関係者による事故直後の対応のまずさが指摘されています。まずパク・クネ大統領ですが、行方不明者の家族が待機する場所に現れた途端、家族から「こんなところにいないで、早く救助の対策を立てろ」といった罵声を浴びせられたとのことです。

家族にすれば一刻も早く救ってほしいというのが真情でしょう。でも遅々として進まない救出にいら立ちがピ-クに達していたのではないでしょうか。この救出の援助に我が国やアメリカもその手を差し伸べたのですが、韓国側は受け入れることがありませんでした。

特に日本などは過去においても、転覆漁船から3~4日ぶりに生存者を救出した実績などがあるだけに、技術的にも高いものがあるはずです。それを国のメンツや両国間の関係の険悪さなどが影響しているのか、耳を貸さないというのは本当に情けない話です。

つまらないこだわりは尊い人命には代えれないというものです。そして事故直後、船長はじめ一部の船員は真っ先に船から逃げ出したと言います。まさに何をかいわんやというもので、お話になりません。原因が人的ミスでないかと言われているだけに、その責任感というものが全く感じられないお粗末な話です。

こうした中にあって、最後まで船に残って乗客の脱出を手助けした挙句、自分は犠牲になってしまった女性乗務員の勇敢な行動が伝えられています。パク・チヨンさんという22歳の方ですが、船の浸水が始まると、ライフジャケットを学生たちに渡し、避難を呼び掛けるアナウンスを最後まで続けたと言われています。

救助された女子学生の一人がその姿を見て、「お姉さんは着ないの」と聞くと、「乗員は一番最後だ。友達をみんな助けた後に、私も行くから」と話していたそうです。まさに逃げ出した船長に聞かせてやりたくなる話です。

パク・チヨンさんは2年前までは大学生で、父を病気で亡くし、残された母を経済的に支えようと、1年前に入ったばかりの大学を休学し、非正規職員としてこの道に入ったそうです。そしていずれは大学に戻ることも考えていたみたいですが、そうした矢先の出来事で本当にお気の毒なことです。

休学した大学では早速、名誉卒業証書を発行したとのことですが、勇敢な見習うべきその行動に各所から称賛の声が大きくなっているとのことです。迫りくる死を直前になかなかできそうで、できないことです。心からそのご冥福をお祈りします。