会長の”三行日記”
2015.07.23
火花 No.2742
昨日書いた感電事故なのですが、その後の調べでどうやら100Vを400Vに上げるトランスを使っていたみたいですね。もしその話が本当なら悲しいのですが、当然起こるべくして起こったという事故ではないでしょうか。
さて話はガラッと変わりますが、お笑いコンビ・ピ-スの一人である、又吉直樹さんが書いた小説「火花」が今年の芥川賞を受賞しました。又吉さんはピ-スの中ではボケ担当ですが、太宰治などの小説を多く読む読書芸人としても知られています。
火花という小説を私はまだ読んでいませんが、若手芸人の日常を笑いと悲しみに包んで描いたものと言われています。そしてこの小説を最初に掲載した文芸誌「文学界」は創刊以来初の増刷にもなり、単行本は100万部のベストセラ-を記録しています。
又吉さんにとって、好きな作家が投稿する雑誌に新人としてつつましく参加したつもりのものが、予想外の反響を呼んでいて困惑しているとのことです。この芥川賞というのはその時代の青春を扱ったものが多いみたいで、火花についても時代性が刻印された青春文学とのことで賞にぴったりだと言われています。
かつては石原慎太郎さんの「太陽の季節」や村上龍さんの「限りなく透明に近いブル-」などが芥川賞を受賞していますが、若者の風俗を鋭くえぐり出し、一文学作品が社会現象にまでなったものまであります。
また又吉さんの人柄についても、文芸春秋のある人は「浮ついたことを言わず、人のことを察する。誠実のきわみのような人で、担当編集者はみんな彼のことを好きになってしまう」と話しているほど評判は良いみたいです。
そしてもう一つ陰には隠れていますがピ-スの相方の綾部祐二さんも、なかなかの人みたいです。16年間、しかも圧倒的に下積みが長い芸人生活を二人三脚で共に歩んできた人間が、一夜にして「大先生」ともてはやされるわけですから、胸中はさぞ複雑なことに違いありません。
でも自ら「格差キャラ」と位置づけ、自身を又吉さんの「付き人」「アシスタント」と称し、もちろん敬語も忘れない姿勢で明るく笑いに変える実力はさすがです。何しろコンビで先に脚光を浴びたのは綾部さんだったからです。
後輩が又吉さんのために開いてくれたお祝いの席にも呼ばれない彼でしたが、そんな小さな思いに留まっていることなく、むしろ又吉さんの快挙を新しい笑いを変えようという、どん欲さにあふれているそうです。
ですからそれは嫉み(ねたみ)などとは程遠いもので、その快挙は自分のことのように喜んでいると話している通り、相方に対する揺るぎないリスペクトがあるからだと言われています。
こういった二人の関係が続く限り、お笑い芸人としてのピ-スもこの芥川賞などには振り回されることなく、今後も人気コンビとして活躍が続くのではないでしょうか。又吉さんの大変な快挙にも賛辞を贈りたいと思いますが、一方でそれを陰から支える綾部さんとの二人の関係に、何か言葉では言い知れない清々しさを感じ、心地良くなったものです。