会長の”三行日記”
2013.10.31
日展入選とは No.2479
以前から大きな展覧会で入選するのには、それなりの会派や先生についていなければ無理と言われてはいましたが、現実にその話を裏付ける事実が発覚しました。それも日展という、日本でも最大級の権威を持つ展覧会でのことです。
日展には日本画、洋画、彫刻、工芸美術、書の5つの科に、規定の料金さえ払えば誰でも応募できるわけですが、書の4部門の中、漢字、かな、調和体と並ぶ篆刻(てんこく)という部門での話です。
朝日新聞によると、石材などに文字を彫る、この篆刻の審査に当たり、当時担当の審査員が有力会派幹部に送った会派別入選数の配分表などを入手したとのことです。
配分表には有力会派8会派ごとの応募数と入選数が記されていて、過去5年分の会派別の一覧表も添付されていました。またもう一つ添えられていた手紙は、入選者公表前に書かれたものですが、昨年度の反省も含め、以下のように記されていました。
「今年は昨年度の会派別入選数厳守の指示が、日展顧問より審査主任に伝達され、これに従った決定となりました」。この日展顧問とは書道界の重鎮で日本芸術院会員とのことですが、伝えられた審査主任もまた書の4部門での審査責任者と言われています。
こうして2009年度の入選者はこの配分表通りに決定され、8会派に属していない人は誰一人として入選しなかったのです。これでは才能があっても会派に属さない人にとっては、何回挑戦しても入選などするわけがありません。またその人たちにとっては応募料の1万円をドブに捨てるようなもので、応募者を裏切る行為でもあるわけです。
自分たち主要会派で入選を独占することにより、それぞれの会派は日展入選を次の生徒募集の売りにするのでしょうが、こんなことが許されていいのでしょうか。これでは芸術の新しい流れも生まれないというものです。
推測するところでは、今回発覚したのは書の一部分に限られていますが、絵画等他の科目においてもきっと同様なことがあるのではないでしょうか。日展は106年もの長い歴史を有する、国内でも最高級の権威を誇るということですが、こうした実態ではその名が泣くというものです。
それぞれの分野での閉鎖的な体質がこのようなことを招いているのでしょうが、しっかりと実情を調査し、不正審査が行われないよう、審査員や審査方法等を改めるなど、早急にテコ入れの必要があるものと思います。やはり外部の厳しい目が必要で、開かれたものでなくてはなりません。