会長の”三行日記”

2013.10.07

アメリカの異常さ No.2470

 アメリカの連邦政府の業務が停止したと言います。これにより、関連職員は無給扱いで自宅待機を求められているというのです。もっとも全ての職員ではなく、生活や治安を損ねる部署の航空管制官やFBIなどの職員は例外だといい、航空宇宙局の職員など全体の約20%が自宅待機となると言います。

これにより有名なアリゾナ州のグランドキャニオンなど、全国に401ある国立公園や博物館が閉鎖され、観光客にとっては大きな痛手となっています。何しろ折角、アメリカをこのために訪れているにもかかわらず、中に入ることができないからです。

わざわざ訪れた観光客にとっては、連邦政府の業務が停止したからと言って、そんなことはそちらの都合で自分たちには何も関係ないことで、いい迷惑というものです。まさに寝耳に水の話となっているのです。

この政府業務停止の原因は新年度が始まる10月1日までに新予算が成立しなかったからです。アメリカの上下院は現在、上院が与党の民主党、そして下院が野党の共和党が多数派を占める、ねじれ状態にあるため合意ができず、予算成立がならなかったのです。

我が国、日本では参議院で成立できなくても衆議院で可決されれば、最終的には成立するのですが、アメリカではそうはいきません。このため、オバマ大統領は急遽、予定していたフィリピンやマレ-シアへの訪問を中止しなければいけないほど、慌てぶりを見せています。

この大統領の両国訪問は近年、南シナ海への中国の海洋進出攻勢を警戒する目的で、アジア太平洋における米国の存在感を示す重要な機会と位置付けていたと言います。マレーシアへの訪問はおよそ半世紀ぶりといい、フィリピンとの間では中国の進出をにらんで米軍の関与拡大を示すつもりでいたとのことです。

従って内政のゴタゴタが外交戦略にまで影響を及ぼすことになり、アメリカに対する信頼感の低下につながる怖れもあるのです。このように大きな波紋を広げている政府業務の停止ですが、日本と違ってアメリカでは元々、連邦政府は必要悪などと考えられているところもあるというから驚きです。

いろいろと物議を醸し出している銃の所持にしても、政府がいくら言っても地方は銃を持つ自分たちの権利を主張し、一向に改善されません。また自分のことはあくまで自分でと考えるから、今回の共和党のように社会保障拡大の医療保険制度の改革にも抵抗を示します。

何とも、まとまりのないような国に思えるものですが、それが自由主義を貫くアメリカの実態なのでしょうか。とにかく高い金を払って折角訪れた観光客などを、落胆させるような真似だけは慎んでもらいたいものです。