会長の”三行日記”

2011.06.24

日本がめざす節電とは No.2032

未曾有の大災害のあと、日本中で節電が叫ばれています。今まで我が国では、ずいぶんと電気の無駄使いが行われてきました。そういった意味では大変意義あることと思われますが、ただ節電、節電と叫ばれていて、その目的が明確ではないような気がします。
 
何と言っても一番の目的は、ピ-ク電力を抑えることにあります。これから暑い夏に向け、電力の消費はどんどんと増すことになるでしょう。そのときを迎えたとき、私たちが今までどおりに電気を使っていたら、その使用量は供給量を上回ることになります。
 
こうなったらどうなるでしょう。当然、供給先の電力会社からは送電がストップし、停電となり、私たちは電気を使えなくなるのです。これが一番怖れることなのです。
 
こうならない為の節電を呼び掛けているのですが、いつの間にか、何でもかんでも節電という世の中の動きになってきました。こうしてそこまではやらなくてもよいものまで、必要のない所まで電気の需要を抑えるようになってきました。
 
例えば一般道路のトンネルの中は真っ暗です。また通常の道路の街路灯まで消されているため、先日のように夜、横断歩道を渡っていた老人に気が付かず、トラックがはねてしまったという、痛ましい事故まで起きています。
 
そしてもう一つ、何でもかんでも電気を使わなくなってしまったら、供給先の電力会社はどうなるのでしょう。電気を売って営業しているわけですから、当然その営業収入は減ることになります。
 
そしたら今一番騒がれている東京電力など、どうなるのでしょうか。つい先日、避難住民に対する原発の被害補償に一人当たり12万円の支給などが決まりました。それだけで1000億円近い金が必要となってくるのです。
 
もちろん他のいろいろな補償を考えたら、とても東電一社だけでは対応はできないものでしょう。従って国のバックアップがあると言っても、企業ですから採算が合わないときは当然、その売り価格に反映させなければなりません。
 
こうして私たちが一番嫌がる、電気量の値上げに繋がっていくのです。私はだからと言って決して東電の肩を持っているわけではありません。東電が企業として存続していく上には、やはり採算ということを考えなければいけなくなり、電気が売れなければ原料高の影響もあって、高くせざるを得なくなるからです。
 
ですから目指すべきものはただ一つ、夏のピ-ク電力を抑えることにあるわけです。このためにエアコンの使用をやめるとか、それぞれの明確な課題が出てくるわけです。その目標が明確でないと、やっぱり暑いからと言って、みんなが一斉に使い始めたら今まで節電してきた意味がなくなってしまいます。
 
これでは全く本末転倒な話になってしまうわけです。自分たちのことで精一杯に見える政府も、もっと国民に、こうした意味を解りやすく説明する必要があると思うのですが...