会長の”三行日記”
2011.10.27
オリンパス問題 No.2098
オリンパス問題に、ついにFBIまで乗り出したと言います。そして昨日は新社長を兼任していた菊川会長が辞任したという報道が伝わっています。
医療用の光学機器や顕微鏡では世界のトップシェアを誇り、特に内視鏡では世界シェア75%以上を占める、この優良会社にいったい何が起こったのか、興味をそそられたので少し調べてみました。
問題に火がついたのは、CEO(最高経営責任者)兼任からわずか2週間後に解任された、英・マイケル・ウッドフォード前社長の解任とその発言によるものです。
日経ビジネスに載っていたマイケル・ウッドフォード氏の告白記事を読みました。それによると、今年4月に異例の抜擢で社長に就任した同氏は、ある時、自社の不可解な一連の企業買収と巨額の手数料が発生したことに気づきます。
2008年同社は、英医療機器メーカーのジャイラスを20億ドル(当時の為替レートで約2000億円)で買収しました。その価格も決して安いものではなかったが、不可解なのは買収後にその価格の3分の1に当たる、6億8700万ドル(約520億円)もの手数料を財務アドバイザー(FA)に払っていたというのです。
またそれ以前にも国内で、医療関連の産業廃棄物処理を手がけるアルティス、電子レンジ用容器を企画・販売するNEWS CHEF、化粧品を通信販売するヒューマラボの3社の買収を行ない、そこに合計700億円ものカネを投じていたということです。
そのいずれもが本業とほとんど関係がないうえ、買収額に見合うような売上高がない会社です。このことを雑誌の記事で知った新社長のウッドフォード氏が、会社のそれ以外の、自身の関与していなかった企業買収についても不信を抱くことになるのです。
そしてこの問題を追及していくに当たり、ヒタ隠しにしていた菊川会長と副社長以下の経営陣との対立が深まり、挙げ句は解任にまで追い込まれてしまうのです。
これが告白記事の内容なのですが、真相は果たしてどうなのでしょうか。いずれにしても、こうした内紛から株価が半分以下に下がり、株主への迷惑は掛けているわけです。
また難しく言えば、日本企業のコ-ポレ-トガバナンス(企業統治)が問われる、もう少し大きな問題にまで発展するかもしれません。
とにかく第三者委員会を設置して事の解明に努めるなどと発表はしていますが、新しく就任した経営陣は早急にこうした不透明な企業買収に関わる問題に対しての、説明責任を果たす必要があるものと思います。