会長の”三行日記”
2015.09.18
社員が幸せと言える会社その1 No.2766
先週、月曜日から金曜日まで、定時になるとそそくさと帰っていた社員が土曜日の朝礼中、明日仕事が終わらないから休出させて下さいと申し入れがありました。私は直ちにそれは少しおかしいのではないかと、即座に休出を認めませんでした。
それはあまりにも計画性に乏しかったからです。それならなぜその前に少しでも残業して、休出しなくてもよいように仕事を終わらせるようにしなかったかと疑問を覚えたからです。結局その日の土曜日に遅くまで掛かって仕事を終わらせましたが、私たち企業のレベルはその程度です。
そんな私たちとはとても比較にはなりませんが、「残業が日本一少ない」「休みが日本一多い」「売上目標や営業ノルマがいっさいない」そんな「日本一『社員』が幸せ」といえる会社を紹介していました。
岐阜県にある電気・設備資材メーカーの未来工業です。私もかつてこの会社を訪れたことがありますが、とてもユニ-クな会社です。昨年、創業者である山田昭男さんが亡くなられてしまいましたが、その精神は立派に引き継がられています。
同社はスイッチボックスなどの電気製品を製造していますが、その分野では国内トップシェアを誇っていて、2010年から始まった「日本一大切にしたい会社」大賞も受賞しています。この「なぜ会社はそこまで社員を大切にするのか?」という理由を探っていた記事を見つけました。
まず7時間15分の就業時間と残業禁止を採り上げていました。いわゆる毎日が「ノ-残業デ-」なのです。この会社では夕方4時45分になると帰り支度を始め、5時にはほぼ誰もいなくなるというのです。もちろん仕事の持ち帰りも禁止です。
かつてその様子をテレビ「カンブリア宮殿」で紹介されていましたが、ある中堅社員は「家族との夕食を毎日とれるのが幸せ」と話していて、他社から転職してきた独身社員は、「平日に自分の時間がいっぱいあるので、前職ではあきらめていた『平日“婚活”』をやってみます!」と宣言してみせたというのです。
それでもこの未来工業は残業禁止の導入後30年間、赤字決算はなく、経常利益率の平均も10%を上回っていて、残業禁止で1日7時間15分しか働かないのに、儲かる会社であり続けているのです。
しかし以前の未来工業は午前8時始業で午後5時終業、繁忙期には残業もある、ごく普通の会社だったそうです。そして「残業禁止になる前は、定時に帰るという発想もなかった」という社員もいたほどだというのです。
それが今のような楽園企業に生まれ変わったのには次の3つの理由があったからと言われています。1.スーパーの閉店時間に間に合わないから 「17時に仕事が終わっても、近所のスーパーの閉店時間に間に合いません」
本社が大垣市内から移転すると、同市内に住む多くの社員は、20分以上早く自宅を出なければならなくなり、退社時間も遅く、女性社員からは「スーパーの閉店時間に間に合わない」と不満が寄せられたのです。
このことから創業者の決断で30分始業を遅らせ、終業時間15分早めた7時間15分の勤務体制が生まれたのです。2.残業手当を払うのが、もったいないから 「残業手当は、もったいないから払いたくない」
生前の山田氏は、実に率直にそう話していたそうで、それは残業手当は、基本給の25%もの割増しになるためだからです。ただこのことも相手を煙に巻くのが上手な人だっただけに、発言も額面どおりには受け取れないかもしれないとのことです。
むしろ次の3番目が最大の理由だと思えると言います。 3.仕事だけで人生を棒に振ってほしくないから 「ウチの社員たちには、ほかの会社みたいに、一度きりの人生を仕事だけで棒に振るような人には、なってほしくなかったんや」
このように話している未来工業には、まだまだとても真似できない発想や取り組みがいっぱいあります。とても1回では紹介しきれないことからまた次回に譲りたいと思います。とにかく、社員を大切にすることでやる気を引き出し、大きな成果を上げている会社です。羨ましい限りです。