会長の”三行日記”

2013.05.29

非情采配 No.2400

 巨人・原監督の非情采配が伝えられていました。26日のオリックス戦、1回の守りで痛い失策をして失点につなげてしまった村田選手を、その裏、回ってきた打席で三球三振、その回限りでベンチに下げたのです。

原監督に言わせると、心技体ともに準備不足ということからです。そして川相コ-チからは「失敗したから代えたのではない。挽回の機会の打席で、取り返してやろうという気迫が感じられなかったのだと思う」と述べています。

おそらく、たまたま村田選手が標的にされたのですが、チ-ム全体に喝を入れたかったのでしょう。ご存知の通り、今シ-ズン、スタ-トダッシュよく、快調な滑り出しでここまで首位を走る巨人なのですが、5月の交流戦を境にちょっと足踏み状態が続いています。

この巨人に限らず、セリ-グの球団全部がパリ-グ球団に手を焼いているのが現状でしょうが、このまま続くとこの先上昇・阪神に足もとをすくわれる恐れがあるからということかもしれません。

村田選手が1回で引っ込められた試合、両チ-ムの監督は対照的な采配を見せていたようです。原監督の情け容赦のない采配により、試合後の村田選手は鬼の形相だったようです。

一方、オリックスの森脇監督は、1番ショ-トで先発した山本和作選手が3打席三振、そして守備でもトンネルや、痛い8回のショ-トフライの落球があるにもかかわらず、代えることがありません。

目を覆うような惨憺たる内容だったのですが、9回の打席で右前打を放ち、ようやく代走を出したのです。そして「ミスをしたときに、どう取り返すかが大事。ひるんだり、体が丸まったり、目が死んだりするようでは戦力として使えない。最後のヒットは非常に価値がある」と述べています。

面白い対照的な采配なのですが、選手層の厚い巨人とそうでないオリックスではチ-ム事情が全然違うからではないでしょうか。この原監督の毅然たる判断の采配に、以前この欄でも触れた高代延博さんは、原監督らしい決断で、これまで取り組んできた野球観が表われていると評価しています。

監督の仕事はバントのサインを出したり、投手交代を決めるだけではない。一番大事なことはチ-ムとしてどんな野球を目指すのか、それを選手、スタッフに浸透させることだ」と述べています。そしてこの試合で、戦う準備ができていない選手は使わないという、強烈なメッセ-ジをチ-ム全体に発しました。

一見、お坊ちゃんのように見える監督なのですが、「当たり前のことを当たり前にやる。そのためにも準備をおろそかにしてはいけない」と、巨人独走と思われたペナントレ-スに決して油断することなく、勝負はそんなに甘いものではないと、手綱を引き締めた采配には、ちょっと見直すものがありました。我が敵ながらアッパレで、益々手強さを感じた一件でした。