会長の”三行日記”

2016.05.11

後継者 No.2833

 カキコミができなかった先月1ケ月の間には、弊社にとっても少し変わったことが起きています。それというのも4月1日から末っ子の長男である愚息が入社してきたのです。これは私にとっても予期しなかったことでもあるわけですが、本人の起っての要望でそのようなことになりました。

彼は大学卒業後、地元の金融機関に就職し5年が経過したわけですが、昨年の暮れ、我が社にひょっこり立ち寄り話があるというのです。製作現場にいた私は「何だ?」と問いかけたのですが、二人きりで話したいとのことです。

そしてマンツ-マンで話を聞いたところ、この会社に入れて下さいと言われたのです。いきなりの話でいささか面喰ったこちらでしたが、すぐさま「そんなに慌てることなく、あと2~3年働きながらゆっくり考えたら」と答えました。

というのも、私はそもそも彼を会社の後継者に、現実問題として一度も考えたことがなかったからです。それとこちらは電気関係の製造業、一方彼は全く畑違いの金融機関でお互いの整合性を感じたことがありませんでした。

そして本人もそちらの分野で頑張っていたみたいで、大変ながらやりがいのようなものを傍で眺めていたこちらも感じていたからです。でも本人から次に返ってきた言葉は「この夏のある日、金融機関の上席にもその旨話をして、来年の3月いっぱいで辞めさせて下さいという申し入れたをしました」と言うのです。

それなら話はまた別だと思い直し、俄然、入社への方向を現実的として考えなければならなくなったのです。でも、折角の金融機関で頑張っていてもったいなというのが、そのときの正直な気持ちでした。

もう一つ零細企業を今まで守り続けてきた自分と同じような苦労は彼にはさせたくなく、安定した道にいればよいと思っていたからです。しかしながら本人の意思が固い以上、その気持ちを尊重してやらなければなりません。

こうして3月いっぱいで退職し、4月1日から我が社に入社してきたのです。いろいろと前記のように考えていたものの、やはり彼の入社は嬉しくないはずがありません。後継者にまだ決まったわけではないのですが、その可能性がいくらかでも見えてきたからです。

彼は現在は畑違いの現場での製作に奮闘しています。今までこのような経験はおそらく一度もないことでしょう。でもモノづくりは現場からということもあり、まず現場を知らなければ何もできません。そんなことから1~2年大変だと思われますが、じっくりと経験させるつもりです。

そして温かく見守りながら、少しずつ今までと違った分野で学ばせていきたいと思っています。ふと考えてみれば彼は今27歳、私が今の仕事を始めたのも同時期でした。不思議な縁があるものです。

明日12日は私用で会社を休ませていただきますのでカキコミはお休みさせて下さい。