会長の”三行日記”

2016.10.24

タイの服喪 No.2911

 タイのプミポン国王が亡くなり、タイ国民は1年と言われる服喪期間を過ごすことになっています。この国王は70年にわたる在位で国民の多くから敬愛された方ですが、観光を主力としているタイ経済の今後にとっては心配される事態にもなっているようです。

ニュ-スでも伝えるところによると、国民の多くは黒い服を身に着け、そうでない一部の人にはネットで中傷するような動きも出ているそうです。またこの黒い服が市中で買い求められていることから、不法な高値で売り出されているところも出ているとのことです。

またこのタイには約6万7千人の日本人が暮らしていますが、娯楽活動を控えるなど、タイ人社会の服喪の動きに呼応して自粛ム-ドも広がり始めていると伝えられています。仕事や家庭、子どもの学校生活にも影響は及び、先行き不安を覚える人たちも少なくないようです。

タイでは王室の名誉を傷つけると不敬罪が適用されるということで、国王死去の取材時でも氏名を語りたがらないなど、在住の日本人の口は一様に重くなっているそうです。

服喪期間の自粛の影響を一番受け、心配されるのが観光と飲食業界です。繁華街を夜に出歩かないよう会社から指示があったといい、仕事絡みのパ-ティ-はしばらく中止すると言います。

また普段は日本人駐在員で賑わうタニヤの繁華街も人出が少なくなり、日本料理店店長も駐在の邦人や旅行客の足が遠のくのではと心配していたとのことです。

私も2年ほど前、このタイを訪れたことがありますが、これからの時期である11月は気候も雨期から乾期に変わり、絶好の観光シ-ズンとなることから、こうした影響が観光客減少に繋がることにならないか懸念されているところです。

それにしてもこんなにも国民から愛され悲しまれている、精神的支柱となっていたプミポン国王の偉大さを感じています。その絶対的権威に支えられた王室と、それを後ろ盾にしてきたタイの政治システムを改めて知らされました。

国王が亡くなったことにより、長男の皇太子だろうと言われる王位継承も、皇太子が政権を追われたタクシン氏と近い関係から、必ずしもこれからの政治の安定には繋がらないという見方もあるようです。

タイに住む私の友人もつい先頃日本に戻ってきていて、その間に国王が亡くなったことを知らされました。もう既にタイに戻って行きましたが、少なくとも1ケ月の間は腕に喪章をつけて仕事をしなければいけないと話していました。

このことがタイ経済の沈滞を招かなければよいと願うばかりです。とにかく私たち日本人の想像をはるかに超える悲しみに、タイ国民は包まれているようです。