会長の”三行日記”
2011.09.15
所信表明演説から No.2074
新首相である野田さんの所信表明演説が行われました。新しく開設された首相のブログ「官邸かわら版」によると、この原稿は予め閣議で決定し、事前に国会へ印刷物で配布しなければいけないと言われます。
そして一字一句、その原稿から離れてはいけないとのことです。そのため、聴いている人の反応を読みながら、アドリブを入れたり、勝手に変えることができないため、結構不自由だと書かれていました。
所信表明の中で、忘れてはならないことがあると、繰り返し呼びかけて、3つの心を打たれた事柄を挙げていました。南三陸町で自分が犠牲になりながら、最後まで津波からの避難を防災無線で呼びかけた、遠藤未希さんについて。
また家族が犠牲になったにもかかわらず、未だに災害復旧の陣頭指揮に立って、公務に励まれている那智勝浦町の寺本町長のこと。そして佐藤福島県知事から頂いた、DVDを見て感動した高校生の演劇のセリフについてです。
遠藤さんは呼びかけながら多くの人たちの命を救ったにもかかわらず、24歳の若い身空で、あの世に旅立ってしまいました。発見された遺体には、1年前に結婚した夫からのプレゼントである、ミサンガがその足首にしっかり巻き付けられていたと言います。何とも切ない、感動的な行為の代償です。
それから、台風12号による豪雨災害で、いっぺんに奥さんと、やはり24歳の娘さんを亡くしてしまった寺本町長も痛ましいケ-スです。奥さんから娘が流されたという電話が入ったにもかかわらず、災害本部の町役場から動けず、そのうちに奥さんまで行方不明となってしまったのです。
また悲しいことに、娘さんはこの日が結納を取り交わす当日だったのです。職場である町の観光協会では周りからも可愛がられ、仕事ぶりは真面目で、英語やフランス語が得意なため、熊野古道などを訪れる外国からの観光客たちをもてなしていたと言います。
余分な話ですが、この秋、同級生の仲間と、この熊野古道を訪れる予定でした。でもこのような事態では延期せざるを得ません。それから福島の高校生の創作劇は、「福島で孫を見て、福島でひ孫を見て、福島で最期を過ごす」というセリフなどが入った感動的なものとのことです。
そのリンクが貼り付けられていたので、ここでも紹介させて頂きます。
http://www.youtube.com/user/fukushimasoubun#p/u/4/w-aLucdIXXI
とにかく、このような感動的な出来事を首相が述べたのにもかかわらず、その最中でも、国会内では大変な野次が飛び交っていました。これはいったいどういうことでしょうか。
せめて感動的なその話の時だけでも、静かに聴き入るぐらいの裁量がないものでしょうか。まるで人間性が欠如している塊りのようで、その様子を伝えるニュ-スを観て、あきれたほどです。
アメリカでは与野党とも、大統領のこのような所信表明演説では、野次もなく静かに聴き入り、終わった時は全員の拍手で迎えると言います。あまりにも情けない我が国の議員さんたちの実情を知り、これでは多くの期待はとてもできないと観念させられたものです。