会長の”三行日記”
2015.10.30
企業のコンプライアンス No.2781
第4戦がカギと言った日本シリ-ズもヤクルトが踏ん張ることができず、そのままソフトバンクの流れのまま終わってしまいました。それにしても投打ともソフトバンクの強さだけが目立った日本シリ-ズでした。ヤクルト完敗ですね。
さて昨今、デ-タの改ざんといった問題が一般市民に大きな不安をもたらしています。まさに企業のコンプライアンスを大きく問われている事件です。1つは既に大きな問題に発展している、10月中旬に発覚したマンションの傾きという問題です。
横浜市都筑区にある大型マンション4棟のうち、1棟が2センチ余り傾いているということですが、調査の結果、この棟の基礎工事で打ち込まれたくい52本のうち、調査が既に終わった28本中8本が硬い地盤に達していないか、達し方が不十分だったことが判ったのです
このくい打ち施工を担当したのが旭化成建材ですが、元々の施工主が三井住友建設で、その下請けが日立ハイテクノロジ-、その下の孫請けに当たります。記録を調査したところ、くいを適正に打ったときに測定した電流の数値を、この棟を含む3棟38本に転用して記載していたことが判りました。
問題のマンションは10~12階建てで2007年12月に完成したものです。ですから住民は既に8年近くここに暮らしているわけですが、いったいこの先、どういった解決策があるというのでしょうか。
ではこのようなことがなぜ起こるのか、先日テレビでも採り上げていました。一番悪いのはもちろんデ-タを改ざんした旭化成建材に違いありませんが、あまり表には出てこない、ゼネコンである三井住友建設にも責任がないわけではないとも言えるものです。
くい打ちが果たして固い岩盤に届いているかどうかの最終チェックは電流計等で行うわけですが、それを本来は施工主である三井住友建設がやるべき責任があるのではないでしょうか。
そして工期を延長できない、こうした施工の構造的問題に原因があると言われます。日本のマンション分譲は外国と違い青田売りといって、建物ができる前に販売を開始し、購入者は別棟の販売センターで模型や完成予想図、モデルルームを見て購入を決めると言われています。
それからその後、金融機関に住宅ローンを申し込み、審査に通ると、売り主の不動産会社と売買契約を結ぶのです。この時払うのは分譲価格の1割程度に当たる手付金で、残りの代金は、建物が完成し、引き渡し時点で支払います。
ですから住宅ローンを組む人は、建物の引き渡し時点でローンが実行されるわけで、大規模マンションであれば、数百の金融取引が建物引き渡し日に向けて進行していて、簡単にこの日を動かすことができないと言われているのです。
またもう一つのデ-タ改ざんは東洋ゴム工業 による、免震装置の性能偽装の問題です。震度5強程度なら十分な耐震性があるなどとの発表だが、その基準を満たしていないことが判明したのです。
そしてそれ以外にも、鉄道車両や船舶に使われる防振ゴム製品でもデータ改ざんが明らかになったのです。まさに全く言い逃れができないくらいの不正が堂々と行われていたのです。これでは企業の信頼度は地に落ちたとも言えるものです。
こうした不正は今に始まったものではなく、永年の積み重ねに起因しているように思えます。さらに次々といろいろな所から出ているこのような問題に対して、ユ-ザ-や住宅主の大きな不安や悩みをどうやって解決していくのでしょうか。他人事とも言えない、あまりにも大き過ぎる問題です。