会長の”三行日記”
2015.06.17
信頼 No.2723
信頼ということを野球のあるエピソ-ドから採り上げていました。ここ数年は少し一時期の強さが鳴りを潜めている常葉菊川高の話題です。このチ-ムを率いているのが、かつて自身が浜松商でも活躍した森下知幸監督です。
チ-ムを救ったのがスランプに喘ぐ主軸の2人という話です。それ以前の準決勝までの4試合で、3番の長谷川は15打数1安打(0割6分7厘)、また1番の高野は17打数2安打(1割1分8厘)と、強打を誇るチームにあって、主軸の2人が鳴りを潜めていました。
しかし、森下知幸監督は動きません。どれだけ打てなくても、決して打順は変えなかったのです。「チームをつくり上げる過程では変えることもありますけど、この形で勝ってきましたから。2人とも春先(開幕前)は良かったですし、いつも打ってる子たち。
甲子園ではハマっちゃう子が1人か2人いるもの。それがたまたま2人だっただけです」と語っています。その結果、7回2死一、二塁。3番・長谷川裕介が左中間へ1点差に迫る二塁打を放つと、同点に追いついた8回には、2死一、二塁から1番・高野敬介がセンター前に勝ち越しのタイムリーを放ったのです。
いずれも、常葉菊川高らしくファーストストライクを逃さず打ったものでした。その決勝戦の土壇場、、大きな重圧がかかる場面で、自分たちの持ち味を発揮できたのには理由があります。キーワードは『信頼』という言葉です。
最後にこの2人が活躍したことこそ、今大会の常葉菊川野球の象徴でした。調子よりも、それまでの過程から生まれた信頼を重視したのです。だからこそ、ヘタに動くのは避けたのです。
監督は「ベンチでも必ずなんとかできるという雰囲気がありました。信じてました」と語っています。またそんな思いは選手にも伝わり、「甲子園だけじゃなくて、練習試合でも、打てなくても絶対3番から外されたりしないんです。結果が出てなくても使ってくれているんで、なんとか打ちたいと思いました」と長谷川君は話しています。
その両者の思いが一つになった結果が、2本のタイムリーを生み出したのです。デンと構えて、任せるのも監督のさい配の一つと言われています。またこうしたお互いの信頼が象徴されているのが、バントを使わない森下野球です。
その理由は「バントでチャンスをつくるより、打ってチャンスをつくる方が得点の確率が高い」と言っているのです。もちろんこれは常葉菊川のような強豪だから言えることかもしれませんが、1死からでもバントで送ったりしている近年の高校野球を観ていると、もう少し選手への信頼ということも考えてみたいものです。
あえて動かず、選手を信じ切っていたからこそ掴みとった常葉菊川高の初の大旗です。そこには以上のように紹介した監督と選手の強固な信頼関係があったからだと言われているのです。
早いものであと1ケ月も経たないうちに、県下ではこのような熱い高校野球夏の大会が始まります。上記のようなチ-ムのレベルには達していないかもしれませんが、チ-ムの信頼と結束力を更に磨き上げ、我が母校にも是非期待したいものです。
明日18日は一日会社を離れますのでカキコミは休ませていただきます。