会長の”三行日記”

2015.09.03

トリプルスリ- No.2755

 トリプルスリ-って言葉を知っていますか。またまた野球の話で恐縮ですが、打率3割、30本塁打、30盗塁を達成することを言います。意外にこの達成は難しいらしく、過去名選手の何人もの人たちがあと少しのところで1部門が達せず逃しています。

そんなわけで長いプロ野球の歴史でも今までに達成した人はわずか8人です。打力が良くても足が遅ければ盗塁数が足りなかったり、また攻守走3拍子揃っていても、ホ-ムランを30本も量産するのは大変だからです。

しかし今シ-ズンは一挙に二人の選手の達成の可能性が高まっています。ヤクルトの山田哲人選手とソフトバンクの柳田悠岐選手です。共に20代という若手の二人の躍進はめざましく、9月2日終了時点で、山田選手は打率.328・33本塁打・27盗塁、また柳田選手は打率.362・29本塁打・26盗塁という素晴らしい記録を残しています。

ですからここまでの成績ならば、もうほとんど達成目前です。極端な不調やケガさえなければ、その可能性は十分高いと言えるのではないでしょうか。お蔭で両チ-ムとも現在好調で、ソフトバンクは首位を独走しているし、ヤクルトは山田、川端両選手や投手陣の頑張りで、首位阪神や巨人に劣らない成績を残しています。

両選手が達成すると2002年の松井稼頭央選手以来、実に13年ぶりのことだと言われています。それくらい達成が難しいもので、打撃の神様と呼ばれた巨人の川上哲治さんも卓越したバットコントロールでしたが、現役生活で本塁打が30本を超えたことがなかったと言います。

川上さんはあまり足の速い方ではありませんでしたが、投手のクセを盗むのがうまかったので1950年は30盗塁を上回ったのですが、本塁打は29本であと1本足りなかったのです。また面白いのが長嶋さんです。

プロ入団初年度の1958年には本塁打だけが1本足りず達成できなかったのですが、この年の長嶋さんには幻となった本塁打があるのです。例の1塁ベースを踏み忘れてアピ-ルされた後、塁審から「アウト」の宣告を受けていたのです。

まあ長嶋さんらしいとも言える話ですが、記録よりも人々の記憶に残る男と呼ばれるゆえんなのです。それにしても山田選手と柳田選手の今シ-ズンの活躍は見事ですね。特に山田選手の場合、面白いのは所属するヤクルトの3人が現在3冠王となっていることです。

今日現在で本塁打は33本で山田選手がトップ、打率は.340で川端選手、そして打点は畠山選手が89で1位ですが、打率、打点両部門でも山田選手が.328、86打点と2位につけているのです。

ですからチ-ムの3人で3冠王という可能性と、山田選手個人でもその可能性というものを残しているのです。これでは昨年と異なりヤクルトのチ-ム成績が上がるわけです。でもこうした素晴らしい記録達成の前には見えない壁というか、いろいろな巡り合わせがあると言われています。

それだけに故障もすることなく、このまま突っ走ってもらいたいものです。そんな山田選手ですが今シ-ズンの初めには不振で喘いでいた時期がありました。昨年上げた成績で各チ-ムのマ-クが厳しくなったからです。でもコ-チと共に励む練習を怠らず克服していったのです。

柳田選手もそうでしょうが、「練習で流した汗は、嘘をつかないし裏切らない」ということでしょうね。楽しみな二人の選手の活躍で日本のプロ野球が少し面白くなっていきそうです。