会長の”三行日記”

2012.07.05

全日空と日航の業績の差 No.2241

全日空がこの7月中に2100億円の増資を行うと新聞に発表されていました。国際線を増やすために新しい飛行機を買うほか、アジアの航空会社への出資も検討しているとのことです。
 
これはライバルである日本航空が、今年3月決算期に見られる大幅な増収増益のV字回復による、再上場が見込まれているからです。
 
日航が上場を目指せば6千億から7千億ぐらいの金は集まると言われています。従ってその後に全日空が増資となると、投資が日航に奪われ、想定よりお金が集まらない可能性があるからです。
 
全日空は集めたお金で、15年3月末までにボ-イング787など、新しい飛行機を80機、約6千億円をかけて買う計画とのことです。この全日空も今年3月期の営業利益は過去最高の970億円と、業績は極めて好調です。
 
しかし売上高が日航の1兆2048億円より、1兆4115億円と優っているにもかかわらず、営業利益は970億円(日航2049億円)、純利益281億円(日航1866億円)と、大きく劣っています。
 
これは会社更生法の適用申請により経営破綻した日航が、金融機関の債権放棄や法人税の免除により、大幅に身軽になったことによります。これについて全日空の社長以下、公正公平な競争環境ではないと異議を唱えているところでもあります。
 
両社が抱える負債の数字などを比べても、日航の6737億円に比べ、全日空は1兆4477億円と倍以上の金額となっています。またこのうち、有利子負債などでは2084億円の日航に比べ、9636億円という5倍近い金額にもなっているものです。
 
このような現象は私たち一般人から見ても、少しおかしなところを感じます。公的支援を受けた会社が借金や税金を免除され、身軽になったことから、まともに経営している会社より業績をずっと伸ばしていけることです。
 
心情的にはそれなら迷惑を掛けた金融機関など、少しは罪滅ぼしで償ってもよいのではないかという思いです。ここまで業績を急激に回復した努力には評価しますが、一旦は経営破綻したものを国の支援で立ち直れたわけですから、利益等の還元をもっと利用者の便宜に向けてもらいたいものです。
 
そして全日空にはこの不公平に屈せず、更なる企業努力で名実共に日本一の航空会社を目指してもらいたいと願っています。