会長の”三行日記”

2015.09.02

オリジナリティ- No.2754

 2020年東京五輪の公式エンブレムが白紙撤回されました。製作者の作品がこのエンブレムに限らず、あちこちで模倣疑惑を生じているからです。エンブレムがベルギーの劇場ロゴに似ているのをはじめとして、指摘されている案件はサントリ-、東「山動物園、太田市美術館図書館など少なくありません。

またこれに限らず、街頭でのエンブレムの使用イメージ画像に、他の人のブログに掲載された写真を無断登用したという疑惑まで出てきたのです。このイメ-ジに当たる空港施設の画像は、外国人女性が東京・羽田空港を撮影してブログに掲載した写真と酷似していて、まさにエンブレムの写真をただ入れ替えただけのものなのです。

これではもう言い逃れはできません。作者はエンブレムに関しては模倣ではないと言いながらも、五輪への影響の大きさを考えて取り下げを申し出たと言います。これを受け大会組織委員会が決めたわけですが、至極当然なことではないでしょうか。

私たち素人と違って、こうしたデザイナ-という人たちは感性に優れ、非凡なオリジナリティ-で仕事を動かしている方々です。そこにとても真似のできない、斬新で独創的なものを生み出しているから、畏敬の念を感じているわけです。

それがいとも簡単に人の作品を模倣や流用をして自分のものにしていれば、もうそれはオリジナリティ-がないわけでデザイナ-とは呼ぶことができません。そんなわけで新たに仕切り直しされることになったわけです。

それにしてもネットでの人々のチェックの鋭さには恐れ入りました。一部には似たようなものをチェックできるアプリがあるとも言われているものの、模倣なのか、オリジナリティ-なのかを判断するのには、かなり根を詰めた作業を要するのではないでしょうか。

今回のことで東京五輪に向け、新国立競技場に続き、また足を引っ張る問題になってしまいました。東京五輪が決定したときには日本中、あんなに喜んで全ての人がワクワクした気持ちにも水を差すことになります。

従って新たなエンブレムの公募にしても、開かれたル-トで透明性のある選択を是非願いたいものです。そしてもう私たちが生きているうちには我が国で開かれることはないでしょうから、日本らしくシンプルでしかも世界に堂々と誇れるものであって欲しいと願っています。

でもこうした準備段階のものとは別に、先日の陸上の世界選手権など観ていてもつぶさに感ずることですが、あと5年に迫った東京五輪の本番は果たして大丈夫でしょうか。先日同様、目論見とは違って惨敗にならないよう、もう少し手を打つ必要があるように思えます。とにかく五輪で勝つことが私たち国民が一番盛り上がることなのです。