会長の”三行日記”
2016.08.23
ちょっと良い話131 No.2880
様々な感動を呼んだリオ五輪の中で、まさにこれぞ五輪の精神という特筆すべき美しい場面がありました。このちょっと良い話を紹介したいと思います。陸上女子5000メ-トル予選で起こったエピソ-ドです。
リオ五輪の陸上女子5000メートル予選で16日、接触して倒れた米国とニュージーランドの選手同士が互いを助けあった。米国のアビー・ダゴスティノ選手とニュージーランドのニッキー・ハンブリン選手のその姿は、オリンピック精神そのものだと称えられている。
両選手は5000メートル走の約3000メートルを走った時点で、ダゴスティノ選手の足が前を走っていたハンブリン選手の足に触れ、2人とも転倒した。ダゴスティノ選手が先に立ちあがったが、ハンブリン選手は体を地面に強く打ちつけた様子で、しばらく起き上がらなかった。
ダゴスティノ選手はそのまま1人で走り続けることなく、泣いているようにも見えたハンブリン選手の脇を抱えて助け起こし、「立って。最後までやらないと」と励ました。
2人はレースを続けたが、ダゴスティノ選手が足首を負傷していることが次第に明らかになると、今度はハンブリン選手が相手を励まし続けた。
足を引きながら最下位でゴールインしたダゴスティノ選手は、待っていたハンブリン選手と涙ながらの抱擁を交わした後、車椅子でトラックを後にした。
ハンブリン選手はレース後に、「先に彼女が助けてくれた。自分も彼女を助けようとした。かなりひどいけがだったので」と話した。ダゴスティノ選手は棄権やむなしかと思い、ハンブリン選手は先にゴールしたが、そのままダゴスティノ選手を待った。
足を引きながら完走したダゴスティノ選手について、「あれこそまさにオリンピック精神そのもの」とハンブリン選手は称えた。どちらもこの予選では決勝進出はならなかったが、助け合う姿には多くの称賛が集まり、大会側は2人の決勝出場を認めた。19日夜までに復調していれば、決勝でまた共に競い合うことになる。
とかく勝つためには手段を選ばないということが多く見られる中、二人の美しい光景は長く語り継がれるのではないでしょうか。同様なことが銅メダルを獲得した男子50km競歩の新井選手にも起こりました。
二人が接触したといって、一旦は新井選手が失格になったのですが、日本チ-ムの再抗議を審議した結果、3位が認められることになりました。これなども相手チ-ムの不必要な抗議が原因です。
新井選手と接触したカナダのダンフィー選手はレ-ス後、お互いを讃えあいハグまでしていて選手間では何も問題はなかったのです。これなどは周囲の異常なまでの勝利主義によるものですが、当事者同士はお互いの健闘を讃えあっていて、まさにスポ-ツマンそのものなのです。
このように周囲が巻き起こす不必要な勝利至上主義などは極力控えて、ダゴスティノ選手とハンブリン選手のように、もう一度初期の五輪精神を見直す必要があるのではないでしょうか。