会長の”三行日記”

2016.02.22

高松での全研から No.2812

 香川県高松市で開かれた中小企業問題全国研究集会に行ってまいりました。全国各地から集まった参加者が約1350人と聞きました。我が静岡からは44人と、比較的多い方の参加だったのですが、19ある分科会のうち2つの分科会報告者を担当していたこともあったのでしょう。

結論から申し上げると、やはり全国に出掛けて行っただけのことは十分あるというものです。今回の全研で改めて「何のために経営しているのか」ということを大きく問われました。特にその問題提起を投げ掛けてくれたのは、2日目全大会で行われた徳武産業・十河会長の記念講演でした。

奇跡を起こしたピンクの靴」と名付けられた演題だったのですが、今から22~23年前にお年寄りが転ばないような靴をつくってくれいかとの依頼が、この会社にありました。特別養護老人福祉施設を運営している友人からです。

当時、徳武産業はル-ムシュ-ズや旅行用スリッパを企画製造していました。依頼を受け、ご夫人と共に30か所以上の老人施設を回り、500人以上にも及ぶ高齢者の生の声を聴いたと言います。

そのお客様の声により、左右別々のサイズや仕様違いの靴の組合せなど、靴業界の非常識とも言える靴づくりに挑戦していったのです。これが現在、あちこちの施設や高齢者からお礼のハガキがたくさん届けられる、「お客様に寄り添い笑顔を届けるモノづくり企業」の出発点となったのです。

ただ2年間に渡るケアシュ-ズ開発に没頭するあまり、十河さんが社長を引き継いで以来、初めての赤字を出してしまったのです。でも「それは必要不可欠な赤字」と言い、「ベストのタイミングでベストの金額で、あの赤字がなければ今はない」とまで言い切っています。

徳武産業の考え方は「損得」ではなく「善悪」であると十河会長は語ります。そして業績ではなく継続を目指して歩み続けるこの会社にピンクの靴が奇跡をもたらすのです。

同社HPに載っている、奇跡を起こしたピンクの靴という話をちょっと紹介させて下さい。あるおばあちゃんがかわいいピンクの靴を買ってくださいました。施設の方から「売りつけたのじゃないか」とご質問いただいたのは、その方が3年も寝たきりだったからです。

おばあちゃんは「かわいいピンクの靴がもう一度履きたい」その思いで自ら買ってくださったのです。ある日、施設の方から再び連絡をいただきました。「おばあちゃんがピンクの靴を履いて歩いたんですよ」というのです。

わたくしどものあゆみを通じて、ひとつでも多くの喜びを創りたい。その思いを胸に、一足一足我が子のように送り出しています。続きはまた明日紹介させて下さい。