会長の”三行日記”
2015.07.16
全米女子オ-プン No.2738
男子の全英オ-プンが今日からゴルフの聖地とも言われる、セントアンドリュ-ス・オ-ルドコ-スで始まりますが、先ほど行なわれた全米女子オ-プンの話題です。
日本人では大山志保選手が頑張りました。その大山選手と一緒に最終組の1組前で回った、韓国のチョン・インジ選手が優勝し、他の韓国勢も上位を独占してその強さを見せた大会でしたが、大山選手とチョン・インジ選手の組がギャラリ-から好評だったようです。
というのもこの組は二人とも笑顔を絶やさなかったからです。ギャラリ-の中には二人をよく知らない人たちも少なくなかったようで、どんな人たちなのか報道陣に尋ねてくる人もいたみたいです。
でもプレ-内容と併せ、終始笑顔がこぼれる二人はだいぶギャラリ-を魅了したようです。この全米女子オ-プンが行われたペンシルバニア州にあるランカスターという地区は、ア-ミッシュと呼ばれる伝統的キリスト教を信仰する宗教集団で、近代文明と距離を置く“簡素な生活”が特徴な人たちが住む街です。
その数は3万人を超えると言われ、車などは使わず馬車かサドルのない自転車、あるいは徒歩が移動手段です。道の両脇にのどかな田園風景が広がり、牛や馬が放牧されているこの地域で、自給自足の生活を営み、その農業はオーガニックとのことです。
そうした一種独特な地域だけに、いわゆる俗っぽい選手より感じの良い選手が受けたのでしょう。ギャラリ-のある人は「スマイルが大切ね。スマイルはユニバ-サルジェスチャ-だから」と答えています。言葉が違っていても笑顔が世界を繋ぐということなのでしょうか。
その大山選手は大会前、このコ-スでの練習ラウンドを許可されませんでした。出場資格であるランク50位以内というのがまだ確定していないという理由からでした。前週までのランキングは44位でほぼ確実だったのですが、大会出場者のみラウンドを行えるという規定を貫く主催者側の、融通の利かない扱いからです。
でも少しも腐らずそうした事実を明るく受け止め、イライラすることもなく、起きた事態を素直に受け入れるという大人の対応を見せたのです。まさにベテラン選手の懐の深さと、ここ数年間ケガなどで苦しんだ時期を乗り越え、大会に出場できるという喜びからなのでしょう。
一方、優勝したチョン・インジ選手も優勝後のインタビュ-で自身の過去に触れ、次のように語っています。「自分がゴルフをはじめたとき、父は自分でビジネスをやっていて、母は小さな食堂で働いていた。それから、父の仕事があまりうまくいかなくなって、母も足を怪我して食堂を辞めなくてはいけなくなったの。
だから、一時期は両親とも仕事がなかった。でも、両親は私がゴルフに恋をして以来ずっと、私に金銭的な困難は感じさせなかったし、それを知らせもしなかった。ちょうどその頃、コーチに会った。コーチから教わったのは、ゴルフを楽しむこと。
だから、私がしてきたことは、悲観的なことは一切考えず、ただゴルフを楽しむこと。それが、全米女子オープンの優勝につながったと私は信じています」。
やはり二人の持つ性格の良さや、今まで積み重ねてきた苦労や経験から自然と笑顔を生み出したのではないでしょうか。誰かとは言いませんが日本の女子プロの中にも、ブスッとした顔から全然笑顔がこぼれない選手もいます。
ギャラリ-などお客様あってのプロの世界ですから、よく考えてもらいたいものです。やっている人間が楽しそうなら、観ている私たちも自然と楽しくなるものです。