会長の”三行日記”
2012.08.29
ちょっと良い話part96 No.2265
久しぶりの「夫のロッキングチェア」という、ちょっと良い話です。私の友人たちにも今は忙しい仕事から離れ、優雅に暮らしている人が少なくありませんが、せめて今までの労を慰める時間ぐらい与えてやりたいものです。
夫が定年を迎える日には、感謝の気持ちを込めてロッキングチェアをプレゼントしようと、以前より心に決めていた。
夫は30代のころから「ロッキングチェアっていいね」と憧れを話していた。だが、転勤族で何度も引っ越しを繰り返していた事情もあり、望みはかなえられることなく月日が経った。
私は、この話を長年忘れられずにいた。定年後の夫には、ロッキングチェアに座って読書をしたり庭を眺めたりしながら、ゆったりとした時を過ごしてもらおうと思っていた。
その夫が、病のため急逝して約1年半。余りに突然の別れだったので、まだ納骨する気持ちになれない。だから、夫は今もリビングの特等席で、私や子どもたちの日常を見守ってくれている。
定年となるはずだった日が巡ってきた。座り心地にこだわって購入したロッキングチェアに、遺骨姿となった夫を座らせた。そしてそっと揺らしてみた。ゆっくりと、ゆらゆら揺れ続けている。
座り心地はどうですか?長い間、忙しいお仕事を本当にお疲れ様でした。そしてどうもありがとう。ゆっくり休んでね、あなた。
新聞のひととき、という投稿欄に載っていたお話です。大切な人の望みをかなえてやる前に、亡くなってしまったのですが、生きていたときと同じように、いやむしろそれ以上に、愛する人への感謝の気持ちが伝わってきます。
「ああ、この人と連れ添って本当に良かった」という、素敵な生き方をしなければいけませんね。まだまだ、そんなことはとても言ってもらえそうもない私の姿です。