会長の”三行日記”
2011年11月
2011.11.14
お家騒動 No.2108
あの伝統ある巨人軍にお家騒動が勃発しました。球団代表である清武氏がグル-プの総帥とも言える、読売新聞グル-プ本社代表取締役会長・渡邉恒雄氏(通称ナベツネさん)に反旗を翻したのです。
その声明によると、来年度ヘッドコ-チとして引き続き予定していた岡崎氏が、ナベツネさんの鶴の一声で覆されそうになっていると言うのです。
球団代表が全く耳にしていなかった江川氏ヘッドコ-チ就任の話が出てきたり、去る10月20日に来年度コ-チスタッフの内容や構想も、ナベツネさんのところに出向き、報告して了承も得ているのにもかかわらず、酔った席で俺には一切報告もなしに勝手に人事をいじっているなどと発言していることに対してです。
つまりナベツネさんが球団を私物化し、プロ野球界のル-ルを無視した、球界で生きる選手、コーチ、監督の基本的人権をないがしろにしたという告発なのです。
これに対し、ナベツネさんの方も翌日以降、早速その反論を発表し、江川助監督の話は監督である原さんとも話し合い済みであり、今シ-ズンの不振も清武補強がほとんど失敗による原因で、原監督にも不満がないわけではなく、むしろ監督は会長寄りとのニュアンスを伝えています。
また清武さんが、現在のオ-ナ-である桃井さんの突然のオ-ナ-職剥奪についても、ナベツネさんの不合理について述べているにもかかわらず、当の桃井オ-ナ-がこの発言を支持していることもなく、全く孤立しているような状態なのです。
事の真偽は、部外者である私たちにはとても判断がつかないものですが、涙ながらに会見を開き、勇気を持って経営のトップにぶつかっていった清武さんの肩を何となく持ちたくなるものです。
それと言うのも、今回のベイスタ-ズ身売り問題等、まるで球界を自分ひとりが仕切っているようにも感ずる、以前から何かと問題発言が多いナベツネさんだからです。
まあ、それだけ政界などにも密接に通じ、大きな力を持つナベツネさんのことだから、周囲が今まであまりにもモノが言えず遠慮していたのでしょうが、ドラフト無視など強者の論理を振りかざす言動や不遜な態度には、私ばかりでなく面白く思っていなかった人は決して少なくなかったものと思われます。
やはり球界の盟主たる巨人軍のことですから、この問題を誰もが納得のいく、スッキリした解決を図ってもらいたいと思います。それにしてもあの江川さん、今回のことはご本人とは全く関係ないところでしょうが、何かと騒ぎに絡むものですね。それと原監督と清武代表の関係も今後、気になるところです。
2011.11.11
低度数の焼酎 No.2107
昨日触れたオリンパスの前身、高千穂ということではなく、九州のほぼ真ん中に位置し、「天孫降臨」の伝承地として知られる、本物の地・高千穂は水にも恵まれている地です。
このおいしい水を利用した、低度数の焼酎について書かれていました。これからはだんだん寒くなっていく季節、水割りというかどちらかと言えばお湯割りがおいしいものですが、一時のブ-ムが落ち着き、売り上げは頭打ちとなっている焼酎の話題です。
ここで考え出したのが低度数の焼酎です。最近ではウィスキ-を炭酸で割ったハイボ-ルとか、韓国生まれのマッコリが人気を集めていますが、これに対抗していこうとする狙いです。
今売り出されている本格焼酎は一般的には25度のものですが、ある会社で作られたこの麦焼酎は18度。40度半ばの蒸留した麦焼酎を水で割って度数を下げたもので、創業以来18度で売り出すのは初めてと言います。
薄くしたのは、焼酎を飲みなれない女性や若者のハ-トを掴むことと、原酒を薄める水にこだわりたかったとの理由からです。消費者に飲まれる際、水道の蛇口から出る水で割られてしまうのであれば、最初からおいしい水で割ってしまおうと考えたのです。
焼酎と水とがうまくなじむと、そのまろやかさが増すことから、試作は12~20度まで度数を変えて社員が利き酒を繰り返し生まれたと言います。この18度が飲みやすく、かつ本来の香ばしさや華やかさが残っていたからでしょう。
そして度数を抑えた分、価格も控えめにしていて、1升瓶で約800~900えんぐらい安くなっているというから買いやすいかもしれません。こうした低度数の焼酎は、九州の他の蔵元でも開発が相次いでいると言われます。
やはり既存の分野にあぐらを掻いているばかりではなく、様々な分野でこうした新しい取り組みやチャレンジが求められているのでしょう。また企業30年説などもあるとおり、変化を持たない戦略ではなかなか生き残りが難しくなるのではないでしょうか。
蛇足ながら、焼酎のお湯割りは焼酎にお湯を注ぐのではなく、熱く沸かしたお湯の中に焼酎を入れるほうがまろやかさが増すものです。是非、お試し下さい。
2011.11.10
隠ぺい工作 No.2106
昨日は静岡大学に出向き、人文学部の学生さんを相手に90分の講義をしてまいりました。これは中小企業家同友会と静岡大学の連携講座で、大学の教授とは全く違った、中小企業の経営者としての立場から、昨年に引き続き講師を務めたものです。
初めて行った昨年よりは、ずっと落ち着いてその役を務めることができましたが、いくら学生さんたち聴講者が変わっているからといえ、2年続けて同じような話をすることには少し抵抗があるものです。そしてどうしても聴いている方々の反応が気になりますが、私にとっても貴重な経験だと思っています。
さて過日触れたオリンパス問題ですが、ようやくその裏側に潜む問題が明らかにされてきました。解任された前社長のマイケル・ウッドフォード氏の指摘による、多額の企業買収とその手数料の根拠が不明となっている問題です。
調べによると、資源リサイクル会社など国内3社の企業買収には、その資産価値に見合わない高額な買収価格が発表されていましたが、資金の一部は同社が1990年代から抱えていた有価証券投資などの失敗による損失穴埋めに流用されたとのことです。
また当時同社の監査法人を務めていた、あずさ監査法人から不自然な買収問題の指摘をされていたにも関わらず、社内的に問題視せず、同法人は解約されて別の法人に代えられたという経緯も発覚しました。
明らかに当時の執行部役員による隠ぺい工作です。それは損失隠しに使われた手法で、保有株や不動産が値下がりした企業が損失表面化を避けるため、決算期が異なる関連企業に、含み損のある有価証券などを一時的に売却する、「飛ばし」というものらしいのです。
ですからオリンパスはバブル当時、財テクに失敗し、90年代に千数百億円の含み損を抱えていたとのことです。それを長いこと引きずってきて、長いものには巻かれろ体質で内部では問題化されなかったことを、新進気鋭の外様であるマイケル・ウッドフォード社長の出現で表面化されたのでしょう。
こうなるとオリンパスの1社の問題が、さも日本的企業全般に共通しているような誤解さえ与えかねません。オリンパスはこれにより決算の公表が期日までにできないことから監査銘柄株式とされ、来月14日までに決算発表ができないと上場廃止となります。
まさに光学機器の分野では、世界を席巻した繁栄から没落の一途をたどるものです。オリンパスの前身は高千穂製作所と言います。神々が宿る高千穂の峰から、世界の高天原をめざそうと、その名「オリンパス」はギリシャ神話の聖地から名づけられたとのことです。この有り様ではその名が寂しく泣いているものです。
2011.11.09
笑顔がもたらした優勝 No.2105
先日の女子ゴルフ、ミズノクラシックで上田桃子選手が2年ぶりの優勝を飾りました。中国のフォン・シャンシャンという、体格的にいかにも飛ばしそうな選手とのプレ-オフの末、もぎとった勝利なのですが、久しぶりの日本人選手の活躍で、少し溜飲が下がったものです。
それというのも、日本で開催されているこの女子ゴルフツア-ですが、最近では韓国や中国、台湾の選手の台頭がめざましく、現在の賞金王にしたって、2年続けて韓国のアン・ソンジュ選手に持っていかれそうな様相です。
そんなわけで、しっかりしろと日本人選手に叱咤激励したくなっていたのは、決して私だけではなかったと思います。そんな中、プレ-オフにもつれ込み、またまた雲行きがあやしくなっていましたが、見事その3ホ-ル目でバ-ディにて決着をつけてくれたのです。
この上田選手、ここしばらく勝てないどころか、予選落ちなども続いていたことから「もうゴルフをやめたい」とまで思っていたこともあったみたいです。
日本での賞金女王という実績を引き下げて、2008年から米ツア-に参戦していたのですが、なかなか勝てず、4年が経過した今、もう勝てないのではないかという恐怖心にまで襲われていたと言います。
そんな彼女を少しでも陰で支えていたのは、一緒にツア-で活躍している、宮里藍、宮里美香の両選手の存在だとも言われています。今回の優勝でもプレ-オフ前から18番のグリ-ン横に待機していて、声援を送りながら優勝が決まると真っ先に祝福する姿が映し出されていました。
やはり、単身アメリカに乗り込んでプレ-するというのは、私たちの想像以上に孤独なのでしょう。日本のト-ナメントと言っても、米ツア-の公式戦も兼ねている、この大会での優勝で無条件に3年間のシ-ド権も手にすることができました。
これからはもっと伸び伸びとプレ-することができるのではないでしょうか。それから今大会で特に目立っていたのが彼女の笑顔です。終盤のきっと緊張していると思われる場面でも、終始このニコニコ顔を絶やしませんでした。
これは今までの彼女を知る人なら、大きな変化とも言えるでしょう。以前、問題視された優勝を逃したときのブスッとした顔はすっかり消えていました。きっと意識して心がけていたのではないでしょうか。
このように笑顔のほうがずっと素敵ですし、魅力的です。またそれは周囲を和ませ、幸せを与えてくれるものではないでしょうか。
2011.11.08
ネット上のヤラセ No.2104
やはりヤクルトは中日に敵いませんでした。これで今年の日本シリ-ズはソフトバンク対中日の戦いとなりました。長いことシリ-ズに出れそうで出れなかった、ソフトバンクにも応援したい気持ちもありますが、落合監督も最後だし、どっちも頑張ってもらいたいものです。
さて今日はネットの話題です。オンラインショッピングとか、宿泊したホテルや旅館など、利用者の声が今、ネット上では当たり前のように寄せられ、またそうした感想などが結構無視できなくなっているのが現状です。
その寄せられる声がもし、ヤラセだったらどうなのでしょう。そんなところまで、こうしたヤラセが蔓延っているとは露知らなかったものですが、どうやら、その道のプロらしき業者がいると言うのです。
次のある営業資料がネットに流失したとのことです。「クチコミを活性化して、潜在顧客の関心を喚起します」。都内のネット関連会社のもので、依頼でこのヤラセ書き込みをすることが赤裸々に記載されていたと言います。
これでは昔、お祭りの出店でよく言われた、サクラと全く変わらないものではないでしょうか。よくもないのにさも効果があると触れ回ったり、普通の施設なのに大変サ-ビスがよく満足したとカキコミされれば、ネットを見た人間は信用してしまいます。
これでは詐欺みたいなものです。果たしてこうした商法に違法性があるのでしょうか。調べてみると、ある会社の場合、初期費用3万円、月15回のカキコミで4万円、50回なら11万円と言います。
また他のところでは、このクチコミを70%以上の人が信用すると営業を持ち掛け、月100件のカキコミで初期費用込みで80万円と提示してきたそうです。
そして怖いのはこうした誘いをむげに断わると、相手がカキコミ業者だけに何を書かれるか判りません。クチコミででたらめを書かれたことには、商売はあがったりになってしまいます。
ですから予算がないからと言って、断わるしかないような始末です。このようなことから、サイトの運営業者も24時間態勢でカキコミを監視したりして、その対策も講じてはいます。
しかしながら行政処分上では、その対象はこうしたカキコミ業者ではなく、その依頼者だと言われているのです。以上のことから、なかなか処分が難しいことゆえ、私たちに必要なのは何でもかんでもカキコミの記載を鵜呑みにするのではなく、実物を確かめたり、他のいろいろなサイトを注視したり必要があるものです。
とにかく、こうした分野までヤラセが蔓延っているほど、ネットが日常生活上に不可欠となっている現在は、ある意味では文化が進んでいるようで、情報過多が災いし、逆に暮らしにくくなっているとも言えるのではないでしょうか。
2011.11.04
ちょっと良い話part84 No.2103
昨日は文化の日でした。この11月3日という日は本当に雨の降らない日ですね。近年、この日が雨だった記憶はほとんどありません。また今年は11月だというに、まだまだ暖かな日が続いています。これもやはり異常気象なのでしょうか。
「大好きな母さんへ」という、ちょっと良い話です。話というか、いちばん自分の思いを伝えたい相手への強いメッセ-ジなのですが、新聞に載っていた恋文大賞から記載させていただきました。
僕が大学受験で上京する時、30cm四方もある巨大な弁当を持たせてくれましたね。それはありとあらゆるおかずの詰まっている、弁当の百科事典のような華やかさでした。
僕は巨大な弁当に注がれる周囲の客の視線を気にしながら、フタを少しだけ持ち上げ箸を突っ込み、わずか三口か四口食べただけで網棚に仕舞い込んだのでした。
恥ずかしさのあまり東京駅で風呂敷ごと捨ててしまった僕は、今になって、あの巨大な弁当に込められた母さんの計り知れない大きな愛を感じています。
商売がなかなか軌道に乗らず、どんなつらい苦しい思いをしたか、当時の僕には想像もつきませんでした。生意気盛りの反抗期の僕は、母さんが風呂の燃料用にと魚屋からもらった古い魚箱を、リヤカ-で運ぶこともせず、斧で割ることもしませんでした。
滞納した授業料を催促する僕に、どんな思いで「もう少し待ちなさい」と言ったことでしょう。二千円の通学定期も満足に買えなかった貧乏の中で独立する、新聞奨学生となって大学に行くと宣言した僕を、金銭的援助の出来なかった母さんは、どんな思いで駅のホ-ムから見送ったことでしょう。
僕が上京してから服やお菓子を送ってくれた時、一緒に入れてあった五千円札が思い出されます。毎回判で押したような母さんの生活上の注意の手紙が思い出されます。
母さんの愛を僕はずいぶん裏切りました。でも、それでもなお、母さんは僕を愛し続けてくれました。その愛情の深さに僕はおびえるほどです。
そして今、53歳の息子が泣きながら、鼻をかみながら、この手紙を書いていることで、親不孝の何分の一かでも許してほしいと思っているのです。
本当に母の子どもを思う気持ちは、あの大きな海よりも深く、山の頂きよりも高いものです。この文を読んで自分の中学時代を思い出しました。弁当のおかずと言ったら、じゃがいもや、ひじきなどの煮たものがたった1色しか入っていないものでした。
今のお母さんが子どもに作って持たせているような、きらびやかな彩りのものとは、とても似ても似つかないものだったのです。ですから腹は空いているものの、そんな母親の弁当をとても友達には見せびらかして食べれなかったものです。
でも今思うと、母親はそれでも精一杯作っていたのでしょうね。今更ながら、晩年、認知で苦しんでいた亡き母親にもう少し親孝行らしきことができなかったか、気持ちの中で一抹の寂しさを覚えるものです。
7日の月曜日はお客様のお伴で、1日留守にするためカキコミは休ませていただきます。
2011.11.02
間が持たない人たち No.2102
「間が持たない人たち」という記事が新聞に載っていました。その概要は以下のとおりです。
アメリカの人気テレビ番組「マッドマン」に注目していたとき、気になった箇所があった。広告業界で働く人たちが織りなす日常を、毒気とユ-モアで見事に描いているのだが、登場人物が実によくたばこを吸う。
今だからこそ気になるものだろうが、ほとんどの人物がタバコを携帯し、会議中や食事中でも必ず喫煙を楽しむ。しかしながら現実には近年、禁煙が叫ばれ、周囲の人への配慮から喫煙場所が年々縮小されている。
また増税の対象商品ともなっていることから、愛煙家でも禁煙に向かわざるをえなくなっている人が少なくない。
こうしたかつての、たばこのように、多くの人たちが常に手にし、時間をつぶすために活用しているモノがある。携帯電話だ。
会議や外出に持ち歩くだけではない。電車に乗っても、画面とにらめっこをしている人は多い。誰かとコミュニケ-ションをとる他、情報を入手し、あるいはゲ-ムを楽しみ、時間をつぶしている。
間が持たない時、現代人はたばこではなく、携帯電話に依存していると言える。そしてそれは大きな市場を生んでいる。
しかし、そんな携帯電話にも弱みはある。幾度かその電磁波が人の脳に影響を与えることが話題となった。今後その使用がたばこ同様、健康上の理由から禁止されることもないわけではない。
あるいは情報過多から逃れようと、あえて情報機器を携帯しない時代が来るかもしれない。その時、時代は間が持たない人たちに何を提供するだろうか。
このご指摘のとおり、電車に乗っても10人のうち、8人ぐらいはこの携帯とにらめっこです。最近ではアイフォンとかアイパッド等、多機能製品が主流となっていることから、益々その傾向は強くなっています。
読む本さえ、そうした端末で眺めることができるわけです。でもこの傾向が、果たして私たちにとってよいことなのでしょうか。日々会社ではパソコンと睨み合い、そしてその時間外、携帯端末に首っ引きでは体、特に目が休まるときがないのではないでしょうか。
その上、自分だけの世界に入りがちで、お互い顔を付き合わせたコミュニケ-ションが不足しがちです。ですから最近では、人の目を見て話す若者が減っている始末です。私たちの貴重な人生はたった1回しかありません。それだけにもっと顔を上げて、おおらかに生きていったほうがよいと思うのですが...
2011.11.01
嬉しくなる不正経理 No.2101
CS第1ステ-ジではヤクルトが巨人を下しました。第2戦の様子ではヤクルト不利かなと思ったのですが、今年のペナントレ-スを象徴しているような、全体的に不甲斐ない巨人が浮き彫りとなったゲ-ムでした。でもヤクルト、1勝のアドバンテ-ジのある中日にはどうでしょうか。優勝を逃した終盤の雪辱を果たしてもらいたいのですが...
さて、新聞に国民宿舎で不正会計処理との見出しを見つけ、「ああ、また不祥事なのか」と思い、読んでいったら、ちょっとその内容が着服などとは全く違う、どちらかと言うと嬉しくなるようなことで安心しました。
茨城県日立市にある国民宿舎「鵜の岬」は、全国122ある国民宿舎の中で、22年連続の宿泊利用率1番の人気ある宿泊施設です。この人気が高いというのは、やはり料理の質の高さにあったのでしょう。
しかし、この宿舎を運営する公社は県からの収支改善要求を受け、食事の売上高に占める食材費の割合を2008年度から引き下げる目標を立てていました。
これにより人気の食事メニュ-を少し落とさなければいけなくなったのです。でも来場してくれるお客さんのことを考えると、 現場の料理人らは「質を落としたくない」と反対しました。
こうしてその板挟みになった経理担当者が、実際に使った食材よりも少なめに帳簿に記入したのです。調べによると、台帳上は900キロあるはずの冷凍肉が実際には60キロほどだったり、2000キロあるはずの魚が100キロしかなかった事例が見つかったというのです。
2008年度からの架空計上分は今年の8月末時点で7088万円にものぼったそうです。 この結果、不正に会計処理した担当者である、管理課の課長と職員が停職や減給などの処分を受けることになったのです。
でもこの事件、考えてみると、水増しして個人が着服したわけではなく、私たちお客にとっても、本来減らされるはずの食材がそのまま提供し続けてもらっていたのです。
そうしたお客の期待を裏切りたくなく、少しでもその喜ぶ顔が見たいがための処置だったのです。ですから処分を受けた職員は少し可哀想な気もしますが、不正経理と言われれば仕方のないところかもしれません。
しかしながら、お客の喜ぶ顔を描きながら仕事ができるということは、働く生きがいでもあり、やりがいにも大きく繋がるものです。そうしたスタッフがいる限り、今回の不正事件は鵜の岬にとって、今後を大きく左右されるものではないと思っています。むしろ、この「鵜の岬」にちょっと行きたくなったものです。
- « 前のページ
- 2 / 2