会長の”三行日記”

2016.09.29

トイレ問題 No.2899

 先日電車の運転手がトイレを我慢できず、停車中の運転席から外に放尿をしたということが問題になりました。この場面を目撃していた人が駅に通報して騒ぎになったわけですが、乗務中にあるまじき行為ながら本人にとっては切実な事情があったようです。

それというのも、総武線の上り電車が佐倉駅に停車している際、起こったことですが、ここの駅では停車時間が1分しかなく、駅構内にあるトイレに行くのには階段を往復しなければならず、発車時間に間に合わないと思ったからです。

またここから終点の千葉駅には20分ぐらいですが、千葉駅では電車を4両から8両に連結しなければならず、トイレに行っていれば作業が遅れるし、尿意があって作業に集中できないと思ったからと運転手は話しています。

過去にも数回、同様に用を足しことがあると言いますが、このような事情を聞くと、一概に当事者を責められないという思いがしています。何よりも時間に追われている業務であるし、また尿意を催したまま集中できないとしたら乗客の安全という問題にも繋がりかねません。

勤務先のJRによると、運転士は輸送指令室に無線連絡すれば、停車中に駅や車内のトイレを使うことが認められているとのことです。でも世界中で一番正確とも言える運行時間をこのような事情で、なかなか遅らせるわけにはいかないのではないでしょうか。

こうした時間厳守ゆえに過去において悲劇も生まれているようです。営団地下鉄(現・東京メトロ)の東西線で1977年、走行中の電車から車掌が転落死したそうです。事故後の検証では車掌室のドアが開き、ズボンが下りていたことなどから、用便中にカーブで振り落とされたとみられているのです。

また長時間の業務が続く飛行機でもこんな事件がありました。コックピットの中には機長と副操縦士がいるわけですが、一人が客室のトイレを使う時はもう一人が残って飛行機を操縦します。ところが2015年フランスで起こった150人が死亡した事故では、トイレに行った操縦士を副操縦士が閉め出し、故意に墜落させてしまったのです。

このため、それ以後は日本やヨ-ロッパの航空会社では、トイレの際は代わりに客室乗務員などがコックピットに入る常時2人制をとっているとのことです。このように人の命を預かる職業では、私たちのような感覚で気楽にトイレに行ける環境ではないことを解ってあげなければいけません。

確かに運転手が運転席から線路に向かって放尿するなどということは、ホ-ムからするのと同じようなもので、あってはならないことのように思われますが、前立腺肥大などの病気を抱えていて、どうしても我慢できなかった事情があったかもしれません。

そう考えると一概に運転手ばかりを責め立てる問題でもないように思えます。ですから1つの事柄だけを捉えて批判の対象にするのは難しいかもしれません。相手の立場になってみて、もう少し穏やかに緩やかに捉えることも必要な気がしています。

明日30日はお休みを頂いているため、カキコミは休ませて下さい。