会長の”三行日記”

2016.10.31

先味 No.2915

 日本シリ-ズは最終戦までもつれて欲しいという願いも空しく、土曜日の第6戦で決まってしまいました。少し惜しまれるのはこのシリ-ズ、あまり調子のよくなかったジャクソン投手を、2死満塁から押し出しで1点勝ち越された後、なぜ代えなかったのかということです。

後の祭りかもしれませんが、その後のバ-スに打たれることもなかったでしょうし、ましてや満塁ホ-ムランにまでは至らなかったのではないでしょうか。ちょっとしたことで流れが大きく変わってしまったのは残念です。できれば黒田投手の雄姿をもう1回見ておきたかったものです。

さて先味という、ちょっと聞いたことのない言葉が新聞のコラムに載っていました。この先味とは、目的のサ-ビスを受ける前の消費者が、接客などを通して店に対して最初に抱く印象のことを、サ-ビス業ではそのように呼ぶそうです。

つまりホテルであればチェックイン時のフロントの対応、鉄道サ-ビス業であれば乗車券を販売する時の窓口対応などから受ける第一印象のことです。この先味次第で、主体となるサ-ビスそのものの印象が、良くも悪くも大きく変わってしまうと次のように指摘しているのです。

例えば、こんな経験をしたことはないだろうか。料理を食べに評判の良いレストランへ行った際に、受付の従業員の対応が悪かったために料理がおいしく感じられず、店自体の印象も悪いものになってしまった。

逆に、あまり期待していない店で想定外の心地良い接客を受けた時、うれしくなって料理もおいしく感じたなど。このようにお客様が事前に感じる先味は、サ-ビス全体の印象を大きく左右するものである。

従って先味のおいしさを高めるような社員教育が必要になってくるわけです。確かにお互い血の通った人間同士の触れ合いなので、お客と接待側という立場の違いはあっても、その対応いかんによっては感ずるところに大きな違いが出てくるものです。

ですからこちらが接客側に回った場合には、余計いかにして心地よい環境を提供してやれるかによって、全体的な印象を良い方向へと導くことができるものです。これは何もレストランや運輸業などのサ-ビス業に限らず、私たち製造業などに付帯するサ-ビスにも言えるのではないでしょうか。

電話での応対しかり、またその会社を訪れたときの受付での第一印象によって大きく左右されるものです。電話の向こうから聞こえてくる声でも、そのト-ンの高さ、低さ、温かさ、冷たさによって大きく受け取り方が変わるものです。

そういった意味でも、もう一度電話を掛けてみたいとか、会社に訪ねていきたいと思ってもらえる会社を目指したいものです。それには来客者を分け隔てなく、誰にでも気持ちよく対応できる、こちら側の一層の心配りが求められています。