会長の”三行日記”

2014.07.23

北岳挑戦その2 No.2597

 大樺沢二俣を出発したのが9時半ごろ、途中からは少し角度が急になりましたが、約2時間半ぐらい雪渓を歩いたでしょうか、ちょうど12時八本歯コルの直下に何とかたどり着きました。やはり慣れない雪の道で初心者の私などを抱えているせいか、いつもより時間が掛かったようです。

7月5日(土)八本歯コル直下~北岳山荘

さてここからは真上に上がるような梯子の連続です。幸い雨は小降りになってきたものの、これでもか、これでもかと続く梯子の階段にはいささか、うんざりしたものです。

かなり角度もきつく、頑丈な木製の梯子を恨めしく眺めながら約40分後、やっと八本歯コルに出ました。

ここまで来るとこの先晴れてお花畑が見れるというものの、息が切れ切れて登っているうち、何となく気持ち悪いような感じに襲われました。

これが高山病に似た症状なのでしょうか。何しろ登り始めの広河原の高度が1600m、そしてここ八本歯コルは約2900mの高さです。それからトラバ-ス分岐まではまだまだ上りが続きます。

標高差600m南アルプスを代表する大岩壁の北岳バットレス

40分掛かってやっと八本歯コルです

これだけの高度差を一気に登ってきたら、やはり慣れない人間は少しおかしくなるのではないでしょうか。

正直、その途中はもう山は金輪際やめようかと思ったほどです。こうして何とか約1時間掛けてトラバ-ス分岐までたどり着きました。

そんな心身ともにクタクタな自分を慰めてくれたのは何と言っても見事なお花畑です。

黄色がシナノキンバイ?、そして白いのが一面に咲くハクサンイチゲ

お目当てのこの地にしか咲かないと言われるキタダケソウです

トラバ-ス分岐からは今日は山頂に登らず、眼下に見える北岳山荘に泊まるのです。

これが精神的にも楽になったのと、一度高度の高いところから下がるのも幸いしたのか、気持ち悪さは次第に解消していきました。

しかしそれよりも一番気分を持ち直すことができたのは一面に咲くお花畑だったことに違いありません。

私たちのリ-ダ-であるS氏によると、キタダケソウは石灰岩質の地に自生すると言われ、この地のみに咲く花ということです。しかも梅雨時のこの7月の初旬しか見られず、どちらかと言うと1週間前の方がもっと見事だったかもしれません。

でも来週ではほぼ終わりと聞きますので、初めて北岳に登った自分がキタダケソウにお目に掛かれたことは、かなりのラッキ-とも言えることです。そう聞くと単純な私はとても嬉しくなるものです。とにかくキタダケソウのお陰で、気分がすっかり晴れた私でした。