会長の”三行日記”

2015.05.25

ベ-ブル-ス超え No.2709

 イチロ-選手の粋な計らいに周囲のム-ドがいっぺんに良くなったと伝えられています。ご存知の通り、今シ-ズン所属するマ-リンズはそんなに弱いチ-ムではないのですが、現在のところ低迷を続けています。

そんな折、ここに至ってマイク・レドモンド監督が成績不振を理由に解任されました。この解任そのものも前監督が名将と呼ばれていただけに、関係者からは物議を醸しているのですが、辛いのは新監督の前GMのダン・ジェニングス氏です。

何しろジェニングス氏は異例のGMからの転身で、人格者として、そして、才能を見抜くスカウトマンとして絶大な評価を受けていますが、監督経験は30年前に高校の野球チームを指導したのみだからです。

そんな新監督の肩の力を抜こうとサプライズを仕掛けたのがイチロ-選手だったのです。試合前のダグアウトでつかつかと歩み寄ると、ユニフォ-ム姿の監督にマーリンズのロゴの入ったチェックのネクタイを首にかけたのです。

すると新監督は満面に笑みを浮かべ、ゴードン選手らとハイタッチしたのです。イチロ-選手のこの気遣いのある演出で、モヤモヤとしていたベンチの雰囲気がいっぺんに吹き飛び明るくなったのです。

監督自身も「あれは最高だったね。受け入れてもらったんだという気持ちになった。自分にとっては温かい気持ちになったし、このグループの一員になれたと感じさせてくれた。ずっと忘れられない瞬間だよ」と言って感謝しているくらいです。

まさにイチロ-選手の周囲の異様な空気を読み取っていた上での行動だったのです。そのイチロ-選手がこの試合でベ-ブル-スと並ぶ、歴代42位のメジャー通算2873安打を記録しました。そして4戦ぶりに先発出場した22日の試合で、いとも簡単に2安打を放ち、大打者の記録を追い抜いたのです。

大リ-グに入り立て当初のマリナ-ズの時には孤高の人とも呼ばれていた人は、最近見るからに変わったような気がします。起用法にしても調子が悪くないのに、なかなかスタメンでは起用してもらえません。

シ-ズン当初、故障でDL入りしていて出場していなかった若手の外野手が復帰した途端、ベンチスタ-トとなりました。ところがこの若手、なかなか良い結果を出すことができないのです。でもシ-ズン当初の契約だからでしょうか、この選手を使い続けてイチロ-選手は先発では使ってくれません。

でも少しもくさったようなところも見せず、出場機会の減った試合でも黙々とその準備を怠ることがありません。このへんが技術のみならず、大打者と呼ばれる所以ではないでしょうか。またそれがチ-ム内でも一目置かれ、若手選手の良いお手本になっているものと思われます。

とにかく観ていると、何か野球に達観したようなものを感ずるわけです。変に気負いもないし、ただただ自分の出番を静かに待ち続けて、しかもそれなりに結果を出しています。これならメジャ-3000本安打も単なる通過点となるのではないでしょうか。やはり凄い人です。