会長の”三行日記”
2013.01.11
マグロの初競り No.2338
正月早々景気の良い話です。一部には市場価格を乱すという批判の声も挙がっていますが、5日に東京築地市場であった初競りで、222キロの生鮮本マグロが史上最高値となる1億5540万円で競り落とされました。
このマグロは味には定評のある、最高級と言われる青森県大間産のものですが、今年はたった4本しか競りに出されていませんでした。その中で200キロを超える唯一のマグロに、この破格な値段が付けられたのです。
1億5540万円という価格は、昨年の最高値であった5649万円を何と1億円近く上回る数字です。また魚ではなく松坂牛のような高級肉でも、過去最高の落札価格が1頭678キロの牛で5千万円と言われていますから驚異的なものです。
なぜそれほどまでの高値が付いたのか、そのわけが昨日の朝日新聞に載っていました。一つには大間産のマグロが不漁で、たった4本しか出されていなかったことから、唯一200キロ台の大物に熱い視線が注がれたのです。
それからここ数年は二つのすしチェ-ン店が競うような形で、史上最高値を更新し続けていることにあります。 一つは今回落札した、築地にも店を構え50店舗を展開する「すしざんまい」で、もう一つは香港を中心に日本でも5店舗を出す「板前寿司」です。
この板前寿司のほうは、2008年に日本に出店してから初競りに参加し、翌年からは銀座の高級すし店「久兵衛」と共同購入という形で、4年連続最高値を付けていたのです。
でも昨年はこのすしざんまいが競り落としていて、宣伝効果は1億円以上あったと言われていました。また購入後、海外に行くよりも国内で食べてほしいというコメントが強調されていて、相手側にも火をつけたことから、両者の競争が更に激化していったのです。
こうして今年の競りも、板前寿司から任された代理人が、言われていた上限金額を超えるほど、両者の激しい凌ぎあいが繰り返されたのですが、相手の青天井ぶりを察知しあきらめたのです。
しかし購入した側のすしざんまいの社長でも、正直ここまで上がるとは思わなかったと述べています。このすしざんまいの木村社長という方は、なかなかのやり手なのかもしれません。
ラジオで耳にしたのですが、落札からの数日後、首相官邸で安倍さんとも会談をしていたと言います。でも嬉しいのはこの驚くべきマグロが店で解体されて、多くの並んだ人たちに出されたのが大トロでも1貫398円という普通の値段だったことです。
落札額から換算すると1貫4万~5万円相当と言われますから、さぞ舌鼓を打ちながら味わったことでしょう。下世話な話ですが、このマグロを釣り上げた大間の漁師の方には、関係者の手数料を引いても約1億4500万円も入ると言います。
まさに盆と正月がいっぺんに来た話です。破格の落札値にはいろいろと批判が出ているようですが、今年の経済を益々活性化する意味で、正月らしいおめでたい話でよいことではないでしょうか。くれぐれも初競りに出そうと、漁師の方たちには無理のない漁を願いたいものです。