会長の”三行日記”

2013.12.20

山本昌邦氏講演より No.2502

 ついに猪瀬東京都知事が辞任しました。初めからこうなることが予想されていただけに、もっと早く潔く辞めるべきでした。政治家にはこうした金がつきものですが、あまりにもガ-ドが甘すぎました。誰か相応しいクリ-ンな人を探したいのですが見つけるのはやはり無理なのでしょうか。

さて先週の土曜日、三島駅前の日本大学で開かれたファルマバレ-セミナ-に参加してまいりました。第1部としての講演はサッカ-の元全日本監督の山本昌邦氏の講演だったのですが、少しその内容を紹介したいと思います。

お話の中で強調されていたのが、本当に良い選手とは90分を超えた時間帯で得点できる選手だと言われていました。一流選手ほど高い目標を持っていて、通常の時間帯の90分ではなく、前回のワ-ルドカップ決勝戦のスペイン-オランダ戦のように延長の118分に何ができるかということがポイントのようです。

注目される選手は皆、技術、戦術、体力面で特に優れていますが、やはり心の問題が大切だと指摘します。勝つことが大切ではなく、勝とうとすることが大切で、最後まであきらめない選手が一流と呼ばれる所以とのことです。

それは結果にも表われていて今シ-ズン、残りの15分で一番点を獲ったのが大迫、次が柿谷という今をときめく両選手です。また記憶にもまだ残っているでしょうが、なでしこがワ-ルドカップで宿敵・アメリカを倒し、世界一になった決勝戦の延長で、117分という土壇場で同点に追いついたのが沢選手のゴ-ルです。

これが沢選手がス-パ-スタ-と呼ばれる所以です。また2002年のワ-ルドカップで、選手枠23人の最終追加で選ばれたのが中山、秋田の両選手です。ゲ-ムには多くは出れなかったものの、この二人のお陰でチ-ムがまとまった、いわば23人が入っている樽の修復材の役割を果たした、精神的支柱の存在だったようです。

この中山選手、技術だけならこれといって特筆されるものを持ってはいませんが、強いハ-トという面では人の何十倍もの強靭なものを兼ね備えているそうです。ですからフランスでのワ-ルドカップの試合のように、脚を骨折したにもかかわらず、ずっと試合終了まで走り続けていたことは、今でも多くの人の語り草になっています。

そして演題は「心をつかむ人材育成術」ということでしたが、自身の監督としての経験からこんなことも言われていました。選手を集めて話す際、主語の使い方に気をつけるということです。

結果がうまくいったときはお前たち、君たちと呼びかけ、努力したことをほめることでよいのですが、一方そうでなく、うまくいかなかった場合は、我々とか俺たちという表現を使うと言われていました。その責任がさも選手だけのように誤解されないためです。

また相手と面した時に、自分は低い方の椅子に座り、相手の話を努めて聞いてやることが大切だと言われていました。それから自分の役割としては教えるのが仕事ではなく、気付かせることが必要だと述べていました。結果を変に問わず、やはり自信を持たせたいからでしょう。

最後に一番印象に残った言葉としては「苦しい状況になったときこそ、その人間の真髄が見える」と話されていたことです。冒頭に戻りますが、やっとここで辞職した猪瀬前知事を見ても、そのことは明らかだと言えますね。