会長の”三行日記”
2012.11.09
ちょっと良い話part101 No.2309
嫌いな相手に救われるという、ちょっと良い話です。好き嫌いもなく、日頃から周囲にはおおらかに接しなさいという教えです。
昔、西洋のある国の皇太子は、ハエとクモが大嫌いだった。ある時、隣国との戦いに敗れて逃げ回っているうち、大樹の根元に腰を下ろした途端、どっと疲れが出て睡魔に襲われ、深い眠りに陥ってしまい、敵の近づいているのも知らなかった。
その時、一匹のハエが皇太子の顔の上を飛び回った。皇太子は無意識に手を払うのだがハエは逃げないどころか、皇太子の鼻の穴に入り込んだ。これでは眼を醒まさざるを得ず、ハッと気付くと敵の足音。危機一髪のところで逃げのびることができた。
その後、またも戦いに負け、ただ一人になって生き延び、とある洞穴に入り、グッスリ眠ってしまった。そこへ敵兵がやって来て、「この洞穴には皇太子がいるかもしれん。入ってみよう」と一人の兵士が言うと、その洞穴の入り口にクモが巣をかけているのを見て、他の兵士が、「クモの巣がかかっているからいないよ」といって敵兵は立ち去った。
そのため、皇太子は命拾いをした訳だが、皮肉にも日頃嫌がっていたハエとクモに助けられたわけである。この世の中、人間万事塞翁が馬で、何が幸いするか分からない。
これはお互い同士の付き合いも同じこと。「あんなやつ二度と顔を見るのも嫌だ」と嫌った相手に助けられることがないとは断言できない。どんなに嫌いな人に対しても、いつか世話になるかも知れないであろうことを忘れず、おおらかに接することが肝要である。
中国の万里の長城で遭難し、日本人としてただ一人助かった女性の救出は私たちの想像以上に大変だったようです。一行の動けなくなったのが午後9時ごろ。中国人ガイドが一人で下山し、警察に通報したのが午後11時と言われています。
それから現地の総勢150人あまりが捜索隊として、腰まで埋まる雪の中を救助活動に出掛けたと言います。そして翌日の朝になって一行を発見し、救助を終えたのがその日の午後4時だとのことです。また助けられた方はそんな雪の深い道中を、おぶってもらいながら生還できたのです
この救出劇は日本ではあまり大きく報道されませんでしたが、尖閣諸島で揉めている日中双方でも、争いは抜きに、こんなにも美しい話が生まれています。決してこちらは嫌いな相手ではないのですが、先方にとっては嫌いな相手だったかもしれません。やはり仲良くしなくてはいけないものです。