会長の”三行日記”

2013.05.07

都知事の失言 No.2387

連休はいかがお過ごしだったでしょうか。30~2日を除き、だいたいは良いお天気でした。工事等でほとんど休みがとれなかった弊社では、後々、社員の皆さんには振り替えで休んでもらおうと思っています。 頑張ってもらって感謝していますが、こうしたことも小さな差別化ではないでしょうか。

さて2020年の東京オリンピック開催実現を、待ち望む方は少なくないのではないでしょうか。その立候補した当事者である、東京都の最高責任者の猪瀬都知事がつまらないことを述べてしまいました。

米紙ニューヨーク・タイムズの取材を受け、同じく立候補している他の都市を批判するような発言をしてしまったのです。「選手にとってどの都市で開催するのが最高か?  社会基盤や洗練された施設が整備されていない他の二つの国と(東京を)比べてください

また、「イスラム諸国が共有しているのはアラーの神だけで、彼らは互いに争っている。彼らの国には階級がある」と、暗にイスラム圏初の五輪開催を目指す、イスタンブール(トルコ)を意識した発言をしたのです。

原則としてIOCは、招致活動において他の候補都市のイメージを損なう行為や発言を禁じていることから、このことが今後の東京開催招致に向け、少なからず影響を及ぼすことは間違いありません。それから、「イスラム圏初ってそんな意味あるのかなあ」という発言も気になるところです。

ご存知の通り、かつて東京で開かれた1964年のオリンピックは、「アジア初」というのが最大のウリ言葉だったはずです。ですから「イスラム圏初」というのは何も問題ない触れ込みで、それをどうのこうの言ってしまうと、ケンカばかりしているという発言と併せ、イスラム諸国全部を敵に回してしまう恐れがあるのです。

IOCの中で投票権を持つイスラム圏の委員は1割以上だと言われています。それだけに、その全部を敵に回してしまうと侮れないものです。元々猪瀬都知事は緻密な取材を経て物を書く作家だけに、結構、繊細のところがあるそうです。

それゆえこういった言動にはくれぐれも気をつけてもらいたいものです。思い起こせば49年前になるのでしょうか。開会式の抜けるような青空を今でもしっかりと思い出すことができます。私が中学3年生の時、これに合わせてカラ-テレビを買った友だちの家で、開会式を見ることができました。

この青空に、日本チ-ムの深紅のブレザ-と真っ白いスラックスやスカ-トがよく映えました。こうした感動を味わったことのない子どもや孫たちにも、是非分け与えてあげたいものです。それだけに都知事の言動は、待ち望んでいる、自国での五輪を知らない世代の人たちにも水を差すものでした。

大量得票で都知事に当選した驕りや、気の緩みがなかったでしょうか。「驕る平家は久しからず」という言葉もあります。権勢にあぐらを掻き、慢心する人はいつまでも続かないものだと肝に命じるべきです。