会長の”三行日記”

2013.04.08

国民栄誉賞 No.2373

 長嶋茂雄さんと松井秀喜さんが国民栄誉賞をダブル受賞することになりました。ご存知、長嶋さんはミスタ-と呼ばれ、多くの野球ファンから愛され、今のプロ野球人気を王さんと共に築き上げた大功労者とも言える方です。

まだもらっていなかったのかと、大部分の方が不思議に思うほどの人なのですが、ある意味では受賞するきっかけを失っていたのかもしれません。そうした意味ではここで愛弟子でもある、日米で大活躍し引退することになった松井選手の受賞と併せ、やっとそのタイミングができたとも言えるものです。

巨人、大鵬、玉子焼きと言われ続けるほどの巨人軍にあって、やはり長嶋さん抜きにはとても語ることができないものでしょう。私は子どもの頃からアンチ巨人だったのですが、不思議と長嶋さんと王さんは嫌いではありませんでした。

そのくらい誰からも人間的に愛されていたのでしょう。特に長嶋さんはチャンスに強い人でした。そして天覧試合のサヨナラ本塁打のように、大試合やここ一番という場面で、憎らしくなるくらい活躍したのをはっきりと憶えています。

ですから野球だけでなく、日本の高度成長の時代にあって、国民に活力を与え続けた、時代を象徴する人とも言えるのではないでしょうか。その性格は天真爛漫とも言われ、一部天然とも呼ばれるほどの、訳の分からないところも随所に見られましたが、やはり大人(たいじん)だったのでしょう。

そんな長嶋さんなのですが、気配りに富んでいたとも言われています。そして9年前に脳梗塞で倒れたのですが、不自由な体をおしても相変わらず野球にかける情熱は凄いものがあったようです。

愛弟子の松井さんは不調になると、海を越えた国際電話でよく長嶋さんに問いかけたと言います。すると長嶋さんは「受話器をそこに置いて、バットを振ってみろ」と指示したそうです。そして電話口から聞こえてくるバットが風を切る音で、スイングをチェックしたというのは有名な話です。

そうした二人三脚の努力が実って、ワ-ルドシリ-ズでのMVPという偉業にも繋がったのでしょう。とにかく二人の受賞は喜ばしいことです。できればもう一人、日本人大リ-ガ-の道を切り拓き、ノ-ヒットノ-ランを2回も達成している野茂投手にも、スポットライトを当ててもらえば何の異論もありません。二人の受賞をよい機会に、先駆者たる偉業を見直してもらいたいものです。